(19)
ライリーにとって、ここの誰よりも長い時間、目を合わせていた。
マージェスの真剣な目は、ライリーを捉え続けている。
彼女の様子がまるで、一時の自分を見ているようでならなかったからだ。
虚ろな目を浮かべたり、目が合ったかと思えば睨んでしまう。
誰かが探さない限り、姿を見せない。
こんなに称賛してくれる人々が周りにいながら、努めて距離を取る。
自分は、今ではそんな態度を取る事はほとんど減った。
だが以前は、ここにいる南の住民達のように仲間に心配をかけたものだ。
ただ、ライリーの何かを気にし続けるやり方だけは、少々違っている。
彼女は、世界が変わり果てた今も尚、誰にも打ち明けず心に秘めている事があるようだ。
片や東の仲間は、自身に起きた事を知っている。
また、それを受け入れてくれている。
呑気に冗談を言って笑い、時に怒号を放ちながら船長として仕切って生きていられるのは、寛大な仲間のお陰だ。
尤も、こんな世の中になってしまったからである事は、否めないが。
彼女もまた、自分と同じように楽になれないだろうか。
この勘が不正解であれ、彼女の選択はリスクしかない。
マージェスはライリーに数歩近付いた。
彼女は怯える目をしながら、後退ってしまう。
「あんたが凄腕だからとかじゃねぇ。
そんなもんは関係無い」
マージェスは言いながら手を差し出したのも束の間、そっと下ろしていく。
触れられたくない。
触れたくないという、彼女の気持ちを尊重した。
ライリーは何も言わず皆に向き合うと、この場に留まった。
シャンディアとスタンリーは、人々に事態を伝えていく。
その間シャンディアは、落ち着かない様子で外を気にしていた。
それが気になったジェドが外へ出ようとした時、ビクターも立ち上がる。
「外見てる。移動の時、合流する」
ジェドがあっさり出て行くところ、漁師達は躊躇した。
そこへグレンが追おうとするが、ビクターが付き添うと告げて遮る。
グレンはその時、ビクターを見て思う。
いつからか、大人のような目をするようになった。
自分は大人であり、1人の親代わりとして、危険を案じて付き添う判断をしている。
しかし、この子はそれに加えて、今この瞬間の友達に寄り添う必要性を感じているのか。
その方がいいと思う、決定的な何かを。
自分はそれに、気付いてやれていないのか。
独りになろうとする時は、ただそんな気分だからという事ばかりではない。
大抵、何かに向き合い整理をするのか、或いは悩みに耽る。
それを僅かでも解きほぐすに相応しいのは――
グレンはビクターに頷くと、距離を空けて出て行く2人を見届けた。
代表作 第2弾(Vol.1/前編)
大海の冒険者~人魚の伝説~
9月上旬完結予定
後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~ をもって
シリーズ完全閉幕します




