3.家の掃除は程々に
「…っくしゅん。」
家に入るなり、彼女は控えめのくしゃみをした。
「わるいな汚くて。少しほこりっぽいかもしれないな。」
「いいえ、少し外にいる時間が長かったから…。」
「あぁ、確かにその格好じゃ寒いな。そうだ、先にシャワー浴びろよ。」
俺は風呂場を指さした。
「え?シャワー…ですか。」
「えーっと、別にやましい意味じゃないからな。君がシャワーを浴びているうちに部屋の掃除しておくから。お風呂焚くには時間かかるし、お湯がんがん出していいからさ。」
「あの…その、着替えがなくて。」
「あー…、ジャージでよければ貸すけど?」
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ってなわけで半ば強引に風呂場に追いやり、彼女がシャワーを浴びている間に掃除をしている訳だが、どうやったらこんなにも汚くなるのかねこの部屋は。
俺の部屋は六畳半の1Rアパートだ。家賃は三万五千円。その安さに目がくらんだ両親が俺の了承もなく勝手に契約してしまった。
まぁ、一人暮らしだし部屋の広さに文句はなかった。
だが、一つだけどうしても許せないことがあった。それは風呂がユニットバスということだ。風呂は狭いし、湯船にゆっくり浸かることもできない。一番の問題は風呂に入った後、湿気でトイレットペーパーが使い物にならないこと。これが一日や二日なら我慢もできるだろうが、後三年もこれだと思うとため息しか出てこない。
「よし。こんなもんかな。」
敷きっぱなしだった布団を片付けて周りに散らばってるゴミを一つにまとめて掃除機をかけた。本棚とゲーム機の周りは多少汚いがそこには目をつむってもらおう。
「台所も片づけたいんだが…やめとくか。」
部屋と廊下は一枚の薄いカーテンで仕切られている。今このカーテンを開けて彼女が風呂場から裸で出てきて『きゃー』なんて言われた日には一生癒えない心の傷ができそうだ。
…なんか落ちつかねぇ orz