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万象操作ガイド活躍す

ザース春25日。

今朝の訓練では状態異常無効の効果の確認する。

ハナに視固を発動してもらったが、なんと全く固まらない!

「これは凄いな。前から俺の場合、視固で固まる時間が短いと思ってたけど、あれは状態異常耐性究のせいだったのか」

「もー、ずるいなぁ」


それにしても無効化は凄い。

いっそ全ての魔法が効果無効になればいいのに。あ、治癒とか再生とか強化とかの無効化は困るけど。

チーン!

え、できるの!?

有害魔法無効←(状態異常無効:魔法耐性究*∞*z)


じゃあ物理攻撃無効は?

チーン!

物理攻撃無効←(有害魔法無効:物理耐性究*∞*z)


ハナとプルリンに協力してもらいながら色々検証してみたところ、無効は絶対ではなく、相当の魔法力の差があれば通ってしまうことが分かった。しかし同等か多少上回る程度ならすっきりと無効で気持ちいい。

なお、自分に有利な結界内部なら無効の効果が高まる。どういう結界にするかは更なる工夫が必要だ。


巻き戻しを強化して時間遡及が自由にできるようにはならないかな?

ブー!!

あ、不快なブザー音…

自由な時間遡及←×←素材不足

はぁ、そうですか。なんでも出来るってわけでもないのね。


いやいや、それでも今朝の訓練で随分と力が上がった気がするよ。

SUN値を確認してみたら、え、5985億3440万だと!

ううむ確か、ダーク人と単独でやり合うには1万SUN、ダークの部隊と対峙するには1億SUNだったような。


びゅぉぉー。

《そうだ。強さ的には水準を超えた。こんな短期間でとは恐れ入ったぞ。だが心せよ。ダーク全てを相手にするような無茶はするでないぞ。》

義父恒星おとうさんだ。

「はい、しかと心得ました」

*****


朝食後、狼人国宮殿を後にして、月の森の街へ飛んだ。

エレーヌにハナの両親の件を聞くためだ。

「そうね、長い話しになるけれど、整理して話すから我慢して聞いてくれる?」

「「「はいっ!!」」」

ハナだけでなく、プルリンも俺もみんな真剣だ。


「私たち守護者は、超越者の助言に基づいて、ダーク侵攻の脅威に対抗するために、強力な転生者に助けを求めることにしました。

その結果、ハジメが地球からザースへ転生することになったの。


その頃、代替わりの時期を迎えていた人神は、伝承に基づいて第5代の人神候補の召喚の準備を進めていました。

大きな魂容量の持ち主を異世界から召喚し、ザースで用意した器に受肉させて、新たなザースの人神にするというのが彼らの召喚のやり方です。


通常の召喚は器として新鮮な生贄の肉体を用意しますが、人神候補の召喚者はその強大さにより、生きた器の魂ごと肉体を作り変えて受肉してしまう、逆にその程度のことが出来ないようでは新たな人神に相応しくないとのことです。


4代目人神は、5代目の器候補として、素晴らしい潜在能力を秘めた心身に幼い無垢な魂を宿したハナさんを選び出しました。

もちろんハナさんの両親はハナさんが連れ去られることに抵抗しました。人神は周りの狼人に看破されないように黒い嵐と黒い竜巻という隠れ蓑を使って、ご両親を亡き者とし、ハナさんを簒奪しました。


人神の召喚と私たちの守護者転生は、ハジメという同一人物をターゲットとし、しかも同時に発動したのです。

その結果、ハジメは、極大の魂容量が壊れるほどの大量のギフトを無理やり詰め込まれると共に、それらギフトを抑え込んで使いこなせる可能性を与えられて、双方のコントロールを脱することになりました。


同時とは言いましたが、前半は転生が優勢で後半は召喚が優勢だったの。

それで私たちは転生の途中でハジメを見失うことになったのです。

ザースで最初にハジメに接近したのは人神の方でした。


予定外の人里離れた草原に発現したあなたの存在を感知した人神は、ハナさんを連れて魂の確保に動きます。

最初にハナさんの器にハジメの魂を移し、次にそのまま自分が受肉して、ハナさんを乗っ取ったハジメを更に乗っ取って、自分自身が心身を更新した上で5代目の人神になろうという計画でした。


ところが、人神の思惑は外れます。

ハジメの魂は、ハナさんではなく、直接に4代目人神を器として受肉し、彼の者の心身を糧として自分のモノに作り替えて、今のハジメになったのです。

人神の代替わりとは、本来そういうもののはずなのです。

先代人神はそれを破ろうとしたのですが、想定する以上にハジメの魂が強力過ぎて、彼の者の思い通りにはならなかったということだったのでしょう。


こういう経過でハジメとハナさんは出会い、仲間となり、今日に至っている。

これが私たちが調査した事実経過です」


…シーン。俺とハナは、予想外の事実を聞いて固まっていた。

5代目人神扱いされていたけど、舞台裏がこんなだったなんて。

不意に泣き声が上がる。

「うわぁぁぁーん。よかったよぉ。ハナお姉ちゃんもハジメも大変だったけど、とにかくよかったよぉ」

「プルリン泣かないで。両親のことは正直言って覚えが無いので辛いとは思わないし、ハジメが結局カタキを取ってくれたんだから結果オーライだよ。ハジメに出会えて、私はよかったと思ってる」


「お、俺は…。俺のせいでハナを巻き込んだみたいで悪かったな」

「ううん、ハジメのせいじゃないよ。悪いのはその先代人神だよ」

「そいつが今の俺の材料だと思うと、気持ち悪いな…」

「「あははは」」


「元素ベースで完全に作り替えられて、純粋な枠としての力の容量が継承されてるだけだから大丈夫よ」

「それならいいけど、自動的に人神5代目っていうのもなんだかねー」

「それも候補者っていうだけで、5代目になるもならないもハジメの気持ち次第よ」

「そっか、そうだよね。気が向いたらなってやるかって感じだよね、ならないけど」

「「「あはははは」」」

*****


「それで、ダークの話なんだけど、場所的にはどの辺りに気を付ければいいのかな?」

「予言ではここが始まりの地点よ。10年以内にここで手を打たないと、100年以内に滅亡が来ると」

エレーヌが指し示したのはザースから25光年ほど離れた地点だ。

「爆食虫を退治したところに近いね」

「ええ、その辺りを監視していたので爆食虫も早めに感知できたの。もっともそれ以外には異常は確認できてないわよ」


「まあとにかく行ってみる。危ないかも知れないから、みんなはここで待ってて」

「ひとりで行ける?」

「え、ああ、うん。一度行った所だし、俺の転移の距離は随分伸びたから」

「ハジメはずるいなぁ」


なぜかハナに非難されながら、エレーヌの指示した地点にスイっと転移した。

25光年くらい、今となっては短距離という感じがするくらいだ。


ここは、なんの変哲もない外宇宙。

近くに星も無く、星間物質も希薄だ。

もちろん何の気配もない。


「さてと…。どうするかな。ダークにアクセスできる手段はあるかな?」

チーン!

え、出来るの!?

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