(6)
すっきりしない天候は、砂浜を冷やしてしまっている。
素足をふわふわと埋めながら、グリフィンの家に、敢えてゆっくり向かう。
林が潮風に靡く音の空間を抜けながら、遠くの浜に半ば乗り上げる漁船を眺めた。
仕事がいい。
また、そんな気持ちに溜め息を吐く。
この一月の間に、季節の変化を感じている。
ありがたい事に、空島の女王リヴィアの魔法で見た事のない革が手に入った。
これまで手に入れてきた鮫革や鱏革とは違い、柔らかくて加工がしやすく、大人達は大喜びしていた。
それらを利用し、漁に出ない者達で新しい防寒具をこしらえている。
林の間を通過する際に見かける、点々と果実が生る木。
陽に当ててドライフルーツにしたり、潰して煮立たせて甘味際立つ保存食を作る事で、エネルギー補給にする。
周囲は、より一層調理に精を出している。
鳥も増え、食事で肉がよく出るようになり、食生活は以前より彩が豊かになった。
新しい香りと味に出会い、知識がいっぱいになる日々。
大人は最初、これらの出会いに涙ぐみながら、懐かしいそれらを噛み締めていた。
一体全体、彼等はどんな生活をしていたのだろう。
どこからやって来たのか分からない自分や後の3人、ここで生まれた他のチビ達も、何の想像もつかない。
冷たい風に身震いし、少々足を速めた。
そこでふと、空島でライフルを扱った事を思い出す。
ほんの偶にだが、今でも使わせてもらっている。
何でも、照準を合わせるのが上手いらしい。
ならば、狩りの担当をさせてもらいたいところである。
あの竜の城に侵入する前、ジェドが手持ちの弾薬を全て自分に渡す程だった。
しかし、それも結局しょっちゅうではない。
弾薬は少なく、銃を使うのは余程の時のみ。
現在は、鳥を捕る為の罠を仕掛けるようになった。
その結果に、またも溜め息を吐く。
林の路を抜ける手前。
伸びた蔓や、木の皮に目が留まった。
それらを使い、籠などの小道具を生み出すのは元々だが、そこに機織り機と呼ばれるものが加わった。
どうやらそれは、大人達も使い方に苦戦しているようだ。
以前に住んでいた世界でも、そんなものを使った事はないらしい。
何十年も前の人が使っていたようなものなのだとか。
ますます見当がつかない。
林を出ても陽が射さない。
パッとしない天気は余計に気分が乗らない。
点々と他の家も見え、食事の香りも漂う中、足は進んでいく。
ところで、今夜は1つ策がある。
これはジェドとの秘密だ。
どうも大人達が、先々で地図を作るにあたって話し合いをしながら食事をするらしい。
勿論、自分達も加わってよいのだが、食事は大抵、浜で4人で取る自然な決まりが幼少期からある。
大人達は両親と呼べる存在だ。
しかし、具体的には分からないのだが、どこか似ているフィオやシェナ、ジェドといる事は最も安心する。
自分は以前、尖った性格をしていたが、こんな風に捉えられるようになったのは嘘のようだ。
代表作 第2弾(Vol.1/前編)
大海の冒険者~人魚の伝説~
8月上旬完結予定
後に、代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~ をもって
シリーズ完全閉幕します




