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ウルマ迷宮60階

ザース春24日、早朝の訓練。

「新ギフトの万象操作ガイド、これなんだろう?発動しても特に何の変化も感じない」

『ギフト創造の指針を示してくれるものではなかろうか』

{危機対応は危機の際に逃れるためのもの。万象操作ガイドは危機や手詰まりの際にそれを打開するためのものになるケロン}

「そっか、じゃあ大船に乗った気持ちで手詰まりを待ちますか」

何か変な感じ。


ハナとプルリンの訓練はどうなっているかな。

ハナが式神を数体プルリンの味方につけて、ハンデ戦をしているな、ふふふ。

「今日はハナとプルリン同時にかかってきなさい。俺は派手な魔法はあんまり使わないから」

「よーし、魔法なしならハジメを倒して食べる!」

「ちょっと、『あんまり』って何よー」


ギリギリまでは超闘気だけでがんばって見よう。

プルリンは、ハナの式神に紛れて透明化したり式神に変化したりして目先を惑わしながら、重力攻撃で俺の足止めをしつつ重力ダメージを与えようとしている。

ハナは視固で俺を固めた上で、時間操作で加速し天翔を駆使して一気に距離を詰め、狼闘気を載せた打撃で短期決戦仕様で攻める。

プルリンも硬化して更に闘気を纏い、一本の角に変化へんげして、空間操作と重力操作で加速し、かつ転移で間合いを変えながら渾身の一撃。


ハナの物理攻撃力にはますます磨きがかかり、時間加速も随分進歩した。

プルリンの進歩は目を見張るほどだし、なにより色々工夫しているところがいい。

プルリン角をひょいと躱しながら拳と蹴りで攻撃するも、瞬時に体を軟化させて受けたプルリンは物理耐性があるしさほどダメージは無いようだ。

ハナの渾身の一撃はかろうじて回避したが、付随的な翼と尻尾の攻撃を喰らってしまう。

お返しに、超闘気を効かせた数発をお見舞いする。


おっと、頭上に網に変化したプルリンが転移してきた。俺を絡めとってハナの餌食にするつもりだな。

パシッと網を弾くと、突っ込んで来たハナが絡めとられる。

はははは、可笑しい。そのままプルリンごとハナに数発、リー流の連続技を叩き込む。

これは二人には割と効いたかも。

うん、でも二人ともまだ闘志は衰えていないぞ。


こんな感じで、しばらく楽しく遊びながら訓練した。

「今日の訓練は楽しかったね!」

「うん」

二人ともご満悦だ。

「じゃあ今日は久しぶりにウルマ迷宮に行こうか」

「「やったー!」」


ライザさんと一緒に朝食をとる。

プルリンが今日の訓練のことを熱心に話す。

一人で3人分に変化して、プルリン視点での戦いを再現するほどの熱意の入りよう。

「うふふふ、プルリンちゃんが食べるのを忘れておしゃべりに夢中になるほど楽しかったのね」

*****


さて、ウルマ迷宮60階。

基本的には砂漠だけれど、枯草が増えて、オアシスの数も多くその周囲は心地良い草原になっている。

「ここには誰がいるんだろう?」

「兄さんまた会ったな。おいら達だよ」

お、タイセー、ゴゾウ、ハッサンの西遊記3人組か。


「拙者もおる。今回は魔法込みでお相手仕る」

武士イッセーイトーもいる。

「久しいの、妾じゃ。以前の妾と思うな」

その声は遠隔魔法使いの『と。』だな。


この階は5人か。

相性的には、俺が3人組、ハナがイット―、プルリンが『と。』だな。

『と。』の遠隔攻撃魔法が来る。以前より随分強力になってるぞ。

おお、ドリル弾一発に全属性が込められている。強化版ドリル弾というところか。

これは『と。』を自由にしておくと厄介だ。

*****


「プルリン、あの魔法は閉鎖亜空間から来る。そこにプルリンを放り込むから魔法使いを倒すんだ」

「うん、分かった!」

ハジメがぼくに頼ってる。よおし、頑張らなくっちゃ。

あああ、ぽいっと放り込まれた。ここは、女の子の部屋?

