勇者クラブ遊撃隊
前話でタミルさんのレベル表記にミスがありましたので訂正しました。正しくはレベル46です。タミルさん、結構レベル高いんです。ご指摘ありがとうございました。
ドロシー 22歳 レベル16 筋力126/俊敏性/210/生命力301/気力911/気速475/気量1,514/活力21 探知(敵発見10m) 転移(最大30m 実用10m) ニューヨーク在住。
「諜報が得意という話だったな。戦闘ギフトは無しか。転移は最大30m、、、だから俺の短い転移を凄い長距離の転移って言ってたんだな」
アンソニー 18歳 レベル15 筋力357/俊敏性378/生命力399/気力211/気速178/気量201/活力25 剣術(未熟) 雷魔法(不発) 火魔法(不発) ロサンジェルス在住。
「未熟か、ルーキーだしな。実戦経験ないんだろうな。魔法不発、、、本人はハズレギフト引いたと思ってショック大きいだろうな。今のところは強めの一般人って感じだ」
エンゾ 25歳 レベル18 筋力845/俊敏性344/生命力863/気力674/気速289/気量501/活力150 盾術(未熟) 無属性魔法(不発) 強化(身体 装備) パリ在住。
「盾術か、どんなんかな?強化が身体だけじゃなくて装備っていうのは便利だな。強化、無属性魔法と盾術は相性はいいかも」
ユリア 1歳 レベル2 筋力5/俊敏性7/生命力10/気力4/気速4/気量9/活力3 槍術(不発) 水魔法(不発) 闇魔法(不発) 風魔法(不発) ベルリン在住。
「1歳でレベル2か。この子はギフトが4つだ。これは俺的なアレか?」
白石有希 14歳 レベル15 筋力108/俊敏性108/生命力200/気力311/気速289/気量543/活力11 光魔法(不発)治癒魔法(不発) 東京在住。
「お、日本人だ。白石、14歳、東京。ふーむ、クラスメイトの白石じゃないだろうな。まさかな。あいつ名前の方なんだったっけ?」
「しかしなー、見事に戦力になってない。まあ俺も転生当初は酷かったからあんまり言えないけど」
『ザースは成長に適した環境だし、ハジメはギフト数が飛び抜けて多く、成長のギフトもあった。地球は気が薄く、しかも成長の糧となる敵がいない』
「異星人#は、こいつらが戦うには強敵過ぎるみたいだしな。魔法が不発ってのが痛いよなー」
『思うに、戦力となる勇者の召喚に失敗し続けて、人数だけ増えたのではないか。そして緊急援助として再召喚勇者が導入されるようになったと思われる』
「なぜ勇者召喚が上手く行かないのかな?」
『何か条件が整わないのだろうか』
カフェのテーブルの下でこっそり9属性の短剣を作った。火水風土雷氷光闇無属性の9つだ。オリジン魔法としての気の錬成と発動を促すような仕組みに仕込む。それと気のタンクとなる腕輪、これは一日の使用回数を70回制限としよう。これ以上頻回使用すると、体に支障が出そうだ。各60個に複写して収納。魔法用の教材にするつもりだ。
時間が余ったので、カフェを出てぶらぶら散歩しながら、お菓子や懐中電灯、磁石などの小物を仕入れた。
ジョーの希望もあって公共図書館に行って、資料漁りをした。素粒子関連資料をめくったり、複写したりしているうちに時間が来た。
スティーブのいる本部長室へ直接転移。ドロシーが来ている。
「迷宮で訓練だなんて素敵!」顔が上気して目がキラキラしている。やる気十分だな。
「メンバーの準備は出来ているから、順番に拾って行ってもらいたい」
スティーブのPCモニターを見ながら場所のチェック。さあ行くぞ。
まずアンソニー。金髪碧眼。引き締まった体。身長180センチ。挑戦的な目付き。こいつは前衛向きだな。
「あんたがリーダーか?」むむ、不満げな様子。納得してないのか?
次にエンゾ。黒い肌、天パーの髪、紫の目。巨漢。身長210センチ、体重は120キロはありそう。盾持参だ。前衛の防御担当だな。
「よろしく」寡黙な感じか。何を考えてるのか分かりにくい。
それからユリア。問題の1歳児。あれ、年配の女性。本人は寝てるのかな?
「この子がユリアです」
え、ええ、えええ!?猫じゃん、黒猫。まじか。全身真っ黒、つやつや、金目と青目のオッドアイ。
「とっても賢いんですよ」
ふーむ、かつてのハナ的な感じかな?
「ユリア俺の言うことが分かるか?」
「ニャーン」
「よ、よろしくな」
「ニャーン」
黒猫ユリアが俺の脚に顔をスリスリした。分かってるのかな?分かってるんだろう、たぶん。こいつは、、、とりあえずは戦力外か。俺の懐にでも入れて置くか?
