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えっ、地下11階からはこんな感じ!?

亜空間食糧庫から、すぐに食べれる出来合い料理を出し、水操作で飲料水を作り冷

やして飲んだ。この街の食べ物は基本的にパンと肉野菜炒めか肉野菜の煮物だ。

幸い俺は食べ物にはさほどこだわらない方なので問題ない。

食べられればよし、不味くなければ御の字、美味けりゃなおよし。


早食い10分、仮眠15分でリフレッシュ。活力も指輪を使うまでもなく満タンだ。

探索再開、さくさくと下り階段までたどり着き、いよいよ新天地地下11階へ。

うん?階段下半分がいきなり葉っぱなんですがどうなってんの?



階段は無くなり、代わりに葉っぱと枝を伝って地面に降り立った。

「ええーっ、何じゃこりゃあ!!」

思わず叫んでしまった。これが迷宮?ジャングルじゃん。道無いじゃん。どうする

の?


そこは霧深い密林だった。視界は1メートルほどしかない。ていうか、葉っぱやつる

や木の枝と幹で先が見えないよ。


草をかき分け、枝を打ち払って、道を作りながら先へ進む。そうすると、枝が横か

ら出てきたり、かき分けてもかき分けても草で進めないところがある。

ははぁ、いわばここが壁で進めるところが道か。

こりゃあ大変だ。下り階段の位置を示す地図と現在位置が確認できる脳内マップが

あってよかった。とにかく先へ進むだけでも大変だ。


地下11階の敵は密林にふさわしい奴らだった。

まずは植物に擬態した魔物というか、魔物化した植物というか、トラッププラント

と鑑定される敵は草だったり蔓だったり枝葉の形態をとっている。人がうっかり手

足を近付けるとバチンと鋭利な刃で挟み込み切断しようとしたり、蔓や枝をふるっ

て斬撃プラス打撃の攻撃を仕掛けてきたりする。

地面や植物の表面に潜んで、火系の攻撃をするファイアアント、こいつは小さいと

ころがやっかいだ。物理と土系攻撃をするストーンビートルは、家猫ほどの大きさ

で外殻が硬い。

葉っぱに擬態して風系攻撃をするリーフバラフライ。樹間をトリッキーに素早く移

動するグリーンモンキーは物理オンリーだが木の枝や爆発する木の実を投げつけて

来る。


こいつらが3匹一組で1体扱いで、最大18匹を相手にしなければならない。

レベル1から5まで混在している。

1匹1匹はさほど強くないが、とにかく数が多くてうっとおしい。

蒸し暑く、視界も悪く、道も分かりにくく、戦闘中に方向感を見失しなったりする

と、迷ってしまい、体力気力を徐々に削られて遭難ということになりかねない。


右手に普通の短剣、左手にウルティマ短剣の二刀流で、間合いに入ったトラッププ

ラントとリーフバタフライを切り裂き、瞬時にウルティマを細長い槍状に変形させ

てジャンプ移動するグリーンモンキーをしとめる。小さめで速度重視の氷弾でファ

イアアントの火攻撃を相殺しつつ余力でそのままアントを潰し、粘性の高い火球を

ストーンビートルにぶつけて焼殺す。

ハナは、優れた索敵で、敵軌道を的確に予測しつつ、4肢の打撃と爪攻撃、尻尾と

角攻撃、それぞれに効果的に獣気の射程延長も交えつつ、そこそこの太さの幹程度

ならそれごと粉砕しながら敵を滅する。

敵襲撃の直前に周囲の状況をしっかり記憶に刻んでおき、戦闘終了時には、どちら

に向かいつつあったのかを誤ることなく、正しい方向に進行を再開する。

暑さと湿気に注意して、汗を布で拭いつつ、こまめに水分摂取を励行する。

まじめにやるとこんな感じ。


チートパターンとしては、前方をマイナス100℃以下に瞬間冷凍してパリパリにし、

風刃のラッセルで粉々に砕きながら前進する。進めれば道。進めないようなら壁。

進行方向以外から接近する敵気配を察知したら瞬間冷凍して、物理攻撃で粉砕。

俺とハナが密着して立体的に分断して担当ゾーンを決めて置いて迎撃する。


冷気のかわりに熱気でも可。ただし延焼防止のため、熱したらその後は冷却する。

瞬時の温度変化がなかなか効果的だけれど燃費の関係で冷気主体がベター。


冷気の代わりにウルティマをバルカン砲形態にして、理力弾を高速で多数撃ち出し

ながらの疑似物理攻撃で道を切り開くのもまたよし。射線を移動させることにより、

多方向からの敵襲迎撃も容易。ただし壁至近での跳弾には要注意。


こんな感じ。

10階までよりは、かなり面倒になったけれど、敵が強いということではない。


地下12階への下り階段は、縦穴に垂れさがっている蔓を伝っての懸垂下降だった。

