爆食虫討伐の顛末と、ガーディアンズの作戦行動
ブルンが迎えに来てくれて、カプセルに戻った。
「凄い!まだ1分くらいしか経ってないのに、もう退治したなんて。探知してても信じ難いわ!!」
えっと、俺的には11時間は、、、。
ブルンが触手の1本をキュッと縮めた。これはウインク的なものかな?
ドカン!背中を丸太でぶん殴られた!?
「がはははは。さすが救星主じゃわい。まっこと、規格外じゃぞい」
ドワンゴが背中をドカンドカンと平手で叩いている。これ、普通なら死んでる打撃なんですが!?
「本来なら守護者6人が4交代で、数か月はかかるプロジェクトなのよ。ハジメには少しだけ経験してもらおうと思っただけなのに、ほんとびっくりだわ」
「すご~おい!ハジメ大好き~、ハナも大好き~♪」
「もの凄くレベルが上がりました。守護者の仕事って楽しいですね!」
「ハナも5つもレベルアップしたよ!」
「うふふふふ。さすが超越者のシステムね。私たちシステム以前の者にはその恩恵は無いのよ。うらやましいわー」
そうなんだ!?というか皆さん、いったい何歳なんだろう?
「お主ならアレにも対抗できるような気がするぞい!」
「アレですか?」
「爆食虫を危機ランクGとすると、ランクS級の危機が予測されてるの。10年以内に対応できればいいから急務というわけでは無いから安心して。これについてはそのうち説明するわね」
爆食虫は、、、あんなのがランクGなのか。。。
『心配はいらない。ハジメが今の調子で成長していけば、爆食虫などは1週間もしないうちに軽く捻れるようになる』
そうか、そうだよな。とにかく俺は精一杯突っ走るだけだ!
それにしても今日は疲れた。くたくただ。体感時間的には少し仮眠しただけの徹夜明けみたいなものだからなー。
「ほんとなら爆食虫退治記念パーティーでも開催するところだけど、守護者にはそういう賑やかなのは好きじゃない人も多いのよね。ハジメも静かにゆったりしたいって顔してるし」
「ええ、ちょっとくたびれてしまったもので」
「大活躍だったもの、無理は無いわ。ゆっくり休んでね。休んでいてもあなたの活躍は全守護者が知るところとなり感謝するから。あなたが知っている守護者は今のところあたし達と、迷宮で会ったセヌエフとピスくらいだけど、おいおい全員と顔見知りになるわよ。長い付き合いになるんだから」
セヌエフとピスは守護者だったか。やっぱり、という感じはある。
「爆食虫の残りかすの星間物質は、儂とブルンが責任をもって適所に散布してくるぞい」
「ゾ・イ」
「お願いね。星間物質の散布も大事なことなのよ」
なんだかまだまだ分からないことだらけだけど、とりあえずブルンに月内部の森の街まで送ってもらった。
エレーヌから連絡用端末を貰って、王都の宿まで自前の転移で戻る。約38万キロすなわち、わずか1光秒余り、もうこの程度の距離の転移はどうってことない。
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「いやはや大変な一日だったな。そういやハナの新しいギフトは何だった?」
別々の加速時間下だったから、ハナのレベルアップの告知が聞き取れなかったもんな。
「えっとね、『視固』っていうギフトなの」
え、何それ?
