表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/136

侵略者の総力戦

「土星方面軍、転移ポイントDからの侵攻は作戦通りです」

通信士が告げる。

壁面のモニターにも土星方面軍を示す約8000の光点が映し出されている。

ここは、ゴブレム人の旗艦内部のコントロール室だ。


「ふむ、オーク人共も順調なようだな」

「それにしても我々とオーク人との総力をもって地球侵攻にあたれとは、帝国は何を考えているのやら」

「多頭竜の王の件が失敗に終わったからな。あれは最悪、地球側についた可能性もある」


一方、木星付近の転移ポイントMから太陽系内に転移したゴブレム人の宇宙船は大型母船が約1万隻。

各母船からは小型戦闘機がそれぞれ1000機発進可能だ。

ゴブレムの長い歴史上においても、この規模での他恒星系への遠征は前例が無い。


「オークの奴ら、我が母星でははるか昔の文明以前の時代に淘汰された種族だが、オーク星では支配種族となり我らと同等の力を持っているのだから、進化という奴は不思議なものだな」

「オーク星にはゴブレム種がいなかったのだろう?鳥なき里の蝙蝠ならぬ、ゴブレムなき星のオークというところだろう」

「「わはははは」」


ゴブレム人司令官と参謀達はゴブレム人らしい傲慢な自己都合主義者達だ。

実際にはオーク星では他惑星同様にゴブレム種はとうの昔に淘汰されており、むしろゴブレム星においてゴブレム種が支配種族に昇り詰めたことこそが宇宙的奇跡であったのだが。


「オーク軍は8000隻。我ら1万隻には若干劣るがほぼ同等の戦力だ。今回の地球侵略作戦は、全く呆れるほどの過剰戦力だな」

「戦闘機1機でも地球ごときは十分に制圧可能だろうから、ええと、母船戦力を除いても両軍で2000万倍の過剰戦力か、やれやれ」

「しかしな、もしも多頭竜王が地球側についているとなれば油断は出来ん。過剰性は数倍規模にとどまるぞ」

「そして多頭竜王と同等の可能性もある例の謎戦力が地球側に温存となれば、ギリギリかあるいは危ういということも…」


「それで、多頭竜の気配は探知できているのか?」

「探知には引っ掛からない。地球にいない確率が99.99%ということだ」

「やはりな、奴は地球は放置して脱走したのだよ。何らかの方法で内蔵した破壊装置を無効化してな」


「ふむ、いずれにしても多頭竜の不在は吉兆だな。では作戦をもう一度確認するとしよう」

「まずメインシナリオは、オーク軍侵攻部隊6000が地球を襲う間、我らは10隻の幻影操作能力船のみを地球に向わせて、我が主力でまずオーク予備2000を滅する。その後、全軍で地球に向い、オーク軍と謎戦力の潰し合い後の残存戦力を叩き潰した後、地球侵略を我が軍単独にて完成させる」


「サブシナリオは、オーク先発部隊6000が一方的に壊滅するほど謎戦力が強靭だった場合、オーク予備部隊2000を壊滅させた後は速やかに太陽系外に転移していったん離脱し、再戦を期する」

「まあ多頭竜の気配がない以上は、サブシナリオ発動の可能性はないだろうがな」


「いずれにしても、我がゴブレム軍の損害は最小限で、競合者のオークは殲滅、地球侵略の手柄は独り占めという素晴らしい作戦だな」

「さて、そろそろ作戦開始だ。司令、指示を!」

「うむ。幻影操作船10隻は、デコイ幻影7500を操作しつつ地球へ向かって、分離前進!」

*****


ニューヨークのガーディアンズ本部会議室。クリエイト(こと藤堂創)、スティーブ・御子神・ニコの重鎮3名、リーはタミル等各支部リーダー、その他スタッフ多数がモニターを見つめている。

