表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/136

迷宮の密林で一皮むけた

転生6日目の朝、はる屋の自室から、亜空間の避難所に籠り、訓練実施。

超回復と準超回復を一巡させる。

いずれは専用の訓練空間を作りたいけれど、とりあえずは避難所兼訓練所で十分。


昨日はとてもいい日だった。朝から気分がいい。気持ちが充実している。

買い食いと食料貯蔵をいつものようにこなしながら、迷宮へ向かってゆっくり歩く。


「ほら、あの子だぜ、昨日バルガンを手玉にとったって」

「うそ、バルガンて戦闘力だけなら既にランクB相当だろ?」

「すんごい火球だったってさ」

「巨人族の子供って聞いたけど」

「いや、見た目子供だけど、小人族の成人らしいよ」

ふふふ、色々言われてる。この体、聴力も相当鋭敏だわ。何言ってるか聞こえてま

すよ。



迷宮前のテントでは、ギルド職員は別の人だったが、衛兵は昨日までの人だった。

「よう、毎日ご苦労さん。期待の超新星だってな。今日も死ぬなよ。良かったら救

助隊への入隊も考えてくれよ、歓迎するぞ」

ああ、この人は、迷宮の保険の方面の仕事をしてるのかな。緊急連絡があったら救

助に向かうっていうあれか。

「んー、考えてみる。けどたぶん入隊しない」

と正直に告げて置こう。



さて今日は迷宮地下13階からの再スタートだ。

身も心もリフレッシュして、心機一転、ジャングルに踏み出す。

昨日みたいに闇雲に突き進まないで、もっとクレバーに行きたい。


壁の前でじっくりと考える。ここに壁は見えない。ところが障害となっている植物

をかき分けてもかき分けてもキリがなくて進めない。

ふむ、突破できないのは植物のせいじゃない。植物はダミーだ。近寄れば近寄るほ

ど押し返す力が強くなる。バリアというか、何かの力場がある。


この力場がどういう構成で成り立っているのかを知ることは出来なかった。

ただ、その力場を感知する方法が色々あることは判明した。


空気操作による振動波、一種の超音波なのかな。その反射が壁と他の通常の物質と

では明らかに異質なのでそれで区別が可能だ。エコーロケーションって言う奴だ。


このエコーロケーションを、前方だけでなく全方位に展開してみる。

おおおおお!何か脳内に3次元の視界が新たに発生したような衝撃。


全方位での、物の形や表面の性質の違い、それと何らかの動きがあった場合にはそ

れも感知できる!

目視では分からなかった力場の壁の判別ができるようになったのはもちろん、それ

以上の大きな収穫があった。


試しに今度は、熱操作での熱感知を鋭敏にしてみると、おおおおお!周囲の温度の

差異を感知できるぞ。

周りよりも温度が低いところや高いところの区別が意識できる。慣れると、不自然

な温度分布で高体温や低体温の生物の存在が分かる。赤外線暗視装置みたいな感じ

だな。

これは動かずにじっと潜んでいる敵の発見にも役立つ。


調子にのって、水操作と土操作での液体や鉱物結晶の成分比較感知、

理力と勘を駆使しての気の感知、これらでも同様の全方位レーダー的な感覚ゾーン

を構築できるか試してみた。できた。


そしてそれらを全部同時展開すると、おおおおお!これは凄い。

霧は霧として、葉っぱは葉っぱとして存在を感知できるものの、そこで感覚が遮断

されることなく、奥に潜む生物の存在、その動き、気の大きさと性質、もちろん力

場としての壁の存在とその形状まで、凄くよく分かる!!

半径10メートルの球状の多重感知ゾーンだ。


操作系のオリジン魔法は、感知にも威力を発揮した。


さらにそこに脳内索敵マップと判別機能を重ねてみると。

うん、これまで平面だった索敵が立体的になり、範囲内の敵の存在とその危険性が

一目瞭然だ。

索敵マップ上の敵光点に意識を合わせると、もちろん鑑定や他者確認もできる。

鑑定には若干の、他者確認にはそれ以上のタイムラグがあるけどね。


半径10メートルを超えると、索敵マップは平面に戻ってしまうが、半径10メー

トルはかなり広い。

通常速度で接近する敵やその他の脅威を感知するには充分だろう。


このレーダーゾーンの開発は収穫だった。

状況判断力が段違いに跳ね上がり、攻撃防御そのものではないけれど、戦闘に大い

に貢献する。

これでまた強くなった。数字にはあらわれない強さを手に入れた。



そして、そもそもの目的だった、迷宮密林の探査も格段に楽になった。

進むべき道は見える。というか分かる。

障害物となっているものを、必要最低限で排斥すれば足りる。オーバーキルは不要

だ。


そして擬態や隠形を駆使する敵の存在も、背後に突然出現する敵の動向も、ばっち

り把握できる。



密林の試練は、この感知能力を磨くためのものだったのか?

とにかく結果的にはそうなった。結果大オーライである。


進行も楽になったし、敵への対応も楽になった。もはや鬱陶しい感じはしない。

体の周囲の空気は温度も湿度も適切にして、空調完璧だしね。



そんなこんなで順調にさくさく進む。


途中ちょっと疲れたら結界を張って、亜空間避難所で休憩できるし、更にはそこか

らはる屋の自室で寛ぐこともできる。そして英気を養ってから瞬時に迷宮内に戻る。

我ながら凄い、凄すぎる。


地下13階、14階、15階と順調に踏破して地下16階へ踏み込んだところでお

昼休憩。はる屋の自室まで戻って少し長めに休息。


俺はひとつレベルアップしてレベル6になり冒険者ランクはBになった。

ハナはふたつレベルアップして俺と同じくレベル6になった。

種族進化は無かった。残念。


俺とハナのレベルアップを比べると、ハナの方がレベルアップに必要な経験値が少

なくて済むようだ。

俺たちは獲得経験値を調整しながら、同レベルになるように調整している。今のと

ころ上手く行っている。

なお、レベルアップに伴う基礎数値の上昇率は俺よりハナの方が高い。


冒険者ギルドの討伐依頼は、既に全て達成済みになった。

ちなみに、討伐依頼には対象敵の出現場所が記載されているが、迷宮地下15階ま

でで、16階から下のものは掲示が無かった。何が出るか知ることができないから

だろうか?判明したら知らせた方がいいのだろうか。報告して依頼が出ても、わざ

わざ戻って討伐したいとは思わないな。まあいいか。頼まれたらやろう。それまで

は放置しよう。


午後は16階から下へ行くぞ。今日中にどこまで行けるかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