うさぎちゃん達とうさ耳の可愛い女の子があわあわしてる。

「えっと、魔法使いを倒しに来たんだけど、君が魔法使いなの?」


「いかにも妾が偉大なる遠隔魔法使いの『と。』じゃ。可愛らしいスライムじゃが滅んでもらう」

「えへへへへ、褒められちゃった。君も可愛いけど、いざ勝負しょーぶ!」

闘気を纏って透明化して攻撃しちゃうよ。あれ?うさ耳ちゃんがムキムキになった!

「ふはは、こんなこともあろうかと身体強化魔法を磨いておったのじゃ。もはや妾に死角は無い」


体はムキムキだけど、顔だけは変わらない。うさ耳ちゃん、長剣を手にしてキョロキョロしてるよ。

「おのれ、どこに消えた!」

ふふふ、見えないからとまどってる。あ、足にうさぎちゃん達がしがみついて来た。

「そこだっ、妖術破れたりっ!」

え、妖術って…。


うさ耳ちゃんの一突きは鋭くて早かったけど、すいっと避けたら追撃が無い。

また見失ったみたい。うさぎちゃん達は立ち上がって鼻をふにふにさせてる。匂いで僕を探してるんだ。

うさ耳ちゃん、やたらめったら長剣を振り回して威嚇してるけど、剣技っていうのかな、ハジメやハナと全然違うよ。


うさぎちゃんが足にしがみついたのを見て再び鋭く突いて来たので、それを躱しながらカウンターで、硬化した触手でうさ耳ちゃんの鳩尾に強い一撃を入れたよ。重力を10Gにしたから動きも鈍い。

カランと剣が床に落ちたところで、素早くうさ耳ちゃんの全身を僕の体内に取り込み、溶かしにかかる。

勝ったかな?

「どうして魔法を使わなかったの?」

「お、お部屋が汚れるじゃろうが」


あ、亜空間から出て迷宮の60階に戻った。うさ耳ちゃんが運んだみたい。

「こんな風にな!」

あ、うさ耳ちゃんが最後の力で、僕の体内から四方八方にドリルの魔法弾を撃ち出した!

わぁぁぁ、体が弾けるよぉ………。


ふう、危なかった。核が残っていたので、死なずになんとか再生出来た。

「プルリン、やったな」

「あ、僕やっぱり勝ったの?やったー!」

ちょっとは消化できたし、今回は凄くスキルの収穫があった気がするよ。

あれ、ハジメが妙な怪物と向き合ってる。あんなのいたっけ?

「プルリン、ちょっと離れて休んでなさい」



プルリン 魔物 水色スライム ?? レベル35


筋力152万/敏捷性152万/生命力1億1890/魔気力1516万/魔気速758万/魔気量4億7558万/活力372万


ギフト 空間操作/重力操作/食奪/万能変化  


スキル 身体強化 強化ドリル弾 ドリル弾耐性 全属性魔法 全属性魔法耐性 念体 透明化 冷気

    冷気耐性 石化 石化耐性 闘気 分身

    転移 水魔法Ⅱ 水耐性Ⅱ 再生 溶解 硬化 癒し 火魔法 火耐性 

    物理耐性 理力魔法 理力耐性 毒耐性 毒攻撃 音波耐性 音波攻撃 聖魔法

    聖耐性 土魔法 土耐性 風魔法 風耐性


冒険者カード

氏名 プルリン ランクC 10級

種族 水色スライム

年齢 3歳

レベル 35

*****


「ハナはイット―の相手をしてくれ。今回はお互い魔法ありだから用心するんだぞ」

「うん、あのちょんまげのおじさんかぁ。痛い勝負になりそうだなぁ」

「ハナ殿、今回は負けませんぞ」

ちょっと加速して離れてみよう。おじさんの速度はどうかな?空中戦は出来るのかな?

あっ、転移してきた。前足を斬られた!


おじさんは多少時間加速もしているようだし、もともとの速度が速い。

特に剣の振りが尋常じゃなく早い。

闘気も使ってるみたい。

ぱぱぱっと点滅するように連続転移しながら斬り付けて来る。やり難いなあ。

もうのべ8本くらい手足を切断されてるよ。再生するからいいけど、やっぱり痛いよぉ。


ぱっと現れた瞬間に、そこだっ、と視固を発動しても、既にあたしの前足一本を切断して消えていて、現れた先でしばらく固まってる。

あれはなに?視固の効果が一拍遅れてるの?

