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再開!迷宮探索

迷宮51階にやってきた。鍵は収納している。

少し懐かしさを覚える漆黒の虚空。

いるいる鳥頭の子供が。セヌエフだ。

俺はハジメ19で行く。


「お、また来たね。あれ?やけに強くなってる」

嬉しそうな、ちょっと嫌そうな、複雑な表情。

「うん、遊んでもらおうと思ってな」

「ふんっ、遠慮なく行くぞ」

セヌエフが鞭をふるう。今回は光と風の属性だ。速さ重視で来たか。


敢えて鞭攻撃を受けてみる。闘鎧は難なく耐えた。ハナも当然ノーダメージ。


今度はこっちから行く。

瞬動で急接近。セヌエフが転移で逃れようとしているのが、幽体アストラルたいの動きで分かる。

ウルティマⅡの機転で、長槍ウルティマ幽体アストラルるたいを込めて、セヌエフの

幽体アストラルたいの活性化している部分を突く。


活性化が霧散し、転移は阻害された。

セヌエフ、驚きの表情。


転移に失敗して、その場に留まっているセヌエフを、ウルティマで縦に両断する。

あっさりと決着がついた。

「鍵は持ってるだろ。2個は上げないよ、ふんっ」

ははは、機嫌悪いな。えらく素っ気無い。


俺だけで倒してしまったので、再度入り直す。

「なんだまた来た。この階の僕じゃあ、もう相手にならないよ」

「いやー、今度はハナが単独でお相手させてもらうから、もう一回だけ頼む」

「んじゃハナ、行っきまーす!」

「ちっ」


ハナが瞬動で接近するも、転移に専念していたセヌエフの転移が一瞬早く完成。

しかし、ハナの追爪が入った。

転移先に現れたセヌエフが、悶絶している。

ふふふ、アレって妙に腹の立つ痛さなんだよなー。


ハナは、悶絶中のセヌエフを銃撃するかと思いきや、瞬動で最接近。

あくまで打撃で決着を付けたいんだな。


前足の闘打一閃。ウテナⅡの補助爪の威力も乗っている。

あー、セヌエフが爆散した。打撃でも爆散するんだ。。。


「お前ら、、、この階にはもう来なくていいからな」

「ああ、また下層でお手合わせ願うよ」

「そ、そうだな。覚えてろよ」

ははは、どうしたセヌエフ。らしくない小物風な物言いが笑えた。



幽体アストラルたいを充填させることもできるんだ」

ウルティマⅡに尋ねる。

「はい我が主。幽体アストラルたいに働きかけるには、我に幽体アストラルたい

を充填して攻撃するのが上策です」

「ウルティマⅡは、驚異的な戦闘経験に基づくデータを備えているジョ」

凄いな。誰がどんな戦闘経験のデータを入れたんだろう。


「我が主、我にその記憶は無く、お伝えできないのが残念です」

「隠蔽か?」

「分かりませぬ。その部分だけ綺麗に消去されています。

なお我の既存データに加え、我が主のこれまでの戦闘データは既に分析整理して

おりますし、これからの戦闘のデータも逐次、我に蓄積されて行きます」


戦えば戦う程、ウルティマⅡは強くなり、結果それが俺の強さにプラスされる。

うむ、可愛い奴じゃ。

ウルティマⅡが一瞬ほんのり温かくなった気がした。



ん?ハナとウテナⅡは、なんかキャッキャと女子トークをしている。。。


ふふふ。

俺達、一人と一匹に見えるけど、ジョーも入れて実は5人のパーティになってるな。



では次は52階へ。

これまた懐かしい、たゆたう雲海。高山の峰々がそびえるなか、山肌を削った円形の

平地に立つ青肌の美丈夫。ピスだ。


「む、わずか数日で随分と強くなったものだ」

ピスの幽体アストラルたいから見て取れる気の総量は、かつては俺とハナを合わせた以上

だったが、今は俺の気量の方が遥かに上回っている。


「では全力で相手をいたすっ!」

いきなり瞬撃で来た。この人はこういう人だった。


ピスの幽体アストラルたいの動きを感じていたので、俺は攻撃を回避できた。

それでも、幽体アストラルたいが動いたと思ったら、あっという間に大剣の攻撃が来た。

ピスの瞬動は、俺を狙った後、返す刀でハナを襲う。

回避に入りつつあったハナだが、一撃を喰らう。しかしハナの闘鎧が耐える。


ハナに瞬撃の2撃め。お、ウテナⅡが一部盾形に変形して防ぎつつ、ハナの前足と

