念体キラーウイルス
7月28日木曜日朝。
今朝の訓練では、遠隔操作+選択行使+αで味方を援助する方法を模索した。
時間操作Ⅱで味方に加速を掛けることができる。データ処理能力を肩代わりして上げること込みで、味方5人を1000倍加速の巡行速度にすることが可能だ。その他、繭、殻、盾で守ること、重力を軽くすること、離れて戦いながらの治癒などが有益と思われた。
念体や式神を援助する対象として選択して、援助することもできるので、訓練時の敵役式神を強くして訓練を効率化することなども可能だ。
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訓練で気持ちのいい汗を掻いてから朝食。今日は両親がいるのでちょっと緊張する。
不思議なことにいつも通りの朝食時の風景だ。当たり障りの無い会話をぼちぼちするだけ。
向こうには俺がクリエイトと分かってないので、その点が楽だな。
しかし、家の両親が仕事嫌いのくせに、帰宅が遅かったり休日出勤したり、出張したりっていうのは、こういうことだったのか。。。
全くもって仮面家族。この親にしてこの子ありだよ、はぁ。。。
そして別の意味で緊張する話題を持ち出す。
「この間、柔道の大会で優勝したよ」
「ほお!教室内の中学生の部とかかな?」
「いやあ、全国大会」
「「え!ええ!」」
「それでオリンピックに出るかも知れない」
「ははは。なんだそういうことか。そりゃあ凄いな」
「創もなかなか面白いこと言うわねー」
さすがに信じないよな。でも一応ちゃんと言ったからね!
全貌をいきなりだとショックが大きいだろうから、徐々に事情を話して行こう。
俺のオリンピック出場は、両親の勇者関連で問題は無いだろうか?
ちょっと心配だけど、まあ成るようにしかならん。
そうだ、オリンピック開催までには、異星人#を駆逐してしまおう!そうすれば少なくとも#に創が注目される危険はなくなるからな。
と強く決意する俺だった。
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朝食後、NYに飛び、アメリカの政府機関の所有する微生物やバイオテクノロジー関連の資料を漁る。
ガーディアンズ経由でアクセスしておくと、重要機密資料まで、問題なく閲覧することができる。
ジョーが大変熱心に読み込んでいたので、俺としてはかなーり疲れた。資料をめくり続けるとかモニターを凝視しながらクリックし続ける作業は、ほんと苦痛。しかし収穫はあった。
作業用亜空間で、万物創造を使って、新種のウィルスの設計図を作る。周囲のエネルギーを利用して分裂増殖し、空気中を漂い、異星人#に取り付いて、体内に入り込むという機能を持つウイルス。
そして、その設計図に基づいて、念体ナノマシンとして作り上げる。
念体ナノマシンの感覚共有で周囲の状況が調査できるのは、魔法ではなくて本来の性質である。
そしてこいつに、遺伝子型に基づいて毒や衝撃波等致命的な威力を持つ魔法を1つ持たせる。
遺伝子型は100タイプほど用意して置こう。発動される魔法も100種類になる。
これで、この念体ナノマシンの新型ウィルスは、自動的に増殖拡散して、#を発見して取り付き、脳内に入り込んで、魔法発動の命令待ちの状態となって待機する。
そして、#個体の存在情報、移動情報を発信してくれる。
未感染の#を発見すれば、自律判断で増殖して、取り付いて、きっちり感染させて、ターゲットを死刑宣告待ち状態にすると同時に、動く監視塔とすることができる。
魔法を発動した後はウィルスは自動消滅。取り付いた個体が死亡した時も自動消滅。注射などで強制的に対外に排出された時も自動消滅。決して証拠を残して、その存在を気取られないように。
100以上の様々な原因による多数の#の突然死。原因はいくら調査しても不明。パニックになるだろうな。二度と地球に近付かないようにしっかりトラウマを抱えてもらう必要がある。
ふふふふふ。
[我が主、黒い笑みを浮かべておられますぞ]
うん、なんとも悪魔のようなウイルスだ。。。
一歩間違えると大災害になりそうだけれど、念体だから一斉解除することも可能なので大丈夫だろう。
こいつに念体キラーウイルスと名付ける。
これを従来の念体ナノマシンと置き換えて、じんわりじんわりと浸透させて行く。
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ナノマシンのもたらす情報により、すでに#の状況はだいぶ明らかになって来ている。
まず、月の裏側の基地。そして月基地に物資及び人員を転送するのは木星の裏側に陣取っている#船団基地。こちらには大出力の転送機があり、太陽系外の宇宙空間に停泊する一隻の巨艦と転送で物資及び人員をやりとりしている。太陽系外の巨艦には#の別の宇宙船が発着する。近くに恐らくワープポイントがあるのだろう。