「ううむ、これは数が多いな」

「土星方向に立方体船が約8000、木星方向に球形船が約1万とは。各宇宙船の大きさはどれくらいかな?」

「球形船が直径約1キロ、立方体船は1辺が約1.2キロです」

「物凄い戦力じゃないか!」


「あっ、動き始めた!」

「それぞれ一部をその場に残して、大部分が地球に向けて移動を開始しました」

「ん?待てよ」

「どうした、クリエイト?」


俺は念体探知網をレーダー波からエネルギー反応に切り替えてみる。

モニターの映像は一瞬ぶれたが前と同じ状況を映し出している。

次に質量反応。うーん、若干反応が薄いような変な感じだ。なんだかダマシの匂いがする。


「ちょっと現場に飛んでみますね」

「ああ、クリエは身軽だもんな。気を付けてな」

シュンッ。球形船団付近に転移する。

地球に向けて移動しているのは僅かに10隻。やはりレーダー反応は幻影だ!

ん?部隊が静止幻影を残して、静かに土星方面へ向けて移動し始めた。

レーダー反応は、無い。気配を断って移動しているのか。

侵攻部隊と待機部隊の幻影を作って、本体は別方向に移動。これに何の意味があるのだろう。


シュンッ。立方体船団付近に転移する。

こちらも全く同様の動きだ。

幻影を引き連れて地球へ向かい、一方で残存部隊風に幻影を元の地点へ残しつつ、球形船団のいた地点へ向けて静かに進行する。

双方の位置を入れ替えることになるが、何の意味があるのか?


念体を球形船、立方体船内に送り込んでみる。

お、球形船はあのゴブリン人、おっとゴブレム人と呼ぶんだったな。

立方体船の方は、豚鬼オークの風貌だ。これはきっと多頭竜が言っていたオーク人だろう。

となると、こいつらは共に帝国の勢力であり、この規模からみても総力を挙げて地球侵略に動き出したとみて間違いないな。


ふむ、双方で通信が交わされている。傍受できないかな?

チーン!

(言語操作+電磁波操作)*s→通信傍受 魔法登録しますか 発動しますか

「どちらもイエス」

ふーむ、地球侵略作戦とな。多頭竜の気配なし、主力投入、予備戦力待機と…。

幻影については触れてない。地球側の傍受を警戒しての陽動作戦なのかも知れないな。


とにかくこいつらが双方とも敵だということははっきりした。

太陽系内という近場だし、周辺に影響を及ぼさないようにして綺麗に始末しなければならない。


球形船団も立方体船団も漏れの無いように全てをロックオンし、ゴブレムとオークの司令らしき各1名を残して、遠隔操作で圧縮!

