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複数敵との戦闘

今日もいい天気だ。早春だというのに暖かい。ここは温暖な気候のようだ。

索敵マップ上では、近辺にさしたる敵は見当たらない。

見渡す限り、緩やかな起伏の草原でところどころに林という景色。

脳内の索敵マップを最大限に広げてみても人の気配はない。

南側に川があり、その更に南にはどうやら街道らしき直線がある。

とりあえずそこを目指して南進だ。


ハナとじゃれ合いながら足取り軽く歩き続ける。


途中、目新しい草があったら即鑑定。

めぼしいところでは、薬草、毒掃草、気充草を採取できた。

薬剤師のギフトを選択して薬作りをする。

握りこぶしの中に草をギュウギュウ押し込んで、ぬん、と念じると丸薬に変じる。

手が小さいので一度に1~2個しかできないや。

薬草からやくそう、毒掃草から解毒薬、気充草から気付薬ができた。

やくそう一粒で生命力2、気付薬一粒で気量が2しか回復しないけれど、戦闘中な

どとっさの時には役立つかも?それに換金できるかも知れない。


食べられそうな木の実、草の実も適当に拾いながら歩く。


順調に川べりに到着。ちょっと大き目な小川って感じ。水がきれいだー!


太陽?の位置からはお昼過ぎとわかる。

そういえば、地球から見る太陽と変わらない。惑星としての条件が似ているのかな。


食べられるときに食べるということで、ここで昼食。

10センチくらいの小魚を数匹つかまえて熱操作であぶって食す。

魚うめー!

