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守護者のお仕事

前話で誤解を招く記載がありましたので訂正しました。ご指摘ありがとうございます。


旧 「残りの到達者は守護者にはならなかったんですね」

「はい。個人主義、種族至上主義の思想を持つ者達です。そのトップは各種族の神、人神、獣神、魔神として、多種族を滅ぼし自主族のみを繁栄させることを目的とする存在となっています」

新「残りの到達者は守護者にはならなかったんですね」

「はい。まだ色が付かない未分化の者、無所属を決め込む個人主義の者、他種族を滅ぼし自主族のみを繁栄させることを目的とする種族至上主義の者に分かれます。最後の種族至上主義者のトップは各種族の神、人神、獣神、魔神と呼ばれる有力な存在となっています」

「ザースは比較的強い惑星です。安定的な守護者集団に、流れて来た他惑星の個体が加わり、更に魔法的成長システムにより新しい守護者の加入が加速されています。

防衛力に余力のあるザースは、成長の可能性のある若い個体を、他の世界を救う為の人材として転生させる側として、あるいは異世界からの転生者を受け入れて成長を受け持つ側として、転生管理局に関わることがほとんどです。

ところが最近になって、ザースに大きな危機が近づいて来ていることが分かりました。遅くとも10年以内に有効な手を打たないと手遅れになり、100年以内にザースは滅亡してしまいます。

そこで緊急援助を養成して、この危機を乗り越えるために必要な人材を、ザースに迎えることになったのです」


「え、それが俺ですか?なんで何の力も無かった俺を?」

「魂の器が大きく、10年の期間があれば、必要な力を得るまでに成長する可能性のある個体、その基準に合致した最良の個体が、地球の藤堂創さんだったのです。藤堂創さんをザースに転生させて、我々の見守る中で、安全に成長していただく予定でした」


「その割には随分と乱暴だったような?俺は転生直後が最も危険で、いつ死んでもおかしくない感じでした。見守られているとは思えませんでしたよ」

別に恨みを言ってるわけじゃない。正直な感想だ。

「その点は本当に申し訳ありませんでした。言い訳になりますが、転生手続き中に妨害が入り、想定どおりに進めることができなかったのです」


「え!?誰がどんな妨害を?」

「おそらくザースのいずれかの種族の神の1柱が、自種族に引き入れようと画策して無茶をしたものと考えられます。機器が暴走してあなたは適正数以上のギフトに晒され、我々のコントロールは失われてしまいました」

「あれは、そういうことだったんだ。。。」


「我々がハジメさんを再発見したのは、あなたが冒険者登録をして迷宮探索を開始した後です。異常な力を持つ冒険者ということで注目して、失われたハジメさんと分かったときは、本当にほっとしました。そして驚きました、あなたの成長が規格外に急激であることに」

「そんな頃から見られていたとは。。。恥ずかしい。。。」

「全てを見ていた訳ではありません。ハジメさんが大きな力を行使した時だけですよ。あなたは既に到達者となっており、その力の行使は、大事なものを守るという守護の精神に合致していますので、今や守護者となる資格を十分に備えているのです。どうか守護者として我々に力を貸して下さい」


「えええええー!窮屈なのは嫌ですが」

「ご心配には及びません。守護者として活動していただくのは、ほんのわずかの時間です。義務も強制もありません。我々の側で危機を探知し協力を要請することになりますので、趣旨に賛同する限りでご協力いただければそれで結構です」

「えーと。。。」

「守護者の一員として、月内部のこの国や、ザース上に我々が有する結界内のリゾートへの出入りは自由にしていただいて結構ですよ。もちろん普段の生活はハジメさんの自由で、これまでどおりザースを旅するのも自由です」


「ハナはどうなるんですか?」

「ハナさんはいずれは到達者、そして守護者となる器のお方です。しかしながら今のところは、守護者ハジメさんの関係者という立場となりますね」


ハナはいつの間にか、羽の生えた小さな女の子と遊んでいる。あれは妖精かな。ハナに守護者と守護者の関係者の話をざっとして意見を聞いてみた。

「ハナはそれでいいよ。フィルちゃんとも遊べるし」

「うんうん、遊べるね♪」

フィルという妖精を頭に乗っけて、ハナが答える。まあ、あまり深く考えてないとは思うけど、考えても仕方ないしな。


「分かりました。守護者となることをお受けします。もともとそのための俺のようですし。それにザースに危機が迫っているっていうなら、ほっとけないですもんね」

「ありがとう。そう言っていただけると思っていたけれど、それにしても嬉しいわ」

エレーヌさんが、ぱああぁっとほほ笑む。まるで花が咲いたよう。部屋が明るくなった。あれ、ほんとに明るい。見ると妖精のフィルが光りながら飛び回っている。

「わーい、嬉しいな。エレーヌが嬉しいとフィルも嬉しい♪」何か節回しを付けて歌っている。身長10センチくらい、可愛らしい裸の幼女に透明の羽、全身が虹色の光に包まれている。