結果、#の母星→宇宙船発進→ワープして太陽系外の巨艦へ着艦→大出力転送機→木星船団基地→月基地→地球上の拠点 という大まかな経路が判明した。今は巨艦から帰還する宇宙船数隻というところまで念体キラーウィルスが入り込んでいる。
地球上ではQ国の政府機関とその地下。裏の実力者と言われる人物の屋敷とその地下。R国も同様。この4か所に各100人規模。その他世界各国の都市に30人規模の拠点と5~6人規模の前線基地が合計で40か所。まだ増えるかも知れない。地球上の#拠点はここまで判明した。
拠点から出た#個体は、拠点中心に外を歩き回っているが、夜は就寝し、今のところ就寝地点は判明済みの拠点かホテル等の宿泊施設である。
#の個体は、Q国R国では実在の人物にすり替わっているが、その他は、特に成り代わりは無く、単に身分証明を偽造している程度である。頻繁に容姿を変化させており、これが異星人#最大の能力であると思われる。
#の活動は、今のところ拠点作りと情報収集がメインであると思われる。
そして特定個人が大きな権力をもっている組織や国で、体制に隙がありそうなところに食い込んで行くことを狙っているようだ。食い込んだ後に何をしようと目論んでいるかは不明。
これについては、P国宮殿で接収した資料の解読を待ちたい。
あまり期待は出来ないが。#駆逐を実現して暇になったらジョーを解読に取り組ませてみるのもいいかも知れない。
『言語解析と暗号解読を同時に行うのは私でも無理だな』
「まずは言語解析が何とかならないか?」
『#は人間語を完全に使いこなす。#の言語と人間語を繋ぐ辞書とか翻訳ソフトのようなものが見付かれば解決するが、暗号化された不明言語の理解はほぼ不可能だろう』
よし、そっち方面でも調査を進めてみるか。
辞書は無理でもロゼッタストーン的な原文と翻訳文の対比資料が見つかれば何とかなりそうだ。
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その後は、タミル迷宮で、遊撃隊メンバーと共に地下4階と5階に挑戦する。
俺自身はサポート役に徹して、遠隔操作での治療と繭、盾防御を試す。加速はまだやらない。
結果、繭は防御としてとても強力で、繭付きだと4階と5階の敵からは全くダメージを受けない。攻撃に集中するといういびつな形だがこれはこれで格上の敵と戦う良い訓練になる。
メンバーの戦いを見るのはなかなかに楽しい。手数では白石がダントツ。レーザーの威力がもっと上がればこれは凄いわー。
ユリアの闇討ちとドロシーの不意打ちは愉快痛快。
エンゾとアンソニー、お前達はもっと頑張れよー。
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おっと、スティーブから呼び出し。
「なんですか?」
「スペースデブリ問題で相談があるのだが」
「というと?」
「アメリカの古い人口衛星がインドネシアの都市部に墜落して被害が出そうなんだが」
「ああ、お安い御用ですよ」
アメリカ政府にはバイオ資料の件でお世話になったばっかりだしな。
位置と機体の特徴をしっかり頭に叩き込む。
転移して接近し、念入りに確認する。これ間違えると大変ややこしいことになるからなー。
「うん、間違いない。回収します」
亜空間に収納する。これだけの簡単なお仕事。
「目標の消滅を確認した。作戦成功だ、ご苦労さん」
スペースデブリ回収に成功
創はレベル53になった
おっと、イベントレベルアップがあったぞ。少し大掛かりな人助けをすると発動されるようだ。
今回のはちょろかったな(笑)。
創 レベル53 筋力36兆/敏捷性36兆/生命力2340兆/気力∞/気速∞/気量∞/活力8570億
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ミシュランのグルメ本を買った。星の多いところから制覇していこうと思う。まあ趣味というか、料理自体を転写して収納するし、味わうことで知見を広める目的もあるので、実益も兼ねてだけどね。
記念すべき最初の店は東京の寿司店。お寿司はイメージしやすくていい。凝った創作料理とかだとよくわからないからな。さすがに美味い。
創では入れないけど、クリエイトならどんな店でも大丈夫。
大人だし、日本人は外国人に甘いからマナー違反があっても大目に見るか、優しく教えてくれる。
うひひひひ、無限再生可能な美味しい食事は最高だ!
ついでに東京上空からの夜景も映像として記録しておく。
ハナやプルリンやライザさんにも見せてあげようかな。他にもマグマの精に見せるとか、色々使い道もありそうだ(笑)。
異世界定期便15便 日本 自室 7月28日木 → ライザ遺跡 春17日