川の澄んだ水にそのまま口をつけてごきゅごきゅ飲む。冷たくて美味しい。


「生水飲んじゃったけど、大丈夫だったかな?」

「転送先に向けて作り替えられた体だから大丈夫なはず」

「そういえば、こっちの5歳の体って、出所はどこなんだろうね」

「ハジメの15歳の体を元素まで還元して再構成したものだよ。不要な部分を捨て

て最高の性能を持つ体になってる。前よりも、よく動くし思考も明晰な感じするで

しょ?」

「う、、、ん。」何か微妙。元の俺の不純物を除去しただと。。。



さて、南へ向けて歩き始めますか。

ん?敵が接近してくる。黄色点7つと赤点一つ。草原狼だ。赤点はリーダーでレベ

ル2。7頭はレベル1。リーダーと他の一匹を他者確認する。


他者確認

獣族 草原狼 5歳 レベル2

称号 草原の殺戮者

基礎値 筋力15/敏捷性24/生命力20/獣力5/獣気速5/獣気量5/活力12

攻撃力 15プラスα

防御力 15プラスα

備考 群の頼れるリーダー


他者確認

獣族 草原狼 2歳 レベル1

基礎値 筋力8/敏捷性15/生命力10/獣力2/獣気速2/獣気量2/活力6

攻撃力 7プラスα

防御力 8プラスα

備考 リーダーの伴侶


リーダーはハナといい勝負。

リーダー以外のレベル1メンバーはもう一段劣る。

ただ、8頭の群れで統率のとれた行動をしているので要注意だ。

草原の殺戮者、頼れるリーダーか、手ごわそう。

目視すると、草原狼はシベリアンハスキーみたいな感じで体高1メートル体長1.5

メートル、毛色は緑だ。

体も足もがっしり太くて、動きに切れがあり、強そうだ。


「ハナ、お前の親戚みたいな相手だけど、大丈夫か?」

「がぅ」

問題ない見損なうな、とでも言ったもよう。

「御見それしました」

「ふふんっ」


奴らはこちらへ散開しながら接近してくる。囲い込もうとしているな。

お、風下に3頭が潜伏。追い込んでの急襲を狙っていると思われる。


「ジョー先生、作戦は?」

「一頭も逃がさずに殲滅を目指そう。ハジメがよろよろ負けそうだけどこらえている

振りをして引き付けながら理力でこっそりハナを援護、ハナが風下の敵から周りに気付

かせずに各個撃破し、最後にリーダーを二人で倒す。途中で雑魚大半を無力化できる機

会があったら魔法をぶっ放す。

ハジメかハナが危なくなるようなら、作戦変更して『命を大事』にで行こう」

「了解」「わん!」


ハナが「キャヒン」と一声発して、尻尾を巻いて風下へ逃走。ざぶんと川に飛び込む。

ふふ芸が細かいぞ。

逃走したと見せかけて、そーっと反転して身を伏せている敵の一頭に忍び寄る。


俺は足がもつれて倒れたのち慌てて起き上がる振り。眼前にリーダーとメンバー4頭に

囲まれて呆然とする振り。メンバー3頭は俺の後ろに回り込んで退路を断ちにかかる。

前方のリーダーと伴侶が俺の短槍を警戒しつつ盛んにフェイントをかける。

背後から包み込んだ3頭が隙をみてかみついて引き倒し、一気に潰しにかかる作戦とみ

た。敢えて開けたあの方向の先には伏兵が待ち構えていると。

俺は前に2後ろに6ハナ方面に2程度の注意を振り向けて、前の2頭を突きで牽制して

距離を保ちつつ、後ろ3頭の攻撃を敢えてぎりぎりで不格好に避ける。しかしバランス

を崩しそうに見せて崩さない。いつぞや映画で見た酔拳をイメージしてみたよ。

そして残りの2の注意力で、索敵マップ上のハナの動きをトレースして、ハナが狙う獲

物を理力の触手で縛り付け、猿轡状態で声を上げさせない。ハナがすかさず喉笛を噛み

切り、黄色点が一つ消える。一頭仕留めた。


ハナとの戦闘訓練が活きて、俺の回避は万全だ。ハナと似た動きで鋭さが全然劣る。ま

だ余裕がある。

と思ったら、重心がかかった右脚を後ろから狼パンチで掬われて転倒させられた。

やばっ。

5頭が一斉に飛び掛かる。ここで危機対応のギフトが発動。俺は加速して粘度を増した

世界を感じつつ、転がって窮地を脱し、素早く立ち上がって構え直す。

おっと、あいつらの頭ががつんとかち合って、2頭が脳震盪を起こしたぞ。リーダーの

頭突き恐るべし。


そうこうするうちに、俺の理力の触手の援護でハナが後方の3頭全部を仕留め終わる。

完全に無音とは行かなかったが、もはやそれは問題にはならない。


俺は風上方向に転げるように走りつつ、リーダーと2頭を誘導。

ハナが走り寄り、脳震盪で動けない2頭をあっさり咬殺。

これで残り3頭。


俺は短槍をあらぬ方向に振り上げて大袈裟に逃走を装いつつ、空気操作で風矢(ウイン

ドアロー)3発を発射。

リーダーはとっさに矢を回避するも、他の2頭には命中。

何が起こったか理解不能という雰囲気で倒れてズササーと草を巻き込みながら転がる2頭

に走り寄ったハナが牙をふるって矢継ぎ早に、とどめを刺す。


さあ、リーダーよあとはお前だけだ。


逃走に掛かるとの予想に反して、リーダーは倒れた伴侶の方へ駆け寄ってハナを威嚇して

追い払おうとした。俺はそんなリーダーに向けて短槍の先端から理力弾を数発発射し、

命中してバランスを崩したところへ短槍を突き込んで、胴体を貫く。ズバッ。

間髪を入れずにハナが首筋にがっちりと咬みついてぶらさがり、挽き倒す。ズシン。

そのまま数秒経過。

そしてログが流れる。


草原狼 レベル1 7匹を倒した

草原狼 レベル2 1匹を倒した

ハジメは草原の覇者の称号を得た

ハナは草原の覇者のしもべの称号を得た。


やっとのことでちょっとかっこいい称号を獲得したよ。


ジョーの作戦、どはまり。さすがだ。

俺はやや危うい場面もあったけどな。


俺は経験値次レベルまでの40%、ハナは50%を獲得した。ハナの方が活躍したね。


いい戦いだった。

最後はちょっと思うところあったけど。。。

リーダーよ、お前は頼れるいい奴だった。誇っていいぞ。

俺たちの方が強かっただけだ。






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