2.ホワイトクリスマスの午後
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「あー、だる。」
一時間近くかけて学校から忘れ物を取ってきた俺は再び駅の改札をくぐった。一時間前まで何も入っていなかった鞄には教科書やら私物やらでいっぱいになり俺の肩に重くのしかかる。
「相変わらず雪は降り続いたままか。…うぉ、さぶ。早く帰って炬燵に入ろ。」
止まった足を再び動かし駅から出る。それにしてもクリスマスだっていうのに俺は何をしてるんだろうか。彼女がいれば違ったクリスマスを過ごしていたのだろうが、生憎生まれてからこの方彼女という類のものはできた試しがない。
「後で彼女のいなさそうな友達誘って鍋パでもするかな…。」
虚しすぎる(゜Д゜)
「よいしょっと・・・ん?」
アパートの階段を上り二階の通路に出ると部屋の前に見知らぬ女子高生が立っていた。黒い髪が肩まで伸びていて、顔立ちもなかなかな女の子。そんな子が神妙な顔をして部屋のドアを見つめていた。
「キミ、俺の家になんか用?」
「え?あ・・・その・・・。」
「???」
どうしたのだろうか。彼女は両手でコートの裾ををきつく握り締め、下を向き、口を開けたり閉じたりしている。
「だ、だいじょうぶか?」
そう声を掛けると彼女は肩を大きく振るわせた。そして思い切ったように顔を上げ僕の方を見据え口を開いた。
「わ、私をしばらくこの家に泊めてください!」
「・・・・・・え?」
一瞬、彼女が何を言っているのかわからなかった。俺ってこんなフラグたつような事したっけ?
「いや、その…名前も知らない赤の他人だし。」
「お願いします。その・・・な、何でもしますから。」
「な、何でもって・・・。」
何でもという科白を聞いて思わず生唾を飲み込んでしまった。
相手は女子高校生。
しかもそれなりにかわいい。いや、普通にかわいいだろ。そんな子が『何でもしますから』なんて言ってきたら・・・。いやいや、落ち着くんだ、俺!普通におかしいぞ。怪しいにおいがぷんぷんするぞ!昔からめんどくさいことには首を突っ込まないようにしてきた。ここはいっそ警察にでも突き出して・・・。
「あ、あの・・・。」
「いや、しかしな…。」
それ以上言葉は出てこなかった。彼女はまるで捨てられた子猫のように震え始めたのだ。くそ。自分のお人よし加減に腹が立つぜ。俺はポケットから鍵を取り出し鍵穴に差し込んだ。
「ったく・・・。言っとくけど部屋は狭いし、めちゃくちゃ汚いからな。」
「ほ、本当に…いいんですか?」
彼女の瞳には嬉しさからか涙がたまっていた。そんな顔されると断れねーだろうが。俺は無言でうなずき部屋のドアを開けた。
「あ、ありがとうございます!」