距離を詰める間にもう回復しちゃうし。

このままだとやばい。いずれ頭部か心臓に致命傷を負いそう。


どうしよう。とにかくあたしの全力で立ち向う。

まずは時間加速を最大にして、天翔と翼で宙をジグザグに高速移動する。

おじさんは私の位置捕捉に手間取ってる、とはいいつつも、転移の誤差が次第に縮まって来る。

こんなときは、そうだハジメの言ってた…なんだっけ、腕を斬らせて脚を斬るだったかな?


ジグザグ高速移動しながら良い場所を探す。あそこがいいな、岩の前に木が生えているところ。

足下は地面、背後に岩、側面に木の幹、頭上に太い枝。

そうなるとおじさんが転移で現れるのは、ここっ!

プルリンの網をヒントに、地面に式神で作った網を敷設しておいて、おじさんが現れた途端に網を絡める。

おじさんは体勢を崩しつつも、鋭い斬撃を急所に撃ち込んでくるので、前足を犠牲にして致命傷を避け、剣の間合いの外から網に絡めた足を汎用銃で撃ち抜く!手応えがあった!!


「ふふふ、工夫を凝らしましたな」

「だめだった?」

「いえ、悪くないですよ」

すぐに次の攻撃が来たけれど、軸足の太腿に貫通傷を負っているから威力が落ちてる。

これなら行ける!

これまで対処出来なかった斬撃を回避したり受け流したり出来る。ここで視固が決まれば。


それが、なかなか決まらない。おじさんは、戦闘巧者だなぁ。

でもさっきまでとは攻守を変えて、今はあたしが追い詰める方。

おじさんは、遠間から理力の放射で攻撃してきたよ。これを待ってた!

カンと乾いた音を立てて魔法が反射する。

魔法速度が速いせいで、反射した自分の理力弾がもろにおじさんにヒットする。


のけぞったその一瞬に視固を掛ける。

そして距離を詰めて、固まっているおじさんに再生した前足で必殺の一撃!

間に合った、決まった。

あれ?振り出した右前足をまた斬られた。踏み込んだ左前足も。


でも右前脚の一撃は確かにおじさんの首筋にヒットしてたから、おじさんが光の粒子となって消える。

「やれやれ、またしてもやられてしまいました」

「おじさんも強くて、あたしもうボロボロ…」

「拙者のことはイット―とお呼び下され。ハナ殿は超速再生も含めてお強い。迷宮の階層の守護が勤まりましょう」


ハナ 獣族 銀狼王(進化種) 1月半 レベル76

称号 ウテナⅡ遣いの超獣戦士

職業 冒険者

装備 汎用気密服

基礎値 筋力∞/敏捷性∞/生命力∞

    獣力∞/獣気速∞/獣気量∞/活力∞


ギフト

  反射/式神/視固/時間操作Ⅱ/魔法アシスト/

  天翔/再生


スキル サイズ変更化 念話 人化 王の威信



冒険者カード

氏名 ハナ ランクSS 1級

種族 銀狼王

年齢 1月半

レベル 76



*****


プルリンが見事な勝利。ハナも再び相性の良いイット―を倒したようだな。

さて、あとは俺がこれを倒すだけ。

目の前にいるのは巨大なゴリラのような怪物。

腕は6本、頭には大きなこぶがあってそこに顔がふたつ。

どうしてこうなったかというと。


「兄さん、このままじゃ相手にならないから禁じ手を使うぜ。お前ら、来い!」

「はいな」

「あーあれかー、仕方ない」

タイセーの体から強い光が発せられ、その光にゴゾウとハッサンが包まれた。

光が収まると、そこには、1体の6本腕の巨大ゴリラがいたというわけだ。


頭のこぶには良く見るとゴゾウとハッサンの顔がある。

3人が合体した!?

ゴゾウとハッサンは左右の側面から背後に顔を向けているのでこれで360度対応ということか。

顔と腕が増えただけじゃなくて、全体の力感が凄い。

3人の総和というよりも、相乗したようなパワーアップぶりだ。


「さあて、ここなら暴れても誰にも文句は言われない。思いっ切り行くぞーっ!」

これは強そうだ。さすが60階のボス。

その思いっ切りとやらを見せてくれ!

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