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街に入るにあたっての準備

軽く朝食を済ませてから、街道に向けて南進を再開した。


途中エンカウントする雑魚敵を蹴散らしながら順調に進む。

判別で青い敵は今やほとんど経験値の足しにならない。

弱いほど青色が淡くなって中立色の白に近づいて行く。雑草とか虫けらとあまり変

わらない扱いになってしまうので構うだけ損だ。

角うさぎや陸ガメ王鷹など肉が美味しい敵は狩って肉保存空間に収納し、ゴブリン

みたいにつきまとってうざい相手は蹂躙するが、その他は無視だ。

そもそも、それなりの知性のある魔物や獣は俺たちを避けて逃げて行く。

このまま順調に進めば、陽のあるうちに街に着きそうだ。


「あのさ、俺の街でのキャラ設定はどうしようか」

「ふむ。まだ右も左も分からないから、最初からあまり目立ちたくはないね。かと

言ってあまり縮こまり過ぎるのも窮屈だ。行動の自由が効く冒険者で職業登録した

いから、それなりの能力が必要だし、見た目との調和もある程度考慮したい。

うーん、火魔法と水魔法を操れる駆け出し魔法使い何かがいいんじゃないか」

「おお、1万人にひとりのギフトふたつ持ちの天才児ね。でも身元をどう説明する?」

「そうだね、気が付いたら兄と二人で草原で暮らしていた、兄が死んだので街に出て

来たってことにしよう」

「うわあ、そんなんで通用するの?」

「この世界は情報の流通が極端に少なくて遅い。人が死ぬのはありふれていて、孤児

や浮浪児は多い。戸籍や住民票なんかも無いから、大丈夫だと思うよ。ただ、あんま

り色々突っ込まれるとボロが出るから、寡黙なキャラということにして、都合の悪い

ことはだんまりか分からない振りでやり過ごそう」

「ははは、それなら何とかなりそうだ」

「ハナは首輪と引綱を付けて、僕獣と一目で分かるようにしておけば連れて歩ける」

「了解」「わぉん」


鑑定ではどこまで表示されるんだったかな?自分を鑑定してみる。


鑑定 ハジメ 人族 5歳 レベル2

称号 絶対強者の卵

職業 なし


「鑑定のギフト持ちからは、俺はこう鑑定されるのか?」

「ああ。本来の鑑定ギフトならそうなる。ほかに職業ギフトというのがあって、領

主やギルドマスターのような行政の長には職業上の鑑定ギフトが与えられていて、

それだと称号は見れない」


鑑定 ハジメ 人族 5歳 レベル2

職業 なし


こんな感じだね。


「表示変更ギフトを使って表示を偽って、再鑑定してみて」


鑑定 ハジメ ホビット族(偽) 15歳(偽) レベル10(偽)

職業 冒険者(偽)


「おお!」

「同格の相手には偽証かどうかは看破される。さらにずっと格上の相手だと真実の

表示が暴かれる。」

「その格付けは何によるの?」

「鑑定の場合は主に気力だけど、気量だとかレベルだとか人生経験だとかの総合力」

「ふうむ、偽装してると分かるだけでも、怪しい奴のレッテルを張られるね。。。」

「できるだけ気力を上げておこう」


「他者確認のギフトはごまかせないんだよね」

「偽装はできない。ただ表示変更による隠蔽は自由にできるので隠されていることが

多いよ。あと隠形も通用する」

備考欄は全部隠蔽できるんだ。理力も誤魔化して、装備も外せばこんな感じ。

火魔法と水魔法だけつけて見た。そして隠形を発揮すると。


ハジメ 人族 5歳 レベル2 30%

称号 絶対強者の卵

職業 なし

装備 なし

備考  ギフト2 火魔法 水魔法


「称号がやばいね」

「やばいね。ただ、他者確認ギフトを持っている者は極めて稀だから。

 称号も多くの場合は意味があいまいだし、あまり気にしないことだ」

「まあ、ばれた時は、それはそれ、しょうがないね」


「あと注意して欲しいのは、称号や備考の表示内容は、見た目とか雰囲気に出るから

ギフトを持たない普通の人にも、全体の印象として伝わる。人を見る目のある人には

ある程度分かってしまうということ」

「ふーん。人間性として出ちゃうんだ。なるほど。。。」


ということで、とりあえず、よそ行きの表示は偽装はせずに、隠せるところだけは全

部隠して、こんな感じ。

称号の偽装は、他者確認ギフトで見ない限りはバレません。

称号偽装で、雰囲気はより野生児っぽく一般人にも伝わる。ていうか実際野生児なん

だけどね。

鑑定 ハジメ 人族 5歳 レベル2

称号 野生児

職業 なし


気力の高い同格の人からみたら、

鑑定 ハジメ 人族 5歳 レベル2

称号 野生児(偽)

