表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

三浦建太郎(ベルセルク著者)が亡くなっていた。

作者: ベルセルクの熱烈な壱ファン

そんな事は信じられなかったが、紛れもない事実だった。





 著作権とかは配慮するべきなので、具体的にどうこうは書かない。



 ダークファンタジーの雄、世界的に著名な作品の「ベルセルク」の著者、三浦建太郎氏が五月六日に亡くなった。大動脈疾患。



 ……マジかよ!?


 年齢がバレるとかマジで関係無い。俺の学生時代からの愛蔵本だった「ベルセルク」。友人に「読めよ、絶対に気に入るから」と言われて聞いた事も無い超無名な【ヤングアニマル】なんて怪しげな雑誌に連載されていた漫画を教えられたのは、数十年前の学生時代だった。


 違う高校に進学し離れ離れになりながら、時々テーブルトークRPGを共にやっていた友人は、超マイナーな漫画雑誌を気まぐれに読み、ときおり変わったマンガを勧めてくれた。彼は【筋肉番長】とか訳の判らんパワーワードな作品や【寄生獣】を教えてくれた。そんな奴がハマるからと報せてくれたのが「ベルセルク」だった。



 ……一巻の冒頭。一発でノックアウトされた。青年誌特有の露骨な状況描写。そして即ぶっ殺す、情け容赦の欠片も無い展開。……仲間? だいたい一話で惨死。登場人物の大半は死ぬ。暗い。エグい。ダーク要素しか無い。



 でも、それが良かった。我が身を削っても相手を倒す主人公のストイックさ。後を追う者をかなぐり捨てる一匹狼なスタイル。しかし、そんな彼の内面は……。


 そんな作品だったが、発売される一巻一巻が待ち遠しかった。紆余曲折を経て増えていく仲間。彼等を取り巻く過酷な状況。そして……絶対的な破壊力を持った武器【ドラゴンころし】の描写……「それは剣と呼ぶには、余りにも無骨で大雑把」……から始まる、圧倒的且つ一目瞭然な言葉と画面構成の傑作表現。似たような形の武器の描写は数多(あまた)あるが、これ以上の表現は有ったか? 自分は今に至るまで、これを超えたフレーズは無いと思っている。


 ……と、厨二病気質全開で書き出せば、本当にキリが無い。あれやこれや彼や彼女やクリーチャーや敵役の話で埋め尽くされる作品だが、いや待て。それだけでは無い。



 三浦建太郎氏は自分とだいたい(一回り近く違うが)同年代。しかも、結婚した時期も概ね同じだった。


 それまでは徹底的に暗く辛い世界観と、残酷な情景描写が多い作品(それはそれで魅力的)だったが、徐々に光が射し込むように【人と人の繋がり】や【仲間との絆】と言った表現が増えた気がする。それらが同時期に家庭を築いた自分と妙にリンクしていて、こそばゆいような不思議な感情を抱きながら続巻を心待ちにしたものだ。




 ……でも、彼を取り巻く環境がどのように変化したのかは知らないが、作品の発表間隔が途切れがちになり、いつしか数年に一冊程度まで延び延びになっていった。まあ、売れた漫画家なら仕方ない。よくある事である。


 過去にそうした経緯をさんざん眺めてきた稲村某は、焦らず、騒がず、岩の下のオオサンショウウオのように……待つ事には慣れていた。


 振り返って見れば、自分は結婚を機に出身地の東京を離れ、学生時代の友人達とも疎遠になって、住む場所も取り巻く環境もガラリと変わり、新しく漫画本を買うことも稀になった。だから、丁度良いペースだったのだが……





 ……いくらなんでもそりゃあ、残酷過ぎだろ? いくら待つのか平気だからってよ、自分が死んで作者の元にでも行かん限り、続きが読めないなんてよ。


 もう……物語が完結しないなんて、あんまりだよ。そりゃ無しだろ?





 いや、もう止めよう。いくら愚痴った所で何も変わりはしない。


 三浦建太郎様、自分は、あなたの作品全てが好きでした。異世界転移モノやダークファンタジー、果てはプロレス絡みな巨大化合体バトル物(有ったんだよ?)まで、全部楽しかった。あなたの作品から様々に影響を受け、現在の自分と作品が有ります。本当に有り難う御座いました。


 だから……本当に少しでもいいですから、表現者として近付けるように努力します。たぶん一生掛かっても同列になんて成れはしませんが……。




 感情の赴くまま、書き殴ってしまいました。読み難い点も有りましたでしょうが、お許しください。


 本来なら、評価ポイント等は要らない内容ですが、出来るなら少しでも【三浦建太郎】氏の名前が眼に留まるのならば、と思いそのままで浮上するようにしておきたい。しかしその為に、この文章を読んで直ぐに自作品に直結しないよう、いつもとは違う名前で投稿しておきます。調べれば直ぐに判るんですがね。




 ……三浦建太郎様、今まで有り難う御座いました。そして、お疲れ様でした。一人の熱烈なファンとして、惜しみながらお別れさせてもらいます。本当に今まで、本当に、有り難う御座いました。お疲れ様でした。それしか、書けません。畜生……。マジかよ……信じられん。嘘だと思いたい。言葉が浮かばん。頭が、真っ白だ。



 ……でも、自分は、業の深い執筆者だ。つくづく、そう思う。こうして頭が真っ白になりながら、指は止まらん。字を連ねている。辛い気持ちを字に変えて執筆している。だから、


 ……新しい、作品を書きます。それが自分から三浦建太郎様への手向(たむ)けです。


 それでは、さようなら。また逢える日まで……ま、死ななきゃ逢えんがね。それまで、さようなら。今まで、本当にありがとう。真の良作を与えてくれた事を、心から感謝いたします。そして、ご冥福をお祈りいたします。






 

重ね重ね、ご冥福をお祈りいたします。


だから、少しでも、近付きたいから執筆を止めてはいかんと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 再開された森恒二版「ベルセルク」、評判今一つみたいですね。 作画担当のスタジオ画我も先生並の画を維持出来ないみたいだし… どうなるんだベルセルク…orz
[一言] 追っていた好きな作家さんが亡くなると、続きがもう永遠に見れないんだという絶望も手伝って、ショックですよねぇ。 ベルセルクもきちんと最後まで読みたかったんですが……他に亡くなってしまった好きだ…
[良い点] 自分もですよ、稲村さん。 [一言] 自分もベルセルクにはまった一人です。 そしてその主題歌から平沢進も知りました。 ベルセルクのダークな雰囲気は好きでした、死んだ母親から無慈悲な世界に産…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