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戦争と、不良の因縁と

謁見室に現れたのは、領主殿ではなく、20歳前の爽やかイケメン好青年だった。


「私はアレックス・ウギス。父が留守ゆえ、名代として、、う、うわぁぁぁ!!」

なんだ?いきなり叫んで後ずさり、尻もちを付きそうになっている。


「し、失礼した。ごほん、君がハジメ、こちらがハナか。そうか、なるほど、ははははは」

今度は笑い出した。こいつ、大丈夫か?危ない奴なのか?


「アレックス様、どうなされました!?」

執事さんが慌てている。


「こほん、本当に失礼した。君たちの話は、父から重々聞かされている。我が領国

の宝だと。それでもなお、予想以上の傑物だったので取り乱してしまった。済まん」

あれ?いい方向の驚きと笑いってこと?隠蔽が甘かったかな。


「先の死合の勝利は君たちの功績だ。アリッサのことも感謝に耐えない。報酬とし

て釣り合うか分からぬが、これらの中から好きなものを選んで欲しい」

騎士団のいいポジションとか、領地だとか、行政の役職だとかを提示されたけど、

どれも要らないなー。


「旅をしながらの冒険者稼業なので、どれも受け取れない」

「そうか、では仕方がない。金貨1000枚を。金貨なら邪魔にはなるまい」

お金を受けとることにした。金に困ってはいないが、あれば役には立つからな。


む?アレックスの懐の鎖、あれは何かな?

「ああ、これは時計というものだよ。興味があるのかな?これで良かったら差

し上げるよ」

気前がいい。さすが好青年だ。時計もおまけで貰ってしまった。


「父は、今、南西のトラッサル平原へ向っている。アリッサも同行している。

その先には黒の森と魔の谷という獣と魔物の勢力圏があるが、どうやら獣魔物連

合の大規模攻勢がありそうな気配なんだ。獣魔物連合と人族がしばらく前からに

らみ合っていたが、今や一触即発だ」

「戦争になるということか?」

「そうだ。この大陸では人族の勢力が強い。普段仲が良いとは言えない獣と魔物

が結託するのは、人族との戦争のためなんだ」

「獣と魔物は一枚岩ではない?」

「戦略的結託に過ぎない。魔物の勢力が強い地では、人族と獣が協力することに、

獣の勢力圏では人族と魔物が協力することになる」


「獣も魔物も個々は強力だ。人族では戦いにならないのではないか?」

「人族には戦争ボーナスがあるからそうとも言えない。他人数の兵団で戦争を行う

人族には、強さのプラス補正がある。加えて戦闘行為に参加すると通常戦闘より格

段にレベルアップしやすいので、人族の戦争参加希望者は多い。そのため、こと戦

争となると人族は獣や魔物においそれと引けはとらないんだ」


なんだその不思議現象は?まあ今更驚かないが。

ただ、どの程度の補正なのか、それと、レベルアップのことも大いに興味はある。


「とは言え敵は強い。将兵の戦傷や戦死は避けられないし、敗戦もあり得る」

まあ、そうだろうな。戦争だもんな。


「君達が参戦してくれれば、これほど心強いことはない。冒険者ギルドには緊急

依頼を出してあるが、君達が引き受けてくれれば手続きは僕の方でやっておく」

「今から行って間に合うのか?」

「戦場は飛竜で3日、馬車で20日の距離。戦闘は短くてひと月、長ければ数年

続くこともある」


「間に合うなら行ってみたいなー」

ハナ、これは遊びじゃないんだけどな。でも俺も気になる。それに、どんな修羅

場でも迷宮ほどじゃないような?迷宮40階より下なら人族の兵団は一か月持た

ない気がする。考えが甘いかな?


「俺達で役に立てるなら参戦するよ」

「そうか!ありがたい。食料その他の手配は、セスバチャン、任せたぞ」

名代のアレックスは謁見の間を出て行った。執事さんはセスバチャンというのか。

なんか、惜しい!


