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異世界定期便

まずはザースへ転移できるかを確かめよう。


式神で小さなやもりを作って、感覚をつなげる。

「お前は式もり。俺の目、耳となれよ」

「きゅきゅきゅ」

式もりは、壁をするすると登って天井の隅にへばりついた。

まあ、あれだ。念のためだ。


そして時計を腕に嵌めて、さあ出かけよう。

「おばあちゃん、ちょっと外に出る。すぐ戻るから」

「おや、またかい。6時までには帰ってくるんだよ」


さて、人気のないのを確認して、洞窟へ転移。しゅっ。

ぽん。

ここからだと、ザースへの転移ができそうな気がする。


「ん?んん?んんん?だめだ。領都の宿の部屋の紐は感知できるけど、

飛べない」

「あそこの泉に手を浸して、もう一度やってみるジョ」

ああ、そういえば。過去2回とも、転移時にあの水に浸かってたな。


水に手を浸す。そして転移先をイメージする。

うん、ザースにいた最後の場所。隣でハナがスース―寝ているあの宿の部屋だ。

崖を飛び越えるような恐怖感がある。けど、飛べなくはないはずだ。


よし、時刻は午後3時45分ジャスト。

式ねずみを作成し、時計にねずみの視線を合わせておいて、時計付属のストッ

プウォッチ機能を始動。

同時に、ザースへジャーンプ!むむむ、またしても抵抗が、むぎゅぎゅー。。。


ぽんっ。出た。

ザースだ、領都の宿の部屋だ。ハナはスース―寝ている。

俺の体は、、、ザースではお馴染み、いつもの5歳児の体だ。

腕時計は?無い。


どうやら異世界間転移は、物はだめらしい。

「転移はハジメの魂だけのようだジョ」


式もりの感覚共有はどうか?

おお!部屋が見える。モノクロ。動きは特になし。

音は、無音。

式神経由の感覚情報は繋がるようだ。

式ネズミの方は?時計が見える。やはりモノクロ。デジタルの100分の1秒

の数字が全く動いていない。

時間はやはり停止しているようだ。

時間が止まっているなら、留守にしている方の世界を、監視する価値はない。


時間の流れ問題は、しっかりと確認しておきたい。

俺がザースを留守にしている時、ザースの時間は停止するのか、流れるのか。

工作のギフトをオンにして、簡単な砂時計を作ってみる。数分経過。できた。

砂時計をひっくり返して、再度洞窟へジャンプ―、ミュギミュグ、ぽん。

ちなみに、式もりのいる部屋へのジャンプは出来なかった。


洞窟内。時刻午後3時45分ジャスト。戻ってすぐにストップウォッチを停止。

0.15秒の表示。その場でもう一度、ストップウォッチを始動、停止、0.30秒。

うん、これは、俺の神経伝達速度によるものだな。

ということは、ザースでの数分は、日本ではゼロ。

やはり俺が過ごしたザースの10日の間、日本では時間が停止していたようだ。


自己確認してみる。

藤堂創 人 15歳 レベル2 職業中学生

基礎値 筋力2/敏捷性2/生命力2

    気力2兆3788億/気速2兆3788億/気量1270兆9328億/活力2

ギフト ポイント52 

式神 再生 幽視

魔法創造登録

罠対応

理力操作/熱操作/地操作/空気操作/光操作/水操作/聖操作/闇操作/素粒子操作

空間操作/重力操作/時間操作

気授受 生命力授受

危機感知 同大 同極/危機対応 同大 同極

物理耐性極/魔法耐極

隠形/状態異常耐性 同大 同極

索敵/鑑定/判別

自然充填 同大 同極/自然回復 同大 同極

成長促進 同大 同極

蘇り 武器技能 付与

自己確認/他者確認/表示変更/言語対応

神知/自由設定


おおお!気関連とギフトは以前のままだ。

しかし!レベルが2になり、体力関連が人族のレベル2標準だ。

これは、魂はハジメで鍛えたそのままで、体だけ藤堂創ヴァージョンというこ

とか。なんということでしょう!


