4.自己紹介
それから数分が過ぎ、彼女は風呂から上がり俺のジャージを着て部屋に入ってきた。
「おじゃまします。」
「お、あがったか。じゃあそこに座ってくれ。オレンジジュースと烏龍茶があるけどどっちがいい?」
「あ、お構いなく…。」
彼女をこたつの反対側に座らせて、客人用のグラスを取り出す。俺はそれにオレンジジュースを入れて彼女に差し出した。
「ありがとうございます。」
「さてと…、それじゃあ最初に自己紹介をしようか。えーっと、俺の名前は吉田祐樹。歳は19。大学の一回生でスポーツを専門に学んでる…と簡単にこんなところかな。あー、あと趣味はだらだらすることと音楽を聴くこと。以上。」
「私の名前は二宮遥です。高校二年です。趣味は…読書とウィンドウショッピングです。家出の理由は…その、今はまだ話せません。でもいつか必ずはなします。」
遥は『よろしくおねがいします』と言って頭を下げた。今の自己紹介を聞く限り、あまり活発な子ではないようだが。さて、どこから掘り下げようか。
「遥ちゃんね。いくつか質問があるんだけど、まず何で俺の家の前にいたの?」
「えっと、泊めてくれる家を探してこの辺をうろうろしているうちに道に迷ってしまって…。そしたらパトカーが通ったのでどこかに隠れないとって思って近くにあったこのアパートに逃げてきたんです。」
「なるほどね。偶然隠れていたところが俺の家の前で、そこに俺が帰ってきたと。」
「はい…。」
なんてタイミングの悪いときに帰ってきたんだ俺は。
「…じゃあ次の質問。俺の家に…その、どのくらい滞在しようと思ってるの?」
「えっと…できれば………。」
おいおい。まさか一週間以上じゃないだろうな。
「その…一ヶ月くらい。」
「……………。」
マジで ゜ ゜( Д )
流石にそれは想像してなかったぜ。
「その、お金のことも何とかするようにがんばるので…。」
うーん…最近の女子高生はなめてかかると痛い目を見るようだ。簡単に部屋にあげてしまったはいいが、やがてはこの家に住み着いて俺の自由をことごとく奪っていくのだろう。そうなってしまってはすべてが手遅れに!
しかし、ここで断ってしまっては男が廃る…。俺はどうすれば!?
「あのぅ…。」
「はっ!?すまん、ちょっと考え込んでいた。そうだな…一ヶ月置いてあげることができるかはわからないけど、できる限り配慮しようとは思ってるよ。」
現状をを考えるとこれが最善の譲歩かな。人を騙すような子には見えないけど何があるかわからないしな。
「なにがともあれよろしくな。」
俺はそう言って右手を差し出した。
「はい!よろしくお願いします。」