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 いい大人が、こういつまでも割り切れていない。

子ども達が傍にいるというのにと、レオは小さく空笑いしては、過去に向けていた視線をフィオとシェナに移した。




「この子達のためにも、できる事をしないと。

もう疑う理由は無い。

犠牲者がまた出てしまう前に、急ぐべきだ」




 彼の促しに合わせ、ビクターとジェドが慌ただしく飛び込む。

その様子から、シャンディアが激しく立ち上がった。




「海がおかしい。シャンディア、結界が妙に光ってた」



「解けちまうんなら、その前に移動しねぇとまた……」




シャンディアは、己の魔力の弱さを悔やみ、拳を震わせる。

そして




「力はまだ持つ……私が行くから、ここの人達をお願い」




彼女は外へ急ぐ。

1人ではまずいと判断したジェドは、そのまま付き添いに向かった。

その際、彼はビクターに目配せをする。

その意味を捉えたビクターは、誰にも気づかれないよう頷いた。






 漁船を直ぐに出せるよう、グレンとカイルが船着場に駆ける。

南の者達が乗船を急かされる中、未だ眠ったままのレックスは、木材と生地で簡易的に作られた担架で運ばれた。




 船着場には、薪が尽きかけた篝火が寂し気に揺れている。

漁船から数メートル離れた先に立つシャンディアとジェドは、微かに斜光を見せる弱った鏡の帳越しの海を警戒していた。

宙にポツリと灯る炎の光から外れている二人は、暗い影に潜んでいるようだ。




 人魚の気配がする。

漁船や陸での襲撃とは違い、今は僅かな数のみだ。




「……貴方達を見てる」



「でも喰わねぇんだろ。俺達の場合」




目的は主にフィオとは言え、他の3人もまた対象だという事は、空島での事を通して分かっている。

魔女は、自分達4人の血を欲していた。

ならば、大地のサタンの手先と化している人魚の群は、自分達を捕食せずに掻っ攫う可能性は大いに有り得る。




「ジェド、船に乗って」




シャンディアは海に目を尖らせたまま指示した時――




 「2人とも乗って!」




フィオが漁船から叫んだ途端、船体が船着場の縁に激しく衝突して揺れた。




「ジェド!」




ビクターの声が真っ直ぐ彼を射止め、振り向かせた。

ビクターは漁船の係留ロープを完全に解き終えると、上で待機していたカイルとグレンに投げ渡す。

この場から死角になっている船体の向こう側で、何かが起きている。

ジェドはシャンディアの腕を掴んだ。




「君が先に乗れ、早く!」



「そんな……駄目! 危険よ!」



「いいっ!」




ジェドはシャンディアに強引になる傍ら、漁船が再び衝撃を受け、人々の叫声が上がる。

フィオは事態を目にするなり驚愕し、陸に残るジェドとシャンディア、ビクターに大声を張り上げた。




「早く!シャンディア、こっちの結界が割れちゃった!

人魚が入ってくる!」




ジェドはシャンディアをビクターに託す。




「早く行け!」




彼は言いながら槍を構えて皆に背を向けると、迫りくる群の気配がする漁船の裏側をとらえられる位置、船着場の縁に走った。









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


9月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




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