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ハナへの告白

ザース春13日朝

ライザに礼を言ってお暇し、亜空間訓練所へ。


「ふふふ、ハナさんよ、今日は狼ハナに素手でお相手させていただく」

「えー、狼ハナに丸腰ハジメじゃ相手にならないよー」

「まあまあ、そんなこと言えるのも今のうちだけ。ふふ、驚くなよ」


開始して数分。

驚いた!。。。俺が。


ボコボコにされた。なんで?

いつも以上に分が悪いような??


「ハジメ、弱くなった?」

「あれ?おっかしいなー」


幽体アストラルたいを見て格闘しているというのに。

分が悪い原因としてはこれしか考えられない。


ふーむ。

これまでは、気を感知するレーダーゾーンからの情報をメインに、視力情報をいわば、

バックミラーで確認するかのように、サブ情報として取り入れて格闘していた。

今は、視認した幽体アストラルたいの情報をメインに、気の感知をサブに、

体の視認をサブサブにしている。


地球での対人戦では幽体アストラルたいのコンマ数秒の予見と、誘導が効果的だった。

しかし、ハナは反応速度が桁違いに速いので、その分予見の有用性が下がる。

予見情報を視認して次にどうしようかを考えているうちに、実攻撃が来てしまう。

幽体アストラルたいを誘導しようとする間もなく、闘気を纏った実体攻撃が来るのだ。


さてこれはどうするべきか?

幽体アストラルたいの予見を捨て去るというのは下策だ。

これでは称号に申し訳ない。

何とか、予見を有効に活かすことを考えたい。


目で見るのがいけないのだろう。

レーダーゾーンは主に気を『感じる』機能だ。

視覚情報的に認識するが、『見て』いるわけではない。

大事なのはここだな。


幽視という文字面に引きずられ過ぎた。

別に目で見なくても、視覚情報的に幽体アストラルたいを、『感じて』認識すればいい。

換言すれば、幽体アストラルたいを認識するレーダーゾーンを第一に、

レーダーゾーンの気情報を第二に、ともに『感じる』ものとして脳裡に展開させる。


そして、肉体的に『見た』視覚情報は、遅れて入って来るバックミラー情報として、

実体の確認のための位置付けとすればいい。


「よし!ハナさんよ、再び狼ハナに素手でお相手させていただく」

「もー、大丈夫かなー?」


うん、今度はいい感じだぞ。

このフィーリングに、もっと慣れたい。

情報量はやたらに多いけれど、ジョーの補助もあるので違和感なく消化できてる。

だんだん、幽体アストラルたいを『感じて』反応する速度が速まってきた。

ハナの速度に対しても、幽体アストラルたいによる予見の有用性を感じる。


そして更に、幽体アストラルたいの動き自体をある程度予測する。

予見情報の動きを更に予測するのだ。

そして、その予測に基づく行動を基本とし、予測が外れた場合の対処のためのバッ

クミラー的情報として、感知した幽体アストラルたい情報を位置付けると、

もう一歩先の世界へ行けそうだ。


ややこしいので、もう一度言います。

幽体アストラルたい=予見情報、それ自体の予測をメインに、

実際に『感じた』予見情報をサブに。


もちろん予測による先行は、予測が外れた場合に対処が可能な範囲に留める。

予測が外れることを前提に無難に対処しながら、予測が当たれば一気に決定権を

握れるように立ち回るのだ。


攻防を続ける中でリズムがつかめて来たら、余裕があれば(これがなかなか無いのだが)、

幽体アストラルたいの誘導を試みる。無理は禁物。あくまで余裕があれば。


誘導は、合気道の立ち合いの際とは違って、しっかりとやる必要はない。

ほんの少しの誘導でいい。

僅かの誘導が成功すれば、幽体アストラルたいの動きの予測が確実になるので、

次の気及び体の勝負が圧倒的に有利になる。


合気道と違って実戦では、必ずしも投げ飛ばさなくて良い。

重心が流れて体勢を崩したところへ、一撃加えることで十分である。


よし、一撃が入った。狼ハナに素手の攻撃がクリーンヒットするのは久しぶりだ。

闘気導入後は初か?

うん、もう一撃入った。


「あれー?今度はハジメが急に強くなったよー??」

「ふふふ、攻撃に工夫がないと、今の俺には通用しないかもよ」

「えー!?」


楽しい。俺の進歩が確かめられたし、ハナの更なる進歩のためにも有用だろう。


 ハジメは幽体アストラルたい戦士の称号を得た

 ハジメはレベル38になった


おお!ハジメ側でもイベント性のレベルアップが!

これは本当に美味しい。



ここで、ちょっと休憩。


「ハナ、珍しいお菓子を手に入れてな」

アイス初心者向けに、イチゴのシロップが掛かったかき氷タイプのアイスを渡す。

「んん!?甘い!美味しい!ナニコレ、ナニコレ」

むふふ。予想通りの反応が嬉しい。


次にこれ。クッキーにチョコが掛かった奴。

「うわー!すっごい美味しい!!」


そしておやつ休憩の〆に、微炭酸の果汁入りジュース。

「プハー。天国!ここは天国!?」


喜んでくれたのはいいけど、ハナが俺にピッタリくっついて離れないぞ。

こら、鼻でつんつんして催促するんじゃない。

それは子狼だったときの授乳催促サインだろ!?


「落ち着けハナ。これからは今のお菓子はいつでも食べられる」

「ええー、何で何でー!?」

しまった、こうなるよな。

まあ、いつかは話さなければならないことだし。


「ハナ、実はな、」

かくかく、しかじか、と異世界召喚と日本のこと、次元転移で戻れるようになった

こと、魂が抜けると時間が止まること、そして新たなギフトのことを説明した。


シューシュー。

ん、この音は?


「ハナ、しっかりしろ」

頭から湯気が出ている音だった。


説明の仕方を変える。

「俺とハナが出会う前に、俺には俺の世界が、ハナにはハナの世界があったわけだ」

「うん、覚えてはいないけど、きっとそうだね」

「その俺の元の世界に、寝ているうちに行けるようになった」

「夢を見ているということ?」


「まあそうだ。ただし普通の夢と違って、俺はそこで新たな力を得ることができる。

格闘で急に進歩したのとか、さっきの珍しいお菓子が手に入るのはそのせいだ」

「新しいギフトなの?」

「そうだ。前からあった幽視が進歩したのと、新しく転写というギフトをもらった」


「ハジメが強くなるとハナも嬉しいよ!お菓子も食べれてうれしいよ!」

「うん、ありがとう」

ハナがプリンを食べながら蕩けそうな顔をしている。これが一番気に入ったかな?


「ハナもそのうち、ハナの元の世界の夢を見れるようになるかな?」

「そうかもな。なるといいな」

「うん!!」

〆たはずなのに、なぜかプリンを連続で2個食べながら、納得するハナであった。


ふー、とりあえずハナへの告りは、上手くまとまった。




さて訓練後半戦だ。

始める前に、ウルティマを転写で二つにする。

「ほぇ~、これが転写。すごい~」

「凄いだろ。壊れると困るから、転写元は保管して、転写先のを普段使いにする」

俺とハナの汎用服と銃も転写元を保管して、こっちももしもの事態に備えることとする。


「さあ、これでウルティマを心置きなく使えるぞ!」

そうなのだ。壊れるのが怖くて実は思い切り使えてなかったりした。

というのは、兆単位で気を込めると、プルプル震えるような感触があって、遠慮して

いたのだ。







告白と言っても、秘密の暴露の方です。


愛の告白っぽくて、紛らわしくてすみませんでした。

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