「俺は、工作Ⅱと発動妨害と透過」
「ええっ?三つも!!いいなー」
新しいギフトは気になるけど、とにかくもう眠らないと。長時間の加速行動は生活リズムが乱れていかん!活力の数値が上がっても睡眠は必要だし大事だ。超回復の基礎でもある。
ハジメ 人族 5歳? レベル68
称号 爆食虫殺し
職業 冒険者
装備 汎用気密服
基礎値 筋力∞/敏捷性∞/生命力∞
気力∞/気速∞/気量∞/活力35兆
冒険者カード
氏名 ハジメ ランクSS 1級
種族 人族
年齢 5歳
レベル 68
ハナ 獣族 銀狼王(進化種) 1月半 レベル53
称号 ウテナⅡ遣いの超獣戦士
職業 冒険者
装備 汎用気密服
基礎値 筋力∞/敏捷性∞/生命力∞
獣力∞/獣気速∞/獣気量∞/活力1343億
備考 サイズ変更化 念話 人化 王の威信
冒険者カード
氏名 ハナ ランクSS 1級
種族 銀狼王
年齢 1月半
レベル 53
ハジメ ギフト ポイント59 残7
工作Ⅱ 発動妨害 透過
分身 空間時間設定 繭形成 ドリル弾 天翔
ギフト創造登録
式神 再生 幽視 変化 転写 認識領域拡張
魔法創造登録 罠対応
理力操作/熱操作/地操作/空気操作/光操作/水操作/聖操作/闇操作/
素粒子操作Ⅱ/電磁操作/空間操作Ⅱ/重力操作/時間操作Ⅱ
気授受/生命力授受
危機感知究/危機対応究/物理耐性究/魔法耐性究
隠形/状態異常耐性究
索敵/鑑定/判別
自然充填究/自然回復究/成長促進究
蘇り 武器技能 付与
自己確認/他者確認/言語対応
神知/自由設定
ハナ ギフト
視固 時間操作Ⅱ 魔法アシスト 天翔 再生
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異世界定期便 第10便 ザース王都春15日→地球 日本 自室 7/25月
自室で倒れるように眠ってしまった。
翌朝、満足感に浸りながら爽やかな目覚め。うーん、守護者いいわー。
忘れないうちに、地球のウルティマⅡにも最上質のミスリル、オリハルコン、ヒヒイロカネ、アダマンタイトを好きなだけ食べさせておこう。
[ありがたき幸せ。見たことも聞いたこともない程の質の高さで、非常に美味であります]
ふふふ、ザースのウルティマⅡも同じようなこと言ってたような。
さてと、新しいギフトを検証しよう。
まず工作Ⅱ。もちろん工作の進化形だ。旧工作はすでに統合されて消えている。
「工作Ⅱは自由度が高いな。構造や材料の具体的イメージは不要で、機能の概略だけで、理想的なものを作り上げてしまう」
『想像以上のものが出来上がったりするのは楽しいものだな』
「ああ、それに旧工作より、かなり大掛かりなものでも割とあっさりと作れるぞ」
『物質創造と組み合わせるとどうなる?』
工作Ⅱと物質創造を統合しますか?→はい
万物創造のギフトを得た
ななな、なんと!?まじですかー!!
これは凄い。ほとんど何でも、いくつでも出来る。なんと生物も作れる。高等生物は無理で、虫や両生類が精一杯だけど。
『創=ハジメの知識経験が増えて、気力、気量、魂の器が大きくなれば、より壮大なものが創造できそうだ』
凄い。凄過ぎて怖いくらいだ。
発動妨害は、魔法の発動の阻害即ち不発、及び、発動継続の阻害すなわち消滅、この効果を、属性の相性とかを気にせずに無条件に成立させてくれる優れもの。対魔法戦では圧倒的優位に立てる。
透過は、障害物を通り抜けての攻撃ができる。透過対象となる障害は物理障害でも魔法障害でも透過可能で、透過のサポートを受けるこちらの攻撃は物理攻撃でも魔法攻撃でもOKだ。透過を上手く使えば、対個人戦でも対集団戦でも相手の防御を無効化して圧倒的に優位に立てる。
発動妨害も透過も、相手よりこちらの魔法力が上回っていないとうまく機能しない恐れがあるが、俺の気力と気量を凌駕する存在はそうそう無いと思われるから、あまり気にしないでいいだろう。
今回の3つのギフトは凄い。まあいつも凄いんだけどさ。
超越者さん、ありがとう!
