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爆食虫

とりあえず、全力でエネルギー質量変換をぶっ放そう。

「ハナ、魔法アシスト頼むぞ」

「分かったー」

発射。おお、かつてないほどの大規模魔法が炸裂。直径50万キロの範囲の爆食虫のエネルギー体を消滅させた。エネルギーの物質化は、水素、ヘリウム、珪素、炭素、鉄などに調整する。


「爆食虫が食べた星間物質や星の構成元素に近いものに上手く還元できているわね」

「よっしゃ、これを集めて、星間物質の希薄なところに散布してくるぞい」

「マ・カ・セ・ロ」

凄い量の物質が集まって来た。完全に固まってないけれど、月程度の大きさの密集帯が出来ている。

ドワンゴとブルンが消えて、次の瞬間、物質密集帯が消えた。


「はぁ、はぁ、頑張ってはみたけど、この調子だと全部消すまでどれくらいかかる?」

『1万年くらいかな。明らかに爆食虫がザースに到達する方が先だ』

そりゃいかん。。。


「あ!接近する強いエネルギー反応を探知。爆食虫の攻撃ね。フィルお願い!」

「うん。うーーんっ!」

フィルが力を込めている。前かがみになってプルプルして、顔が赤くなってる。これは、、、うん〇を頑張る幼女のような?もとい、大変神々しい姿だ。頑張れフィル!!


虹色の光が強くなり範囲が広がっていく。ドドーンッ。その光の先端にエネルギーの奔流が激しく衝突する。あっ、まずい、徐々に押し込まれてくる。

「ンムムムーッ」

フィルの光が強くなり、少し押し返すが、少しの間をおいて再度押されて始める。

まずい!これ以上フィルが力を入れると、プチンと破裂してしまいそうで見ていられない。


暗黒盾を展開してエネルギーの奔流を断裂空間内に流し込んで逃す。盾の範囲を回り込んでくるエネルギーの奔流もあるが、だいぶ圧力は弱まった。フィルの虹光結界領域が安定した。

「ハジメ、ありがと~♪」

「んふふ、どういたしまして」


「エレーナ、爆食虫には急所のようなものはないんですか?」

「核が急所よ。でも核に近いほどエネルギー体が濃いからまともに接近するのは無理なの」

「おとりを使いながら接近してみます。核に最も近付けるところまで転移して下さい」

「わかったわ。でも爆食虫の体内となるエネルギー体の中へは転移できないの。だから核まで1光時の縁が最も近いところ」


「バッチリ散布してきたぞい」

「ゾ・イ」

ブルンとドワンゴペアが戻った。俺の気量も回復した。フィルも元気そうだ。

それじゃあ、作戦第二幕の開幕だ。


短距離転移。俺とハナがカプセルの外に出る。汎用気密服があるから宇宙空間でも問題ない。まずは時間操作Ⅱで巡航速度である1000倍に加速。そして直径10メートルの暗黒盾を1万枚発生させて、バラバラに配置する。各盾には重力を与えて置いて、盾の背後に反重力球をおいて、反重力の推進力を発生させて、加速しながら核に接近する。暗黒盾のうちの1枚の裏側には俺とハナが潜んでいる。1万枚のおとりに紛れて接近するのだ。


「核までの距離1光時。このままだと加速時間下でどれくらいかかる?」

『最速で5時間。途中で減速して核到着時に停止するとなると10時間。36000秒。通常時間で36秒だ』

「36秒か。まあいいところだ。しかし、10時間もあるとなると退屈だな。。。」

『その間、爆食虫を弱体化する手を打てばいい』


俺、ジョー、ウルティマⅡの3者協議で、有効な手段を考える。俺の意識に連動しているのでこの二人は1000倍速下でも意思疎通出来る。必要な時には20倍速まで落とせば、ハナとウテナⅡとも意思疎通できるが。そして出た結論は、、、、エネルギー物質変換スライム?を使う。

これは、スライムのイメージの生物型魔法で、爆食虫のエネルギー体を喰って、自分の体に変換して大きくなり、余ったエネルギーを星間物質として排泄する。

爆食虫を喰い尽くしたら、自滅して自らも星間物質になる。

こいつらを、俺とハナの気量の残量を見ながら、沢山作って要所要所に派遣する。

名付けて、反爆食スライム作戦!


「ス・ラ・イ・ム・ノ・ハ・ケ・ン・マ・カ・セ・ロ」

「ブリン!1000倍速に意識を合わせて、しかも念話通信とは!」

「オ・レ・ハ・レ・ン・ラ・ク・ト・イ・ド・ウ・ト・ク・イ」

凄い。底の知れない人?だ。とりあえず有難い。派遣は任せよう。カプセルとの連絡もこれで安心だ。

たどたどしいしゃべり方なのに、どことなく、どや声に聞こえた。


20倍速までのハナとは筆談で意思疎通して、遊び感覚でハナの魔法アシストを受けたりもする。

ウルティマⅡには、オリハルコンとヒヒイロカネとアダマンタイトを適量食べさせた。何かの役に立つかも知れないしね。疲れたらジョーには起きててもらって、俺脳の部分だけ仮眠したりもした。俺も器用になったもんだ。


そうこうするうちに1000倍速下で7時間経過。だいぶ核に近くなってきた。生き残っている盾は973/1000。

スライムは26/50。スライムがだいぶやられているな。エネルギーを食べすぎて過負荷状態になっているところにエネルギー攻撃を喰らうと破裂してしまうようだ。新たなスライムを作り出すとともに、食べるスピードを制御するように命令を組み直す。


