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(7)




 「止めなさいあんた達っ!」




シェナが状況に思わず吠え飛ばした矢先、小さな旋風が真横に吹き抜け、人魚のバランスを崩させる。

立ち向かうシャンディアは鋭い銀の眼光を灯すと、身構えた。




「大丈夫っ」




彼女は地面に踏ん張り、両手を組んで力強く前に伸ばす。

端にいたジェドがその動きを察し、転んで場所を空ける。

それと同時に、組み合わさるシャンディアの手が素早く真横に開くと、銀に光り輝く四角い鏡が回転しながら出現した。

両手の向きを上下に変えると鏡が水平になり、そのまま脇腹の方へ引いて身を低くする。




「屈んで!」




周囲が激しく突っ伏した途端、シャンディアはその鏡を横投げした。




挿絵(By みてみん)




放たれたそれは高速回転を維持しながら、人々の頭上の際を通過する。

ブーメランの如く広範囲を旋回するそれは刃を思わせ、襲撃する人魚を次々に切りつけた。






 上陸する別の人魚がシャンディアを察知し、泡に塗れた牙を剥いて威嚇する。

だが、奥の陸地での事態を按じたか、引き返し始めた。






 負傷した人魚は、体から細かな銀の光を放ち、悶え苦しむ。




 旋回した鏡がシャンディアの両手に戻ると、再びその向きは垂直になる。

付着した仲間の血が鏡の中央に収集され、白銀の光を増していく。

その現象がもたらす(あかり)は何よりも眩しく、人々の視界を奪い続けた。

シャンディアは顔を険しくしたまま、増幅する光を圧縮していく。




 分散していた4人は、汗だくになる彼女に戸惑いながらも、信じて見守った。

木々に囲まれる暗い島を冷ややかな強風が吹き抜け、嗅ぎ慣れない街の香りに包まれていく。




 みるみる圧縮されていく白銀の光の集合体は(じき)に、銀色の艶を持つ泡と化す。

シャンディアは歯を鳴らしてでも力を絞り出し続けるが、体に電撃が走ったようにそれは断たれ、反動に尻もちをついてしまった。




 解放された泡が複数出現すると、風に乗って木々の合間を縫って進み、地面で悶える人魚に接近する。

艶やかで柔らかそうな泡もまた、鏡。

回転して浮遊する最中、人々を映し出す。

ビクターとジェドはつい、傍を通過していくそれに触れかけるが




「駄目っ……!」




肩で息をしながら前屈みになるシャンディアが鋭く放ちながら、強引に立ち上がる。

まだ手を打たねばならないと、泡の行く末を見守る事なく海岸へ向かった。

だがその足取りは重く、上手く歩行ができていない。




 シェナが手を貸そうとすると、行き先の近くにいたカイルとグレンが気付き、共にシャンディアを抱き上げて海まで運んだ。









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


9月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




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