表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* 大海の冒険者~人魚の伝説~  作者: terra.
第十一話 破
144/187

(16)




 飾りに触れた事でミラー族が覚醒した。

力があるならば役に立ちたいと、目の前の友達を置いてまで体と感情が勝手に動いていた事に気付く。

フィオは、僅かであれ友達や島の皆の事を忘れてしまっていた事に震えた。

自分が自分でなくなると言うジェドの鋭い忠告が、深く突き刺さる。

一時的にそうなってしまっていたような気がして、いつもの“大丈夫”が言えない。




 声を殺して震えるフィオは、きっと泣いている。

シェナはそう感じ取ると、フィオの小さくなる背中に覆い被さった。

シェナもまたそっぽを向き、熱くなる目を隠す。




 どうにかしたいと、ジェドはフィオを慰める2人の横で辺りを見渡した。

棘のある分厚い鏡の蓋を割って浮上した黒い腕は、ミラー族を薙ぎ払っていく。

更には、鏡の棘を引き抜いて叩き割る始末。

それを止める為の力の放出に、激戦区の誰もが追いつけていなかった。




 ジェドは考えた末、あの腕の暴走を早急に止めたいと強く心で意識する。

大暴れする黒い腕を睨むと、シャンの槍を握り直した。

力を込めるなりそれは増光する。

不思議な事に3人の目だけが眩み、ジェドには一切影響しない。

彼は円柱を作る海洋生物の群から、複数の鏡の反射光を捉えた。

それに向かって矛先を向けると、暴れる黒い腕の方へ一振りする。




(頼む!)




念を絡めた矛先が、この場を円柱の様に取り囲む海洋生物の群に向いた時、複数の影が激戦区に接近し始めた。

何が起こるのかは一切見当もつかない。

その異変に目を泳がせながら騒ぐ3人の横で、フィオは(ようや)く顔を上げた。






 出撃したのは、鼻孔から口先にかけて伸びる細長い鏡の装飾を光らせる海豚(イルカ)の群。

鏡の蓋に接近するや否や、1頭1頭が、黒い影を纏って揺れるコアの腕に向かって空気を吹きかけた。

口から弾けるように生み出されたのは、鏡のバブルリング。

柔らかく揺れる表面に白銀の微光が巻き付き、荒れ狂う腕を拘束しにかかる。




 4人は数多く出現した美しいそれらに感嘆してしまう。

泡でできた輪の筈が、目標に接近するにつれ太い鋭利な光を放ち、硬さを増しているのが分かる。

回転も素早く、行方が定まらない筈の腕を器用に滑らかに通ると、容赦せんとばかりに高音を上げながら拘束し、動きを止めた。

みるみる縛りつけていくそれは、今にも腕を潰して分断しようとしているのか。




 その時、カチカチと音が聞こえたジェドは、その出所を探る。

どうも端の3人には聞こえていないようだ。

不思議な音の正体はもしや、海豚達によるクリック音か。

海豚特有のコミュニケーション法と教わったが、不思議な事に音が徐々に形を成し、ジェドの胸を震わせた。




“出ろ”









代表作 第2弾(Vol.1/前編)

大海の冒険者~人魚の伝説~


9月上旬完結予定

後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって

シリーズ完全閉幕します




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