「暗黒盾は結構生き残ってるな」

『爆食虫はスライムを危険視して主な標的にしているからだ。ただ盾にも問題が生じている。核に近づくにつれて、吸い込むエネルギー量が大きくなり、吸い込んだエネルギーを虚空に霧散させるのが追いつかず、エネルギーが渋滞して盾が消滅する恐れが出て来た』

「それは大変だ。俺たちの前方の盾も消滅の危機にあるってことだよな。どうすればいい?」

『複葉展開すべきだ』


ジョーの助言に基づき、一つの盾あたり、3枚仕立てに調整した。前列の1枚が消滅したら2枚目から順に繰り上がり、最後尾には新たな盾を生成する。現在中心部にかなり近づいて減速中であり、これで核到達までもつ計算だそうだ。


そうこうするうちに、核が感知できるところまで来た。小惑星のような硬い領域という感じだ。

「おっと、これは。物質なのか?」

エネルギーと物質の境目がはっきりしないような印象がある。

『エネルギー化に限りなく近い、励起状態にある物質だ。非常に不安定だから、少しの刺激で一気にエネルギー化して大爆発する恐れがある』


全く、爆食虫の野郎は、どこまでも嫌らしく厄介な奴だ。

核の周囲には非常に濃いエネルギーが渦巻いているが、それだけではなく、悪意のようなモノの存在を感じる。爆食虫の意思というか感情というかそういうものだろう。

1000倍速の時間の流れには付いて来れてないようだから、この加速時間のままで行こう。

接近速度は停止に近いところまで減速したが、それでも音速でいえばマッハ1000以上は出ている。


爆食虫の核は直径1000キロぐらいだ。体全体と比べると凄く小さいが、ザース上でこれまで戦って来た敵と比較すると、核だけでもとんでもなく大きい。こいつを下手な刺激を加えないようにしながら始末しなければならない。


「冷却はどうかな?」

『冷却自体は誘爆刺激にはならない。ただし、励起状態にあるため中からの熱供給ですぐに平衡状態に戻るから、芯まで冷却しきることは無理だ』

「原子破壊はどうかな?」

『原子崩壊の余波が誘爆刺激になる危険がある』

「原子破壊面を伴わない断裂空間に放り込むのは?」

『原理上は可能だが、これだけの大きさを一度に包むのは難しく時間も要する。反抗意思を持って攻撃されると過負荷で断裂空間が潰される。仮に成功しても断裂空間内で生存する核がやがて食い破って出て来るだろう』


[冷却と原子破壊による斬撃の合わせ技はいかがでしょう]

『それは試す価値がある。凍結した部分を斬れば、誘爆刺激無しに安全に斬れる』

「じゃあ善は急げ。速度が乗ってるうちに突っ切るぞ」

ウルティマⅡを1000キロを切れる細長い刃の形にして超断裂面を纏う。そして刃が入る前方を絶対零度に瞬間冷凍して、核の凍った部分を、マッハ1000のまま一気に切り裂いて突っ切る。


やった!核を両断した。誘爆はしていない。。。しかし、生命反応が消えていない!

「こいつ、二つに分かれてそのまま生きている!」

しかも、各切断面の凍結が解消すると急速に再生していく。そのうち、くっついてもと通りになりそうだ。1000倍速下なのにこの反応とは!


こうなったらスピード勝負。再生する前に切り刻んでやる。

時間操作Ⅱを強めて、更に100倍加速して、10万倍速にする。移動速度は平均で加速時間下でのマッハ3000程度に調整した。体感秒速で1000キロ。方向変換を含めると加速下の3秒で一回核を突っ切れる。ウルティマ刃は一直線から十文字、放射状、格子状と変えて、一度の通過でたくさんの破片に細断できるようにする。


核の断片が十分に小さくなり、直径1キロの断裂空間球である絶対防御殻に包み込めるようになった時点で、各断片ごとに別々に殻に包み込む。この程度の質量が現状では殻を構成する断裂空間面が耐えられる最大量だ。

そして数百万の絶対防御殻内で、断裂空間内質量爆発を発生させて、爆食虫の核の断片を各個撃破していく。漏れた余剰エネルギーがあれば、素早く質量変換で星間物質に変える。


核到着後の加速時間下で、奮闘すること約1時間。やっとすべての核の欠片が消えた。

一帯に生命反応はない。爆食虫が最終的に変じた星間物質が、周辺領域に揺蕩たゆたっているのみだ。

。。。終わった。


爆食虫を倒した

ハジメはレベル49になった

ハジメはレベル50になった

・・・・・・・・・・・・

ハジメはレベル68になった

ハジメは守護者の称号を得た

ハジメは爆食虫殺しの称号を得た

ハジメは工作Ⅱのギフトを得た

ハジメは発動妨害のギフトを得た

ハジメは透過のギフトを得た


おおおー!レベルが20も上がった!ギフトを3つも貰った。ひとつは称号付属のギフトのようだ。

加速時間下の体感時間で11時間も全力を出して頑張ったもんなー。でも頑張った甲斐があった。

気持ち良い!最高の気分だ!

あははははははははははは。心の底から気持ちよく笑えた。

守護者、良いではないか!!




爆食虫、とりあえずデカかった。


守護者のお仕事はハジメに向いているようで何よりです。

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