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アンドロイドねえちゃん  作者: 秋山 楓
エピローグ
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エピローグ

 それらの出来事は、もう一年以上も前のことです。


 だけどどうしてユリアが飛び降り自殺を決行したのか、またどのような経緯で自殺に至ったのか、未だ解明できていません。ソフト方面を開発した母親も、あの後すぐに研究に打ち込んだらしいのですが、今もまだ詳しいことはわかっていないそうです。


 唯一判明したのは、ユリアの人工知能の中に、いつの間にかバグが発生していたこと。


 当然ながら、最初からユリアの中に自殺を決行するプログラムがあったわけではありません。故に、突如発生したそのバグが、ユリアの行動を自決へと導いたと、母親は結論付けました。ただしバグがどのように発生し、既存のプログラムにどう絡んでいたのかは、現在研究中です。


 ああ、そうそう。ちなみにユリアは死んじゃいません。


 あの後ユリアが言った通り、すぐに父親が迎えに来てくれました。ユリアが飛び降りたことに相当衝撃を受けた僕は放心状態で、記憶はあまり鮮明ではありませんが、大体のことは何となく覚えています。


 屋上に来た父親が僕を問いただし、路上で倒れているユリアを発見しました。父親はすぐに他の研究員を呼び、バラバラになったユリアを回収。最後に母親に連絡し、僕を自宅へ帰すように促しました。


 けど、僕は拒みました。

 だって、ずっと一緒にいてもいいって、ユリアと約束したから。


 会社へ運ばれる途中も、ユリアの身体が修理されている過程も、彼女の側を一時も離れることはありませんでした。


 だから僕は、彼女の中身を見ました。


 引き千切れた関節からのぞく、何本もの金属の管。手術中にメスを入れても、一切の出血もない身体。そしてそれが人間の手で、予備の部品と取り換えられていく様。自宅の研究室で見た以上に、その肉体は人形……作り物でした。


 修理中の光景を見てしまった僕は、どう足掻いても、ユリアがアンドロイドだと認めざるを得なくなりました。


 でもそれ以上に――、

 ユリアが意識を取り戻し、再び僕の名前を呼んでくれた瞬間、

 そんな考えは、本当にどうでもよくなりました。


 人間だろうがアンドロイドだろうが、ユリアが僕のたった一人のお姉ちゃんであることには違いなかったのです。一度は失ったと思っていた愛しい人が、再び自分の名前を呼んでくれるようになる。これ以上に嬉しいことはないでしょう。僕だってユリアが目を覚ましたときには、周囲の人が呆れるくらいに大泣きしてしまいました。


 とまあそんなわけで、ユリアは今も元気に一緒に暮らしています。


 ただし問題点が、記憶関連とは別に一つ。それはユリアが度々、思い立ったように自殺をはかるということです。


 母親の話では、原因不明のバグを取り除くことは成功したものの、知らず知らずのうちに再び同じ物が自然発生するとのこと。その度にユリアは自殺を決行し、修理されたりバグの除去を余儀なくされています。本当に、困ったお姉ちゃんですよね。


 でもそんな人間らしからぬ面も含めて、僕はユリアを愛しています。

 本物の姉弟以上に結ばれない関係ではありますが……。

 いつの日だったか、ユリアに伝えられなかった想いをここで宣言しましょう。


 僕も、ユリアがお姉ちゃんで本当によかったです。


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