なんの抵抗も無く、一瞬で全ては微細な重力ゴミとなった。

爆発も何もない。実際にはあったんだろうけれどその爆発ごと圧縮されたので、外には何らの影響も及ぼさない。静かなものだ。


続いて重力ゴミと化した船団の残骸を虚空に消滅させる。

もはや司令二人以外には、侵略者の痕跡は何も残っていない。


「さてと、おふたりさんには色々聞きたいことがある」

「な、何をした。貴様は何者だ。我々の船団が黙っていないことは分かっているだろう」

「ん?船団なら黙ったまま消滅したぞ。残っているのはお前たち二人だけだ」

「そんな馬鹿な!」

「ゴブレムよ、どうやらそいつの言うとおりのようだ」


「貴様、連邦の者か?それとも自由主義連合の手の者か?」

「ん?何のことかな。俺はただの地球人だが」

「…覚醒した地球人!?帝国人が狙っていたのはこれか!」

「そういうことか。聞く手間が省けたな」


「ところでお前たちの船はなぜ幻影を使って位置を交換しようとしたんだ?」

「位置交換だと?…ゴブレムよ、貴様らさては裏切りおったな!」

「オーク!おのれらこそ、分かってはいたが汚い奴らよ」

あーあー、相互裏切りの偶然の一致かぁ。互いに地球を攻める振りをして、残存部隊を先に潰す作戦か。

見た目も醜いが、意識の芯から腐った奴らだ。



「それともうひとつ、お前たちの船はなぜ魔法防御をしていない?なぜああもあっけない」

「何だと!防御していたに決まっているだろう」

「え、あれで?」

「む!貴様らの兵器は一体どういうものなのだ?」

「いや、兵器って。俺一人のただの魔法だよ」


「「………」」

「一人の覚醒地球人の、ただの魔法…」

「地球人はどのくらいの人口なのだ?」

「ええっと、70億人くらいだったかな」

「「………」」

「…無理だ…」

「これなら連邦を相手にする方がまだましだ」


スティーブに連絡をとる。

「こいつらどうしようか」

「地球に連れ戻っても厄介なだけだから、そこで始末しちゃってくれ」

「分かった」


「そういうことだ。あんたらとはこれでお別れだな」

「「ま、待て」」

「いや待たない」

「「ゴブレム(オーク)星に戻ったら、あなた様には」」

二人とも口を揃えて下らないことを言い始めたので、最後まで聞かずに、圧縮&消滅。


侵略者を退けた

創はレベル120になった

創は地球の守護者の称号を得た

創は状態異常(精神操作を含む)無効のギフトを得た


どうやらこれで地球侵略はひとまず退けられたようだ。

守護者かぁ。地球でもそうなったか。

おや、新ギフトが状態異常無効?

これまでは状態異常耐性究だったのがステップアップしたということかな。

*****


ガーディアンズ本部に戻った。

「聞いてたでしょ、あいつらが狙っていた地球人資源って、『覚醒地球人』って言ってたけど、勇者のことだよね」

「あっけない奴らじゃったな。それにしても、勇者狙いとは恐れ入った」

「御子神、覚醒してるだろ、あんたなら奴らに差し上げても、ぐぼぁ!」

スティーブ、ご愁傷様です、不用意なことを言うから自業自得です。


自室に戻ったらたまもがテレビでサッカー観戦していた。

「珍しいな、日本代表戦か。なんの大会だ?」

「東京オリンピックだよ」

そうだ、サッカーは早くからやるんだった。

JOCから配られていた分厚い資料を見ると、なんと開会式は明日だ!

式服を着用して集合と。あせあせ。まあ初日は開会式だけだったな。


今日も色々あったけど、無事終了した。

ぐっすり眠って地球の明日にも備えよう。


異世界定期便第29便 地球8月4日木曜日→ザース春24日 狼人国宮殿


藤堂創 15歳 レベル120


称号 地球の守護者

基礎値 筋力∞/敏捷性∞/生命力∞

    気力∞/気速∞/気量∞/∞

SUN値  46億7605万

ギフト ポイント76

残6

状態異常無効/万能変化/

万象操作ガイド/時空超越/連鎖/表示操作/結界操作/

圧縮/波動操作/次元操作/星格認知/転気/

超闘気/因果視/精神感応/巻き戻し/上限撤廃/ 

念体/索敵Ⅱ/自己確認Ⅱ/万物創造/発動妨害/

透過/遠隔操作/選択行使/分身/空間時間設定/

繭形成/ドリル弾/天翔/ギフト創造登録/式神/

再生/幽視/転写/認識領域拡張/

魔法創造登録/罠対応/理力操作/熱操作/地操作/

空気操作/光操作/水操作/聖操作/闇操作/

素粒子操作Ⅱ/電磁操作/空間操作Ⅱ/重力操作/時間操作Ⅱ/

気授受/生命力授受/危機感知究/危機対応究/物理耐性究/

魔法耐性究/隠形/鑑定/判別

自然充填究/自然回復究/成長促進究/蘇り/武器技能/

付与/他者確認/言語対応/神知/自由設定


スキル

広範囲探知/次元転移/長距離転移/広範囲探知/ 

武術/闘気/不老不死/気配察知/GPS索敵 /念体索敵





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