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1話 落とし物
「もう………どこいっちゃったのよ」。
時刻は昼休み。
普段ならコンビニで買ったメロンパンとお好み焼きパンをイチゴ牛乳で流し込んでいる。
でも今私渡瀬 華は学校内をウロウロとさ迷っている。
「スマホ……何処〜?」
もう殆んど泣き声だ。
そもそも何でアプリゲームの限定イベントが平日の昼間にあるのよ!?普通休日でしょうが!?
「それより早く見つけないと」
頭を振り必死に探す。
イベントが終わるから?
そうじゃなくてこの学校はスマホ所持禁止となっている。
もし先生が先に見つけて私の物だとバレたら………
ただでさえ今月は遅刻八回で厳重注意をうけていて、これ以上何かあれば停学を含めた処分が下ると先生から宣告をうけている。
そんな事になれば………
私は般若と化した母を想像して恐怖に震えた。
「何としても、何をしても探し出さなきゃ」
まさしく背水の陣。
「失礼、このスマートフォンは君の物かな?」
頭上から声がする。
「え!?」
見上げるとそこには私のスマホを持っている眼鏡の男子生徒。
山川君がいた。