武器の特性を結合してくれる金の斧と銀の斧
とある木こりが久しぶりに真面目こいて仕事をしていると、勢い余って仕事道具の斧を汚い泉へと落としてしまいました。
「仕事にならん!!」
木こりは空手チョップで木を切ろうとしましたが、滅茶苦茶手が痛くなったので止めました。
木こりがどうしたもんかと悩んでいると、泉からアラサー女神が現れました。
「あなたが落としたのは、この【攻撃力+99の金の斧】ですか? この【聖属性の銀の斧】ですか? それとも【くたびれた鉄の斧】ですか?」
木こりはアラサー女神が自分のタイプだったので、好かれようと正直に答えました。
「鉄の斧です」
「あなたは正直者ですね」
そう言って、アラサー女神は全ての斧を釜の中へぶち込みました。
「正直者なあなたには、この【攻撃力+99、聖属性のくたびれた鉄の斧】を差し上げます」
「あ、ありがとうございます」
半信半疑で木を切ってみた木こりは、バターより簡単に切れた木を見て驚きました。ヴァンパイアやゾンビもこれでイチコロです。
木こりは仕事が楽しくなり、時間も忘れて木を切り続けました。が、そのうち勢い余って斧を汚い泉へと落としてしまいました。
「またもや仕事にならん!!」
せっかく貰った斧を落としてしまい、木こりは自らの行いを酷く悔いました。
「あなたが落としたのは──」
しかし幸運な事に、またもやアラサー女神が現れました。
アラサー女神は就寝前だったのか、パジャマにナイトキャップを装備しており、私生活が垣間見えておりました。
「この【攻撃範囲+1の金の斧】ですか? この【クリティカル率UPの銀の斧】ですか? それとも【攻撃力+99で聖属性のくたびれた鉄の斧】ですか?」
木こりは、女神のパジャマの柄がキ〇ィちゃんだったのに酷く萌え、好かれようと正直に答えました。
「最後のやつです」
「あなたは正直者ですね」
そう言って、アラサー女神は全ての斧を釜の中へぶち込みました。
「正直者のあなたには【攻撃範囲+1、攻撃力+99、聖属性、クリティカル率UPのくたびれた鉄の斧】を差し上げます」
木こりは驚きました。
一度に二本の木を切れる斧が出来、しかも時折切り口が完璧な木が切れたので、木こりは更に仕事がはかどりました。
木こりの話を聞いた意地悪な男は、自分の妻を泉へと投げ入れました。
「あなたが落としたのは──」
アラサー女神が現れました。
「この【全てを完璧に熟すパーフェクト幼馴染み】ですか? この【空から落ちてきたミラクルボディの転校生】ですか? それとも【地味な眼鏡の太った地味な女性】ですか?」
木こりはワクワクしながら正直に答えました。
「最後のやつです!」
「あなたは正直者ですね」
アラサー女神は三人の女性を釜の中へぶち込みました。
「正直者のあなたには【全てを完璧に熟す、空から落ちてきた地味な眼鏡で太ったミラクルボディのパーフェクト幼馴染みの転校生】を差し上げます」
「…………」
意地悪な男は少し戸惑いました。
「ヨロシクね♪」
「あ、はい」
次の日から、意地悪な男は『起きて起きて~』とか『ぶつかってゴメンなさい!』とか『どうせ私なんか……』みたいなイベントを妻相手に熟し続けました。
手料理が最高に美味かったり、謎に不味かったり様々でしたが、次第に男は慣れてゆきました。
「もう一度投げて……いや、これ以上属性を付けられるのは勘弁だな」
男は妻を一生愛し続けました。