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 ライリーにとって、ここの誰よりも長い時間、目を合わせていた。

マージェスの真剣な目は、ライリーを捉え続けている。

彼女の様子がまるで、一時の自分を見ているようでならなかったからだ。




 虚ろな目を浮かべたり、目が合ったかと思えば睨んでしまう。

誰かが探さない限り、姿を見せない。

こんなに称賛してくれる人々が周りにいながら、努めて距離を取る。




 自分は、今ではそんな態度を取る事はほとんど減った。

だが以前は、ここにいる南の住民達のように仲間に心配をかけたものだ。




 ただ、ライリーの何かを気にし続けるやり方だけは、少々違っている。

彼女は、世界が変わり果てた今も尚、誰にも打ち明けず心に秘めている事があるようだ。




 片や東の仲間は、自身に起きた事を知っている。

また、それを受け入れてくれている。

呑気に冗談を言って笑い、時に怒号を放ちながら船長として仕切って生きていられるのは、寛大な仲間のお陰だ。

尤も、こんな世の中になってしまったからである事は、否めないが。

彼女もまた、自分と同じように楽になれないだろうか。




 この勘が不正解であれ、彼女の選択はリスクしかない。

マージェスはライリーに数歩近付いた。

彼女は怯える目をしながら、後退(あとずさ)ってしまう。




「あんたが凄腕だからとかじゃねぇ。

そんなもんは関係無い」




マージェスは言いながら手を差し出したのも束の間、そっと下ろしていく。

触れられたくない。

触れたくないという、彼女の気持ちを尊重した。




 ライリーは何も言わず皆に向き合うと、この場に留まった。






 シャンディアとスタンリーは、人々に事態を伝えていく。

その間シャンディアは、落ち着かない様子で外を気にしていた。

それが気になったジェドが外へ出ようとした時、ビクターも立ち上がる。




「外見てる。移動の時、合流する」




ジェドがあっさり出て行くところ、漁師達は躊躇した。

そこへグレンが追おうとするが、ビクターが付き添うと告げて遮る。




 グレンはその時、ビクターを見て思う。

いつからか、大人のような目をするようになった。

自分は大人であり、1人の親代わりとして、危険を案じて付き添う判断をしている。

しかし、この子はそれに加えて、今この瞬間の友達に寄り添う必要性を感じているのか。

その方がいいと思う、決定的な何かを。

自分はそれに、気付いてやれていないのか。




 独りになろうとする時は、ただそんな気分だからという事ばかりではない。

大抵、何かに向き合い整理をするのか、或いは悩みに耽る。

それを僅かでも解きほぐすに相応しいのは――




 グレンはビクターに頷くと、距離を空けて出て行く2人を見届けた。









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


9月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




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