#殲滅作戦一段落
途中、かなり残虐な描写がありますので、ご注意下さい。
地球7月30日土曜日の朝。
「たまも、朝はいつも訓練してるんだけど、一緒にやるか?」
「やだ、やらない。たまもは留学生だもん。ヤットウよりも勉強じゃ」
ヤットウって。。。まあ、こういうのは本人次第だから強制は出来ないよなー。
ということで、いつもどおりに単独で訓練。
まずは、昨日の切り落としの復習。
ゴーレム剣士に打ち込んでもらって切り落とす。昨日は集中していたからできたけど、成功率が80%未満だ。
これさ、失敗したら敵の斬撃を受けることになるから100%成功しないとまずい。
しばらく頑張って成功率99%程度に上昇したけれど100%の自信は無い。狙ってやる技ではないな。
イット―も追い詰められてたのか、それとも絶対の自信があったのか?いつか聞いてみよう。
そして新技の開発。
以前ギフト登録した空間時間設定。亜空間の時間の流れを任意に設定するギフトだ。これを深掘りする。
空間時間設定+選択行使+遠隔行使の組み合わせ。これで亜空間の時間を停止に近いほど遅くする。そうすると空間内に取り込まれた者が10秒で出て来た積りでも外の世界では100年経っていたりする。これを「封印空間」と命名して魔法登録した。手強い奴を隔離して外の世界を安定させるために使える。
反対に、時間の流れの早い亜空間に閉じ込める「時間牢」、外の世界で10秒でも亜空間内では長年閉じ込めることになる。主観的に長時間の苦痛を与える懲罰とか、滅ぼすことはできないが寿命がある奴を老衰死させる時などに利用できそうだ。これも魔法登録した。
今日の訓練はこんな感じ。
*****
部屋に戻ると、たまもが寝っ転がってお煎餅を食べながら漫画を読んでいた。紅色のミニの着物で足をブラブラさせている。うーん、マイペースな子だ。。。
「終わったのねー、ご苦労さま。じゃあ、たまもの『お勉強』もお終い」
ぽふんっとフェレット型に変化する。
今朝は両親と一緒に朝食。たまもをお披露目する。
「これ、友達から預かったフェレットのたまも。俺の部屋で飼うね。とても賢いよ」
「あらあら、ちゃんと面倒見れるの?」
「ローン返済中の家を汚さないかな?」
「大丈夫。とても賢い奴だから。な、たまも!」
「きゅー」母さんの手をぺろぺろする。
「わぁ、可愛い!」
「きゅっ、きゅ」父さんの足元にまつわりついて体をスリスリする。
「わはは、良い子じゃないか」
甘え上手のちゃっかり者だな。既に両親のハートを鷲掴み。いや狐掴みか?
和んでいる今がチャンス。
「あのさ、例のオリンピック出場の話だけど、そろそろドーピング検査の結果が出て、報道規制が解除されるって。報道されても驚かないでよね」
「ん?ああ、例の話ね。はいはい、分かった分かった」
いやあ、分かってないと思うよ。今日の夕方には報道解禁らしい。
マスコミの取材とかは、予め固くお断りしてるけど、どうなるかな?心配だ。。。
*****
「たまも、俺はこれから仕事に行くけど、留守番してるか?」
「やだ、連れてっとくれ」
「えーと、仕事だから邪魔しないように、フェレット型になって遁術で隠れてるんだぞ」
ぽふっ「きゅーっ」
大丈夫かなーと思いつつ、たまもを連れてNYの本部へ転移する。
うん亜空間に隠れたままちゃんと付いて来ている。
重鎮3人はもう揃っていた。たまもには気付かないようだ。
「昨日からの動きだが、壊滅したイスタンブールの#拠点には、調査ロボットらしきものが入っている。地球上の他の拠点は警戒態勢だ。月基地は増員中。調査要員と武力増強要員が補充された」
「今日は昨日とは違った方法で攻めたいのぅ。疫病路線を離れてオカルト路線はどうじゃ?」
「謎の存在に生きながら食われるというのはどうか。かなりの恐怖となるはず」
なんか好き勝手なことを言ってくれているが、結構いいかも知れない。その線で行ってみようか。
昨日イスタンブール拠点に調査に入り、リオに戻った3人組。これが本日最初のターゲットだ。
ガラス張りの部屋の中で厳重に隔離されて調査の対象になっているな。#達の注目の的なのが好都合だ。
念体索敵で鮮明な映像が届くので、俺の遠隔操作を存分に使える。
まず1人を理力で宙に持ち上げて固定する。本人は手足をばたばたさせて大騒ぎ、周囲は唖然として傍観しているな。
そこで、超断絶空間を獣の顎型に展開して、両足首の先からを切断して収納する。一瞬暗黒の顎が見えてそれに足が食われたという演出だ。
生々しい切断面、そこから噴き出す血。痛みと恐怖に泣き叫ぶターゲット。周囲も恐怖と驚きに支配されて、阿鼻叫喚の騒ぎだ。
残酷だとは思うけれど、これは地球のため。そして、早めに侵略を断念してくれれば、結局は#の犠牲も少なくて済むことになる。尊い犠牲なので我慢して下さい!
