(5)
「グリフィン。
これだけあったら、ぴんく いろ が できる?」
クロイの腕に抱かれた籠に、山盛り摘まれた巨大な花弁を持つそれは、どこかハイビスカスにも似ている。
「できるよ。……随分採ったんだな」
一体どれ程ピンクを使うつもりなのかと密かに驚きながら、籠から零れ落ちた数輪を拾い上げる。
「ねぇグリフィン。この はっぱ は、たべられるの?」
小さな三角の葉をもつそれは、大人の掌だと多数収まる程の大きさをしている。
ツルナという、浜に生えるホウレン草と言われるものをよく食すが、それに随分と似ていた。
「いえ に あったやつに、そっくりだよ?」
ウィルはここに来ると、植物に興味津々らしい。
「よく見てるな。
でも、似ているという理由だけでは駄目なんだ。
持って帰ってテストをしてもらおう。
それよりケビンはどうした?
そろそろ帰るって、言ってきてくれないか」
子守はすっかり、元教師であるグリフィンの担当だ。
今日はビクター達が作った筏を借りて、目と鼻の先にある孤島に来ている。
色彩作りの材料集めが目的の、課外授業だ。
ウィルは木から滑り下りると、魚釣りに必死になるケビンを迎えに岩場へ駆けていく。
後に、リサが大量の木を抱えて現れた。
「いい たきぎ でしょ?
うちのが もう ちょっとだけなのって、ママが」
「喜ぶよ。さあ積んだ積んだ。
漁船が戻るまでに着けるかどうか」
グリフィンはそういって、目に手をかざしながら遥か向こうに浮かぶ漁船を眺める。
起きた頃は薄暗い天気で、子ども達もここに来るのにつまらなそうにしていたが、今は太陽が眩しい程に輝き、彼等に元気を与えている。
自然に触れる事に夢中になり、速やかな移動がなかなかできない。
「あついな!
きのう と ちがって、まるで なつだ!」
ケビンが竿を肩に、ウィルと戻ってくる。
小魚が釣れたようで、食事になる良い土産だ。
筏では先に、クロイとリサが荷物を乗せて出る支度をしている。
漕ぎ方は来るときに教わった。
帰りも上手くできるかどうかやってみろと、グリフィンは4人の動きをモニターする。
射し込む陽光は時に鋭く、水面から辺りに光を弾かせ、輝いた。
サングラスが欲しいところだが、ここで生み出すには困難だ。
だとすれば、目を覆ってピンホールを活用するのが良いだろう。
こんな天気なら、潜水をすると言っていたジェドとビクターも、高い透明度の中で快適に作業ができているのではないか。
「グリフィンいいよ!のって!」
彼は子ども達の声を振り返り、そっと筏に乗った。
同じ時を過ごしていながら
お天気が どうやら 違うようですね
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代表作 第2弾(Vol.1/前編)
大海の冒険者~人魚の伝説~
8月上旬完結予定
後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~ をもって
シリーズ完全閉幕します