「フィルもこう見えて、強い力を持つ守護者なのよ。ちょうど良かった、フィル、ちょっと力を貸してね」

「うん、いいよ♪」歌で答えるフィル。。。

「ザースに迫る危機のひとつ。爆食虫を退治しましょう。爆食虫っていうのはやっかいな宇宙の害虫なの」

エレーヌさんの説明を要約すると、

・星間物質を食べて成長するエネルギー体の生き物、知能は低い。

・途轍もなく巨大。成虫は10光時から100光時の大きさ。恒星系を丸ごと包んで食べてしまう。

・恒星や惑星も爆食虫の餌。

・物理攻撃もエネルギー攻撃も効果は低く、駆除が大変である。

・巨体のまま死ぬと、収縮してブラックホール化する。


「こんな厄介な生き物が存在するんですねー!?」

「もともとは、どこかの科学技術種族が、生物兵器として開発したものなのよ」

「その種族はどうしてるんですか。責任とってもらいたいですよね」

「爆食虫に喰われて、恒星系ごと消滅してしまったわ」

「。。。。。」


「今回の作戦はこうよ。約1光年の位置にいて接近中の爆食虫を、私が探知する。超長距離転移をタルール星人のブルンが担当。ハジメは爆食虫をエネルギー質量変換と物質創造で、退治して物質化する担当。ハナはハジメをサポート。ドワーフのドワンゴが変換された物質を収集。私が物質を散布する宙域を指定し、ドワンゴとブルンが散布。妖精のフィルは防御担当。これで完璧ね!あ、私達はもう同志だからさん付けは必要ないわよ」

「今からさっそくやるんですね。え、ええ、異論はありませんよ」

作戦の概要以外は全く理解できないが、エレーヌさん、いやエレーヌがやれるというんだからきっとやれるんだろう。


森の街のゲートだという、公園の中ほどにあるドームに転移する。

「ここからルナ5に長距離転移します。ルナ5は月と同距離の軌道上にある対宇宙監視用衛星です。そこでブルンとドワンゴが待機しています」

エレーヌが操作して、魔法陣が反応し、俺、ハナ、エレーヌ、フィルの4人はルナ5に転移した。


「おう、来たな」

「ハ、ジ、メ、ヨ、ロ、シ、ク」

ドワーフのドワンゴは、身長150センチくらい、体重も150キロくらいか?横幅が広くがっしりして黒髪黒目黒ひげの逆さ絵のような顔をしたおじさんだ。ブルンは、、、なんというか、横も縦も1mくらいの円柱の上からたくさんの触手が生えているイソギンチャクのような生き物だった。うわぁ凄い、異星人だ。


ルナ5は、月とは比べられないほど小さいが、人口衛星としては巨大であり、俺達が転移した先は、宇宙船の管制室のような雰囲気の広い部屋だった。大きな窓からは星空が広がっている。ひときわ大きな青い星がザースだろう。イソギン、いやいや、ブルンが操作盤をスススッと操作すると、大型スクリーンに直線で立体的に区切られた空間図が浮かび上がる。エレーヌが操作を引き継いで、画面を動かすと、ぼーっと光る雲のようなものが画面に映し出された。


「これが目標の爆食虫よ。ちなみにザースの恒星系の大きさがこれ」

画面に、光る雲の10分の1ほどの円盤が表示される。

「太陽がこれ、ザースはこれよ」

恒星系の円盤が画面いっぱいに拡大表示され、次の瞬間暗転する。円盤の中心に矢印と小さな光点、少し脇に矢印だけ。

「中心のが太陽、その横が惑星ザースだけど見えないわね」

10倍、100倍、もう太陽は画面の外、1000倍で小さな光点が見えて、1万倍で青い点とわかる。いやいや、とにかく、爆食虫のとんでもない巨大さがやっと想像できるようになった。まじかー!?


「それじゃあ準備しましょう」

部屋の隅にあった透明のカプセルに6人が入る。10畳くらいの広さでテーブルと椅子がある。

「イ、ク、ヨ」

ブルンがそう言ったとたん、ふっと景色が変わり、真っ暗な宇宙空間に浮かんでいた。1光年先に転移をしたらしい。異星人凄い!この距離は俺も無理だと思う。たぶん。


「フィルお願いね」

「うん!えーい!」

フィル、掛け声が可愛い(笑)。フィル発の虹色の光がぼわーっと広がって、カプセル全体を包んだ。虹光の防御結界が張られたようだ。


「そこから先は、全部爆食虫のエネルギー領域よ」

俺のレーダーゾーンでも索敵でも、薄くエネルギーが広がっているのは分かるが、あまりに巨大過ぎて、敵認定ができない。うーん。でも宇宙空間は変化が希薄だからレーダーゾーンも索敵領域も、地上と比べるとずーっと拡大できるな。ずーっと、ずーっと。かなり広げた。惑星ザースよりもずっと大きく広がった、だがそれでもまだ敵として掴み切れない。ただとりあえずは、薄いエネルギー全部がひとつの意思に統合されている雰囲気は感じとれた。中心部に近づくほど、エネルギーも意思も濃くなって行くようだ。


うむ、、、これに一体どう挑んで行けばいいのか?何をするにしても大き過ぎるんだけど。。。

PVが10万アクセスを突破しました。ユニークアクセスも1万3000を突破。


凄いです。感無量です。皆様のアクセス、お便り、評価が創作の原動力です。それがあるので毎日楽しく更新できています。


今後も書き続けてまいりますので、「異世界で全力サバイバル」をどうぞよろしくお願いいたします。

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