さて、ひとしきり泣き喚いたところで、次は両太腿まで切断収納。隔離室内の同僚が床に降ろそうとするが果たせず、宙に浮いたままで懸命に止血を試みている。ええと、この人の次はあなた達の番ですよ。
そして標的の下腹部を闇の顎が喰らう。腸その他の内臓がはみ出す。
これは理力で支えずに、床にぶちまけられるに任せる。
標的がひときわ大きく叫ぶ。最後の力を振り絞っているというところか。
更に胸まで。心臓の下半分まで喰らう。夥しい流血。
標的の叫びは止んだ。命の火が消えたようだ。
そして首まで、最後に下あごのところまでを喰らい、上あごから上は敢えて残し、床に転がす。
恨めしい表情を浮かべたままの顔面と頭部が、観衆の恐怖を引き立てる。
同じことを、もう一人の標的に、更にもう一人と繰り返して、半顔3個が床に転がった状態になる。
周囲はもはや静まり返って声も無い。
ガラス室内には記録装置もあるので、この情景はしっかり記録されて、各地に情報が送られたはずだ。
さて、次の段階へ。
リオデジャネイロ拠点のガラス室外の#1人を宙に固定する。室外にも来ますよー!
案の上、本人は狂ったように泣き叫び、周囲は降ろそうと必死になる者、逃げ出す者、攻撃する者、記録を撮る者、呆然と観る者に分れる。
超断絶空間を攻撃しても無駄無駄。戦闘スーツを装着してやって来ても無駄無駄。
そして標的に足から始まるさっきと同様の一連の処置を実施。
完了したら更にもう一人。
戦闘スーツ着用者も同様にスーツごと喰らっていく。こんなの着てても防げませんよー!
頃合いは良し。
一気にリオ拠点の約半数を同時処理する。床のあっちにも血糊と臓物と半顔、こっちにも。
自分とは無関係の惨劇と思われたものが、実は無関係ではなく、いつ自分が捕らえられるか分からないという恐怖が場を支配し、残った#達は恐怖に凍り付き、無言でへたり込んでガタガタ震えている。
最初は何とか抵抗を試み、次に逃走しようとして右往左往する。
転送機で逃げ出そうとするも、受け入れ側が拒否していると見えて転送機作動せず、転送機に殺到しても無駄と知れて騒動が一段落すると、次第に呆然自失状態が支配的となる。
しばし時間を置いたのち、地球上の#拠点のうち、転送機のある拠点は同様に半数を処分、転送機の無い拠点は通信員と長らしき個体2人を残して、他を全て簡易に念体キラーウイルスを使って同時に処分。
リオデジャネイロ拠点だけの話ではないと、全#どもに知らしめる。
月地下基地、木星船団基地、太陽系外巨艦は、地球上の全拠点を封鎖する決定をしたようであり、地球上の#は拠点から動かなくなった。
それを見極めた上で、地球上の残りの全#を念体キラーウイルスを使って同時に処分。全員の生命反応が消失した。
もはや地球上に#は一体も存在しない。
Q国、R国については、予めの準備通り、民主化勢力によるクーデターとしての表向きの処理を進める。
その他の拠点は、とりあえずそのままの状態で放置しておく。
さてと、地球外の#は、このあとどういう行動を見せてくれるだろうか。
異星人#を地球上から一掃した
創はレベル56になった
・・・・・
創はレベル74になった
創は到達者の称号を得た
創は超闘気のギフトを得た
創は因果視のギフトを得た
創は精神感応のギフトを得た
ふう、一段落した。
地球でも到達者になった。ザースと別口の称号制度だもんな。
ギフトが3つも。1つは到達者の称号に付随するものだな。
あれ?ガーディアンズ本部の執務室内の雰囲気が可笑しいぞ。
歓声が上がってもいいはずなのに、やけに静まり返っている。
「。。。。。」
あれ?職員が俺から目を逸らしているような。見るとさっ。こっちもさっ。
「え!ええー!?みんながやれって言うから頑張ってやったのに」
「うむ、ようやったぞ」
「私としては、吸血鬼的な連鎖があっても良かったようにも思うが」