尾の攻撃。ピスの竜鎧が耐えているがダメージは入ったようだ。


ピスとハナが攻防している間に、俺も瞬動で接近して間合いに入り、ハナの攻撃と

連携するタイミングと位置取りで、ピスにウルティマの斬撃。

ピスの右腕の上腕部に深手を負わせる。

闘気を纏い理力を込めた俺の剣撃が、ピスの竜気の鎧を相殺し、竜鱗をも切り裂いた。


重い手ごたえだ。相殺されてウルティマに纏わせた俺の闘気もだいぶ持って行かれた。

と言っても俺の気量の総量の1%未満であり、数秒で自然回復する程度だが。


ピスは素早く後退し、距離を取った。

「やるな」

一言呟き、微かに笑みを浮かべながら、ためを作っている。

ピスの体の中心から上に向って、獰猛なエネルギーが集約されてきた。


「来ます!竜爆。上方に回避しましょう」

ウルティマⅡの助言に従って、跳躍し重力操作で更に上方に逃れる。


次の瞬間、ピスの口から広範囲に拡散したブレスが、円錐状に放たれた。

人型でブレスを撃つとは。。。

凄いシュールな見た目だ。



「竜爆は通常は防御不能です。我が主の闘鎧なら、少しは耐えられますが、

かなり削られます」


円形の舞台は、ピスのブレスに触れた部分が、ごっそり抉れている。

ハナは、その更に下側、山の下方に退避していた。


ブレスの射程は約100m。拡散タイプだったので射程はさほど長くはない。


ブレスを放った直後のピスは硬直していた。

チャンスだ、この一瞬で決められる!

瞬動で急接近し、ウルティマを振りかぶる。

解除されていたピスの竜鎧が、再度の展開を始めているが、今はほとんど無防備だ。

ブレスは、いわば捨て身技ということか。


俺は、斬り下げて胸部を深く切り裂き、切り返しての斬り上げでピスの首を両断した。

ハナは下半身と両腕を粉砕していた。

勝った!


「見事だ。今度は完敗だな。お前たち、このまま素直に伸びて行けよ」

ピス、気持ちの良い漢。また下層で会おう!


しかし、竜族ブレス攻撃の竜爆、恐るべし。

複数の竜族を相手にするとなれば、よっぽどの覚悟が要る。




さて、いよいよ、新境地。地下53階だ!


「ん?ここは?」

「お花畑?綺麗! 気持ちいいー」

のどかな草原。花が咲いている。草丈は低い。遠くに林も見える。

良い場所だな。お気に入り登録したくなる。


え?でも、、、敵がいない。

いるのは、蝶々、蜜蜂、それと黄色っぽい小動物が一匹。


「なにもいないねー、ねずみが一匹いるだけだよー?」

後足で顎をカカカッと搔いていた小動物の動きが、ぴたりと止まる。

タンッと、後ろ足で地面を強く叩いて音を響かせ、こっちをにらんでいる。


「あれ?ねずみちゃんが怒ったよ?」

タン、タンッ。ますます怒る小動物。

毛並みは黄色。体長30センチ弱。耳が少し長い。


鑑定

ドワーフうさぎ レベル1 5月 筋力1/敏捷性3/生命力1


「ハナ、ねずみじゃなくて、うさぎだぞ」

うさぎは、そうだそうだという顔をする。

機嫌を直したらしく、今度は前足をなめて、顔をこするようにしている。


「まあ、それはともかくとして、敵がいないな」

タンッ!また怒った?

「貴様らの目は節穴か。ここにわらわがおるではないか!」

うさぎがしゃべった!?


「我が名は『と。』53階を守っておる」

「と?変な名前ー」

タンッ!

「『と。』じゃ。このうつけどもめ!」


なんだか面倒くさい奴だな。

良く分からないけど、敵だというなら、斬るか。

長剣ウルティマをスラッと抜いて斬りつけようとすると、

うさぎはキィっと鳴いてその場でわずかに跳び上がった。


「な、何をするか!無礼者め」

ぶるぶる震えている。


な、何なんだ? 激しく調子が狂うぞ。


俺とハナが唖然として見つめる中で、うさぎは言う。

「貴様らのような不埒なやからは、妾が成敗してくれるわ。こうじゃ」


『と。』の攻撃なのか?

危険が迫る気配。


後頭部がぞくぞくする。

危機感知が発動しているぞ!











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