職業 なし


職業ギフトの鑑定ではこんな感じ。

鑑定 ハジメ 人族 5歳 レベル2

職業 なし


さて、ついでに偽装する魔法を練習してみることした。

古代語の詠唱は無理っぽいので、ギフトの火魔法と詠唱短縮をつけて見る。


火魔法の初級リストはこうなってる

初級 気力量2 火炎ファイアクリエイト 火球ファイアボール

        火矢ファイアアロー   火盾ファイアシールド


ファイアクリエイトは、手元に火を作り出す。あまり実戦向きではない。むしろ

生活向き。

ファイアボールは、基本となる戦術火魔法。

ファイアアローは、威力は火球に劣るが、飛翔速度が速く、貫通力があってある

程度内部まで焼くことができる。

ファイアシールドは、水矢の相殺などで使えるが、あまり実戦的ではない。


初級では気力量2を使うが、1は契約者に没収されるので、効果を発動するのは1

だけ。

ただしこの謎の魔法契約者の存在は忘れ去られているので、一般に没収が意識され

ることはない。


「有資格者が火球の詠唱をすると、契約に基づき、謎の契約者があらかじめ組み上

げた術式が起動して魔法発動のきっかけが生まれ、詠唱者から魔法が発動される。

その時気力の半分が対価として契約者に巻き上げられる。

ところが、いつの頃からかこの仕組みが忘れ去られて、火魔法のギフトを得た者は

定められた詠唱を完成させると自分の気力2を使って火球の魔法を発動したと認識

されるようになった。こういうことだ」

「ややこしい話だ」

「他方で本来の魔法であるオリジン魔法は、術者が自らの意思により術式をくみ上

げて発動させるので、詠唱は不要だし、100%気力を利用できる。また、イメー

ジさえできれば自由自在に術式を組み上げられる。熱操作だけでなく他の操作を加

味して様々な効果の発現が可能だ。ただね、熟練は遠い困難な道のりとなる」


「ふうん、とにかくやって見るね。火球ファイアボール

特に何の想起もしなくても自動的に手元に体内の力が集まり火球となって自動的に

発射される。俺の感覚からすると、おっと思わず出ちゃったって感じ。

ぼわん。バビュン。どっかーん!

「おお凄い。速い、熱い、大きい!俺が自分流に気力2を使うより威力があるかも」

そう、契約により組み上げられた術式は洗練されていた。

火種を別個に用意するのも不要で自動的に周囲の大気から可燃性ガスと酸素が運ばれ

る。俺がゴブリン戦でやったような大規模な燃料供給や自由な燃料設定はできないけ

どね。

まあとにかく、俺の魔法が無手勝流の無骨男料理だとすると、契約魔法は老舗の一流

レストランの味。磨き抜かれた熟練の技だ。同じ土俵では全然敵わない。

奥が深い。がんばらねば。でもね、連発可能だし、離れたところから撃ち出せるし、

俺の火球も捨てたもんじゃないけどね、と負け惜しみを言ってみる。


火魔法の中級リストは、

中級 気力量5 火板ファイアプレート 火流ファイアブレス

        火弾ファイアビュレット火壁ファイアウォール

没収3で使える気量は2。威力は初級の倍になる。プレートは範囲攻撃。ブレスは火

炎放射のような連続攻撃、ビュレットは圧縮された火球で小さいけれど威力が高く速

度も速い。ウォールは敵の退路の遮断や水攻撃の相殺に使える。


水魔法の初級は、気力量2、没収1。

造水ウォータークリエイトは実戦向きでなくむしろ生活向き。

水球ウォーターブレスは遅いけれど衝撃が強く重い攻撃で火球の相殺や破壊攻撃

に使える。

水矢ウォーターアローは水球より威力は劣るが飛翔速度は比較的速めなので水魔

法の攻撃では最も使い易い。

水盾ウォーターシールドは火魔法の防御として利用価値がある。物質の矢に対し

ても、威力を多少落としたり、斜めに通過させて軌道を逸らしたりという利用ができ

る。

水治療ウォーターヒールは、対象者の体内の水分の分量や成分に影響を与えるこ

とにより傷を癒したり、疲労を回復させたり、毒物を解毒したりできる。


実戦での水魔法の真骨頂は、攻撃よりも防御や治療にある。



火、水、土、風の4大魔法の他にも、雷、氷、聖、闇などの分野がある。

各魔法の名称の紹介だけでも長くなるので、今はこの程度で。


「契約魔法を撃ってみると、術式の精緻さの違いが分かるでしょ」

「うん、俺はまだまだ未熟。もっともっと練習して磨いていかないと」

「そうだね。それに同じ術式でもその発動の上手下手で威力が随分違ってくる。詠唱

により発動は保証されるけど、その威力速度は気力気速だけでなく、発動の技術によ

ってかなり影響を受ける」

「同じ名剣でも扱う剣士の技量によって威力が違ってくるのと一緒だね」

「そう。魔法も奥が深いでしょ。使えるようになったというのは入り口に過ぎない」


火魔法と水魔法の初級中級上級をひとしきり撃ってみた。すごい参考になった。

他の魔法もおいおい試してみることにしよう。


あと、よそ行きのなんちゃって短縮詠唱魔法だけれど、本当に規定気量を使って撃つ

と俺の場合は初級の気量2でも威力があり過ぎるので、その調整も練習した。

俺の気力や気速は、日々向上するから、外面を保つのも大変だ。

「威力を抑えて意のままに制御することは良い訓練になるよ」

「そうだよね、まあ良しとしよう」



そうこうするうちに街道にたどり着いた。

幅2メートルくらいの素朴な土の道だ。ザースでは物流を担うのは馬車とのことだが、

さしてわだちえぐれているわけでもない。そこそこ整っている。

街道整備にも何らかの魔法的処置がなされているのも知れない。


久々に平坦で障害の一切ない道に出たので嬉しくなって、街道を走ってみた。

全力疾走をするとかなり速い。地球なら短距離の世界記録かもだ。

ただ俺の活力は現在5で他の数値と比べると著しく低くて、バテ易い。

「はぁはぁ、今のところスタミナが弱点なんだよなぁ」

ハナは全然余裕の様子だ。狼族は長距離走が得意だったはずだ。


ん、ハナが脚を折って箱座りして鼻ずらをくいくいしているぞ。

「ハナ、俺を背に乗せてくれるの?」

「わぉん」

身長120センチの俺が体高60~70センチのハナに乗る。まあ無理な絵では無いね。

乗馬ならぬ乗狼してみるか。気分はもののけ姫じゃ。














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