最後に白石有希。うは!?やっぱりあの白石じゃん。なんてこった。オーマイガ。
黒髪、黒目。日本人にしては色白の美少女。身長160センチ。白石は後衛タイプだな。
「よろしくお願いします」
あれ?よそよそしい。そうか、俺はクリエイトだもんな。藤堂創とは分かるまい。
さあ遊撃隊は6人全員そろった。デリーのタミルに連絡したらデリー支部6名も揃ったとのことなので、タミル宅屋上から12人でヒマラヤの迷宮前に転移、クリタク大活躍。というか毎回これは勘弁して欲しい。。。
全員に迷宮契約を締結してもらって、まず地下1階へ。
「地下1階は教室になっとります。モンスターはいてまへん」
なるほど。土魔法で机と椅子と教壇らしいものが作られている。まずここで、タミル先生からの迷宮講座。
「勇者の皆さんは迷宮のモンスターの立場になってます。どの階へも出入りは自由やけど、各階のモンスターと戦うには『挑戦する』と立場宣言してからにして下さい。不意打ち厳禁やから注意でっせ。」
その他、説明をまとめると。
・戦闘は階単位。敵か自分が他階へ行けば戦闘終了。終了後まもなく、復活する。死んでも生き返り、怪我は治り、装備の傷みも元に戻る。使用した薬品類は戻らない。
・罠や宝箱は無い。
・地下2階から5階までがモンスター階。徐々に強くなるように設定した積り。ボスモンスターを倒すと証明書を貰える。
・6階から10階は勇者同士が戦う階。各階の守護者を倒すと入れ替えで守護者になる。初期の守護者は、6階がドロシー、7階がシン、8階がテレサ、9階がタミル、10階がクリエイト。
・10階の下に迷宮の核があるが、触らないこと。これが不安定になると迷宮が崩壊する。
・戦闘で勝利して敵を殺すと経験値が入る。負けても少しだけ経験値が入る。
・モンスターや階数、その他迷宮の設定は随時変更になる。地下1階に掲示するのでチェックすること。
「何か質問ありますか?」はい、アンソニーはん、どうぞ。
「守護者の初期設定はどうやって決めたのか?」
「迷宮の自動設定ですねん。強い順に下層階の守護に設定されるようでんな」
「ちっ!」
アンソニー、礼儀知らずな奴。うん?ドロシーがキョドってる。6階の守護者だもんなー、大丈夫かなー。
「えーっと、ユリアはんは?」
「ニャーン」
「まあ通じとると信じまひょ」
「ハァ?何で猫がここにいるんだよ。アホくさ」
アンソニー、肩を竦めてる。相変わらず態度悪い。
「アーオ、フーッ!」
うん、ユリアは分かってるようだ。テレパシーの類かな?
「次は俺クリエイトから。皆魔法のギフトがあっても不発のようだが、それは地球の気が薄いせいだ。迷宮内は気を濃くしてあるし、補助の魔道具もある」
ここで、9属性の短剣を配る。ユリア用には首輪に変形させて嵌めてやる。
「地球では詠唱は関係ない。体内の気を集中させてイメージを具現化させることで魔法が発動する。この短剣は攻撃魔法9属性火水風土雷氷光闇無属性に対応して魔法発現を促進する魔道具だ。気さえ込めれば全属性の魔法の発動が可能だ。攻撃魔法のギフト持ちは自分の属性に対応する魔法を、攻撃魔法を持たない者は水魔法とか適当に好みの魔法を発動させて見て欲しい。攻防治癒に対応する水、攻防対応の土が入門にはお勧めかな」
「ちょっと待てよ。何であんたが仕切るんだ。地球に召喚されたばかりなんだろ?」
問題児アンソニーから異議が出る。しかしタミルとドロシー以外は、暗にその異議を支持している雰囲気がある。まあ気持ちは分からんでもない。
「俺の勘違いもあるかも知れない。ただ、俺のやり方で地球でもこうだ」
手の平を上にして胸の前に出し、そこに、火から始めて9属性魔法をそれぞれお披露目する。最後の無属性は、理力で全員を宙に持ち上げた。アンソニーは特別に少しシェイクしてやった。皆納得したようだな。反論はない。顔が青ざめているように見えるが気のせいだなうん。
「まあこんな感じだ。慣れれば補助の短剣無しで、更には迷宮外でも使えるようになるはず。それが当面の目標だ。ちなみに気量が尽きそうになると気分が悪くなって最悪失神する。失神直前まで気量を使うと、次に回復した時に少し気量が増加しているはずだ。また経験値を積んでレベルアップすると、各種基礎数値が上昇して魔法の力も伸びる。ということでまずは発動に挑戦してみてくれ。出来た者から抜けて好きな階層で実戦訓練も良し、そのまま魔法訓練もよし」
皆神妙な顔で取り組んでる。タミルは土で渦巻き状の物を作ってる、、えっとそれはソフトクリームの上の部分ですよねきっと。ドロシーは、、、これは探知しまくり顔だ。テレサは流石8階の守護、もう火を出せてるな、嬉しそうな顔。そうそう、初めて魔法を発動させた時って感動するんだよな。
あっ!次の瞬間、教室が騒然とした。