「次やるならゾンビ化がいい」
「。。。。。えっと、それじゃあ、俺はひとまずこれで。さよなら~」
*****
逃げ出してきた。
「なんか、色々とひどいな」
「全くじゃ。創は全然悪くない。というか良かった」
人型のたまもがケーキを食べ、紅茶を飲みながら慰めてくれる。
「頭半分残したり、内臓ぶちまけたりしたのは、ちょっとアレだったかな?」
「内臓と顔表面と脳はちゃんと残さず食べた方が良かったかの。そこらは美味しいところじゃ。頭の骨はまあ残しても良いが」
フォークについたクリームをぺろぺろ舐めるたまも。
たまもさん、あんた、そういう目で見てたのね。まあドン引きされるよりはいいけど。
しかし俺も、随分血生臭い生活をしてるから、普通の地球人とは感性がだいぶズレて来てるようだ。気を付けないといけない。
今日はちょと凹んだ。でもさ、必要なことだったんだ。
ガーディアンズ職員が引くほどの衝撃度があったということは、恐怖感を植え付けるという狙いが成功してるってことだよな。
この先、地球外の#はどう動くのか。
ゴブリン人や蜘蛛型ロボットは見かけなかったが、奴らはどう動くのか。
とにかく、侵略しにやって来る奴らは容赦しない!
藤堂創 15歳 レベル74
称号 到達者
基礎値 筋力∞/敏捷性∞/生命力∞
気力∞/気速∞/気量∞/∞
ギフト ポイント67 残7
超闘気/因果視/精神感応/巻き戻し/上限撤廃/
念体/索敵Ⅱ/自己確認Ⅱ/万物創造/発動妨害/
透過/遠隔操作/選択行使/分身/空間時間設定/
繭形成/ドリル弾/天翔/ギフト創造登録/式神/
再生/幽視/変化/転写/認識領域拡張/
魔法創造登録/罠対応/理力操作/熱操作/地操作/
空気操作/光操作/水操作/聖操作/闇操作/
素粒子操作Ⅱ/電磁操作/空間操作Ⅱ/重力操作/時間操作Ⅱ/
気授受/生命力授受/危機感知究/危機対応究/物理耐性究/
魔法耐性究/隠形/状態異常耐性究/鑑定/判別
自然充填究/自然回復究/成長促進究/蘇り/武器技能/
付与/他者確認/言語対応/神知/自由設定
*****
夕方から国立スポーツ科学センターで水泳とボクシングの選考会があった。
50mと100mの自由形、無事各1着でゴールして、五輪参加確定。
ボクシングは思惑通りヘビー級でエントリー出来て、候補は僅か4名。初戦1ラウンド5秒でKO勝ちし、次は相手棄権でこれも参加決定。
ちなみにたまもは、試合中もずっと俺の頭上の空間に隠れていたが、誰にも気付かれることは無かった。
本日より俺に関する報道は解禁されるが、JOCが厳しく目を光らせて、個別取材等は一切行われないことになった。
そういえば、オリンピック選手が空港とかバスの乗り降り以外で報道陣に囲まれているところは見ないけど、そういう気遣いがあったんだ。これは素直にありがたい。
東京オリンピック開催は8月半ばから。
予定通り9種目に参加する。
陸上100、200、リレー、幅跳び、槍投げ。水泳50、100。柔道無差別級。ボクシングヘビー級。
俺のオリンピック参加騒動は、ひとまず決着がついた。
*****
部屋で眠りにつく。
たまもは、寝る時は狐型。長い尻尾をくるりと輪にしてその中に納まって寝ている。
マイペースでちゃっかりしてて物怖じしない面白い奴だ。
すーすー眠るたまもを起こさないように、そっともふもふを楽しむ。
寝入りばなはいつも以上に温かいな。
時々足先や鼻先がピクピクッと小刻みに動くのが可笑しい。ふふふふ。
異世界定期便第19便 地球7月30日土曜日自室 → ザース春19日魔大陸港街ホテル
前話でのギフトまとめ表示に不適切な点がありましたので訂正しました。
作者のステイタス管理能力に欠陥がありますので、よくこうした事態が発生します。申し訳ありません。
ミス表示に気が付かれましたらご指摘いただけますと幸いです。