こりゃあ逆方向に上るのは体重の重い人は大変だわ。俺は軽いし、ハナはジャンプ

できちゃうけどね。


地下12階も同じような感じ。植物系、昆虫系、動物系の敵で、擬態・保護色・数・

特殊攻撃を駆使して仕掛けてくる。敵の種類、数、レベルが多少変わっても、俺と

ハナの対応の基本は変わらない。むしろ敵よりも舞台にてこずった。木のうろをく

ぐったり、少し上って枝を伝って壁を乗り越えないと先へすすめなかったりという

3次元迷路になっていたりして、解明に苦労していらいらした。


紙の地図の案内はかなり変化していてあまり役に立たない。地下13階への階段の

位置も変化していた。もはや階段というよりは垂直方向進路と頭を切り替えるべき

であり、ここは、長いループ状の下り坂であり、木の根を切り裂いて抜けたら、そ

の先がもう下の階だった。うそん。


ちょっと迷宮を舐めてたかも。体力的にはそうでもないけれど、精神的に疲弊した。

これ以上迷宮にとどまっているのは、ちょっときつい。夜の密林で野営するのは気

が滅入る。

安全地帯の転移室にいてもさ、なんか鳥や獣の声が、ホウホウとかギャースとか聞

こえたら嫌じゃん。

幸い、地下12階の転移部屋は現在地から割と近いので、そこを目指す。

はい予定変更です。ヘタレ野郎です。


地下12階の転移室までは近かったが、結構しんどかった。例の3次元構造で進行に

難渋したからである。それとふと気付いたのだが、蚊の集団が魔物だった。モスキー

トレベル1なのだ。

普通の蚊と異なってきつい吸血攻撃があるようだ。

俺は3次元的な範囲攻撃魔法を苦も無く使えるので、特に意識していなかったが、契

約魔法では火魔法なら上級のファイアミストやファイアーストームを使わなくてはな

らない。上級は狭い場所では効果が大き過ぎて味方への自爆となる恐れが高い。

どうやって戦うのだろう。

まあ、人様の心配までする必要はないな。疲れてくるとろくなことを考えないよ。


ふう、やっと転移部屋にたどりついた。


ランクはCのまま、レベルはやっとこさ5、ハナのレベルは4のままだった。敵の1

体1体が弱いし、集団で数は多くてももうっとおしいだけで脅威ではなかったから経

験値的には美味しくなかったということかな?


でも午後の超回復1周りは達成できたので、それによる基礎数値は倍化は達成した。

今こんな感じ。


自己確認

ハジメ 人族 5歳 レベル5 10%

称号 迷宮の申し子

職業 冒険者

装備 上質ローブ 軽快靴

基礎値 筋力3240/敏捷性3240/生命力12960/気力7560/気速7560/気量31860/活力25

攻撃力 3240+7560(理力)=10800

防御力 3240+7560(理力)=10800

備考 魔法道具職人 密林の殲滅者


他者確認

ハナ 獣族 幻狼(進化種) 1か月 レベル4 40%

称号 迷宮の申し子にしてハジメの僕獣

職業 なし

装備 なし

基礎値 筋力2400/敏捷性3600/生命力6000/獣力1400/獣気速2000/獣気量2000/活力200

攻撃力 3000プラスα

防御力 2400プラスα

備考  サイズ変更化


地上に戻って来ちゃった。


ハナは変化して、朝方よりも少し幼いくらいの中型犬程度になってもらった。

徐々にやらないとね。


まだ陽が高い。そんなに時間は経過してなかったのか。

迷宮前のテントでギルド職員のおっさんにカードを渡す。何かにやにやしていたお

っさんだったが、俺のカードを見て、更に裏返して見て、絶句していた。書類をめ

くって何度もカードと突き合わせて確認し、何か書き込んで、カードを返したくれ

たが表情が凍り付いたようになっている。隣の衛兵もだ。

そうか、俺が急激にランクアップして、依頼も一日で全部達成したので不審に思っ

ているのかな。

ここで問い正さないのは、面倒を避けるためという心積りなのかな。


なんだかちょっと、凹んだ気分になって、西門をくぐってから木陰で少し飲み食い

して、迷宮ジャングル時よりも随分可愛くなったハナをひとしきり撫でて気持ちを

落ち着かせてから、冒険者ギルドに向かう。


嫌な予感がするけど、気のせいだよな。ほら、ジャングル疲れっていうかさ。

ギルドにはいずれは行かなきゃならないよ。依頼の達成報告をして報酬をもらわな

いとだし、ランクCのあらたな討伐依頼も受けて置きたいし。


と自らを叱咤して、ハナを木陰につなぎ、ギルドの建物へ入っていく俺だった。



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