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訓練を終えて朝食を食べていると、ガーディアンズの端末を見張っている式虫から知らせがあった。端末を設置している亜空間に入り、応答する。スティーブからだ。
「クリエイト、すぐ本部に来てくれないか?重要な話がある」
「わかった。すぐ行く」
なんだろう?クリエイトに変化して転移。これ、変化を忘れたら大変だな、気を付けないと。。。
スティーブの執務室にはガーディアン幹部らしき数名が既に集まっていた。
スティーブが作戦を説明し、幹部から的確な質問が飛んで、スピーディに議事が進行して行く。
「突然だが、今からP国奪還作戦を実施する!P国は、アジアの独裁国家だが、異星人#に上層部を乗っ取られて、事実上、異星人#の意のままになっている。国内政治経済的にも外交的にも滅茶苦茶なのはそのためだ。2000万人超のP国人民が塗炭の苦しみに喘いでおり、周辺国はピリピリした緊張感に包まれている。P国の奪還は、世界的な急務だ」
おお!なんか凄い話みたいだぞ!
「急転直下の作戦決行となったのはなぜだ?」
「現在P国では、大規模政治集会を控えて、重要人物が宮殿付近に集結している。今がまさに絶好のチャンスなのだ。当方も作戦準備は進めていたが、情報秘匿のため一切明らかに出来なかった」
「敵の規模は?」
「P国上層部の8割約100名が異星人#だ。要人周辺の副官や従者等を入れると全部で500人規模が#と想定できる。奴らを殲滅する」
「P国の軍隊はどうなる?」
「P国軍は兵数約100万。上層部以外は人間だ。陸軍主体だが、空軍と海軍も侮れない。現状命令系統は異星人#に掌握されている。P国は政治と軍事が不可分なので、上層部500人の#を殲滅すれば同時に軍の命令系統の奪還も達成できる」
「上層部が壊滅すると、P国の運営はどうなる?」
「対外的には軍事クーデターの体裁を取る。上層部500人の異星人#を排除して、当方が準備している交代要員にすげ替える。これで当面は凌げる。その後は、P国人の手に委ねて民主的な国家運営を期待することになる」
「P国軍の突発的な暴発行動や、異星人#に浸食されている東欧のQ国やアフリカのR国に不穏な動きがあると、まずいことになると思うが?」
「超大国A国と、その連合国B国、C国が協調して、P国を包囲し、同時にQ国R国にも睨みを効かせて、軍事的な暴発を防止するための協調体制を組む。現状で望める最良の軍事協調行動だ。そしてこれも対外的には軍事演習の体裁をとるので、国際不安は最小限に抑えられる」
「作戦のスケジュールはどんな感じだ?」
「開始は本日ハチマルマル時。終了は可及的速やかに。1時間以内の制圧が望ましい。時間が掛かればそれだけ被害が拡大する。最悪戦争状態になる。それだけは絶対に回避しなければならない」
「ガーディアンズはどう絡む?」
「P国宮殿内部に転移で乗り込み、異星人#500名殲滅の主力となる。
構成は、東京、上海、デリーの3支部と遊撃隊の24名、それと応援1名ベルリンのニコで25名、これが現地組だ。現地組の隊長は東京支部リーダーの御子神に頼む。御子神の指揮で現地判断で臨機応変に対処して作戦を遂行する。
私スティーブは総司令として、ここ本部から、現地への支援、及び、ガーディアンズ・P国内部の味方勢力・ABC3国軍間の連絡調整を担当する」
「御子神、現地組の大まかな打ち合わせを頼む」
「あいよ。切り札クリエイトとの初顔合わせもしなきゃだわね」
なんだか物凄いスピード感で事態が進行しているぞ。
[我が主、両目がグルグルになっておりますが、視界は確保できておりますか?]
「ああ、周囲が回って見えるだけだ。問題ない」
脳内会話でちょっと落ち着いた。