亜空間を作って、腕時計と洞窟内の石ころを収納した。

ザースで作っていた収納その他の亜空間は、ここからは一切アクセス出来ない。


この後、再度ザースへ異世界転移!ピョン、むぎゅ、ぽん。

スース―寝息。砂時計ひっくり返す。ほとんど砂落ちてない。数粒。

もう一度ひっくり返して、また逆さに。数粒が倍に。ふむ、実質経過時間ゼロだ。


「日本で時間が経過しても、ザースでは時間が止まっているようだな」

「ハジメの魂の存在する方の世界でのみ時間が流れるということだジョ」

「そんな、まさか、俺が世界の中心みたいな」

「ハジメ視点で見た相対的な時間の流れ。他の人からすれば止まることなく、

正常に流れているジョ」

「?」


「ザースで時間操作を行える個体が時間の流れを遅くしたり停止したりしても、

他の個体は影響を受けずに正常時間の流れの中で過ごすのと同じだジョ」

「??」

「まあ事実を事実として受け入れればそれでいいジョ」

「そ、そうだな。悩んだら負けだな」


ザースでハジメ5歳を鑑定したら、以前のハジメのままだった。

体関係の数値も高いまま。

ザース産の亜空間を調べたら、これも前のままで異常なし。

日本で作った亜空間には、ザースからはアクセス出来ない。



以上、判明事項をまとめてみる。


日本とザースを繋ぐのは、この秘密基地のある洞窟の泉の水だけ。

その水に一部を浸している藤堂創の体が異世界転移の鍵というか、唯一の通路

であるようだ。

各世界の亜空間も異世界には繋がらない。


行き来できるのは俺の魂だけ。物の移動は不可。


時間が流れるのは俺の魂というか意識がある方の世界のみ。

抜けた世界の時間は停止しており、戻った時点でタイムラグなく流れ始める。


日本での藤堂創15歳とザースのハジメ5歳は、魂は共通で、気関連の力、ギフト

も共通、ただし、体は別個で、筋力・敏捷性・生命力・活力は別々。

藤堂創はレベル2で、体関連の基礎数値は著しく低い。


日本でも魔法は使えるが、藤堂創の体が出来ていないので要注意。



さて、それでどうする?


「とりあえず、ザースの時間を止めたまま、日本へ戻ってみるか」

「日本で1日過ごして、寝床に入ったらザースへ帰るのがいいと思うジョ」


「なるほど、日本で寝る準備しておいて、寝入りばなのザースへ飛んで、

そのままザースの夜を朝までぐっすり。でザースで1日過ごして、

寝る準備したら、日本へ飛んで日本の夜を眠ると。

ははは。何か面白いや。当面これでやってみよう!」


名付けて、異世界定期便(笑)。


さあ、まずは第1便。

ザース10日め夜の領都宿→日本祖父母の家(洞窟の泉経由)


「15歳の藤堂創は、気と体力のバランスが悪すぎるジョ。

気の使い方を誤ると体がもたないジョ」

「魔法発動の反動で体バラバラとか炭化とか、勘弁して欲しい。。。」

「回復系のギフトが活きてるから、日本でも超回復、準超回復の日課を続けて、

体力強化だジョ」

「うん、ついでに気関連の更なるアップもやっちゃおう」


ということで、メイドインジャパンの亜空間の訓練所、避難所、再生準備室、

吸気袋、吸生袋を作った。


ちなみに、蘇りの部屋はザースのを解除しない限り出来ないようだ。

「てことは日本で再生不能状態で死んだら終わり?」

「ザースの亜空間で蘇りそうだけど、確証はないジョ」

「まあ、こればっかりは、試せないから出たとこ勝負だな」


まあ、普通は死んだら終わりだから、再生もするし、更には蘇りの出たとこ勝負

が出来るだけでも、ずいぶんましなのである。


日本産亜空間訓練所で、訓練をひととおり回した。

2しかない体力関連を10%の0.2に落とす作業が微妙で難しかった。

一気に0にして、訓練で死んだら笑えない。

しかし体力関連の自然回復が瞬時なので、いつもより短時間で訓練終了。


これで体力関連は、倍の各4になった。


ついでに気の関係も倍になった。

ん、日課の朝の超回復と準超回復、夜の超回復、これで日本での体関係

の基礎数値は、筋力と敏捷性は1日で各4倍、生命力は8倍。

気の関係は、ザースの分との相乗効果で気力と気速が各16倍、気量は64倍。

なんとまあ、気の遠くなるようなチートであることよ!

日本の藤堂創の数日で、スーパーボディになりそうだ。


「訓練やってみて感じたんだけど、魔法の効果を、ザースでの効果と同じにす

るには日本だと約10倍の気量が必要になるぞ」

「ザースと日本との、場の力というか、惑星の力の違いだと思われるジョ」

「うんまあ、俺の気量からすれば全然問題ないけどね。というか日本で大規模魔法

を使う機会があるとは思えないしなー」



ただし、活力は2のまま。これが課題になりそうだ。

レベルアップは簡単には出来そうにない。


ザースの魔道具屋で買った活力の指輪。あれはいい。

気を活力に変換する便利グッズで、ザースでは重宝しているが、その日本産

を作れないだろうか。


地操作で洞窟の岩から金属を精製して指輪を制作し、気を活力に変換する術式

を組み込む。

即席の活力の指輪の出来上がり。

これで、活力もまあ一安心と言えるだろう。

活力2以上にはできないけれど、減っても膨大な気量でいくらでも補充できる。


しかし、無骨な指輪。

中3男子が指輪かー。悪目立ちするなー。

まあ、対策はおいおい考えよう。




俺は、これから日本で、俺のこのチート能力を使って、どうやって生きて行こう?


将来のことなんて、あんま真面目に考えたことなかったしなー。

幸い夏休み中でもあることだし、ゆっくり考えればいいや。




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