執事さんに、食料や水を用意してもらい、収納した。馬や飛竜は断った。戦場の

場所と行き方だけ詳しく聞いた。

「実は足はもう確保できている」

「さようでございますか。さすがハジメ様です」

うん、馬でも飛竜でもなくて、狼なんだけどね。


執事さんいわく、アレックスはウギス家の希望の星らしい。若くても優秀で冷静

沈着。今日みたいに取り乱すのは初めて見たとのこと。

また、おまけで気軽にもらえた時計だけど、貴重な品で家宝の類らしい。



領主の館を後にして、宿に向って歩きながら、ジョーと脳内会話した。

「さっきの話で気になることが2点あったジョ」

「やっぱり、時計と飛竜か?」

「いや。ひとつは人、獣、魔物のうち、勢力が強い種族と戦争する時は、他の2

種族が結託するという点、もう一つは弱い人族への戦争ボーナスという点だ。

どちらも戦闘が拮抗するような仕組みだと思えるジョ」


「まあ不思議世界だからね。でも確かにザースではどこを向いても闘い奨励って

感じだよなー」

「そもそも通常のレベルアップの仕組みからしてもそうだジョ」


「戦争ボーナスって、戦争に参加すれば俺とハナもレベルアップするかな?」

「可能性はあるジョ。迷宮でのレベルアップを見ても、経験値積み上げとは別のイ

ベント対応的な性質のレベルアップはあると考えられるジョ」

「そういえば、10階単位とか、51,52みたいに1階単位だったりするもんな」


領都の宿を引き払って、戦場のトラッサル平原へ向かう。



ハナ狼型に乗って空を翔ること数時間。執事さんに書いて貰った地図の半分程は進

んだ、これなら明日中に着くな。


街道を少し外れた大木の根元を拠点として亜空間訓練所で一通り訓練。闘気と短距

離転移を中心に。


平原に沈む夕日を見ながら夕飯を食べて、ハナと遊んだりジョーと話をしたりしな

がら過ごし、今夜は亜空間避難所で眠ることにする。


ハナお休み。スース―早いね。時刻は8時。こんな時間にいつも寝てたんだw。

さてと。



異世界定期便 第3便 ザース11日目夜街道の大木→日本7/21夜自宅



自分の部屋の自分のベッドで眠るのは久しぶりだ。体感的にはね。


朝、目を覚ましたら9時だった。7月22日。

もう両親は出勤している。朝食は自分で作る。ラーメンも食べたいしごはんも食

べたいので、袋ラーメンに肉と野菜を投入して、おかずにして白米のご飯を食べた。

麺とごはんは新鮮だったけど、ザースの肉野菜煮込み風になってしまった。

むう、失敗だ。



今日はジョーの希望通りに図書館へ行く。わざわざ隣町の図書館へ。

俺なら絶対読まない物理とか化学とか工学とかの本をパラパラ速度で読みまくる予

定だからだ。


ジョー先生、ほんと読むのが尋常じゃなく早い。ほとんどめくってるだけに思える。

書架で何冊も物色して、3階の自習室まで運んでパラパラめくって、返してまた運

んで。

自習室は夏休みだけあって、中高生が多かった。俺がガタガタパラパラ煩いので、

ちょっと周囲に迷惑掛けてるっぽい。


「あれ?藤堂だ。おーい、とーどー」

同じクラスの斉木だ。こいつはちょっとうざいお節介女なんだ。全く、露骨に周り

から顔を顰められてしまったぞ。


斉木においでと手で合図して、自習室の外に出た。

「お前なー、大声出したら周りに迷惑だろ」

「そっか、それにしても、藤堂さっきから何やってんの?」

「藤堂がこっちの図書館にいるの珍しいよね」

あ、白石もいる。この娘はクラス一の、というか学校一の美少女だ。色白で目鼻立

ちが極端に整っていて、すらりと背が高くモデル風。中学生には見えない。見た目

17~18歳くらい?

まあ、俺としては、お節介女も美少女もどっちも苦手なんだけどな。



「あのな、ここで騒いでても煩くて迷惑なんだよ」

突然、ドスの利いた抑えた低い声。

む、不良高校生風が数人。自習室で俺のことを顔を顰めて見ていた奴らだ。


どうやって謝ろうかなーと考えていたら、

「ちょっとこっちで話しようぜ」

と肩を掴まれて、男子トイレに連行されて行く。んん?何か面倒なことになったぞ。

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