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タミル迷宮その後

小惑星と無人船団の処置にはさほど時間をとられなかったので、まだお昼を少し回った程度であり、時間がたっぷりあるので、久々にタミル迷宮にやって来た。


外観からしてすっかり様変わりしている。

まず、結界族の助力で見事な結界が作られており、カモフラージュと防御は完璧だ。

もっともあの多頭竜みたいな奴には通用しないが、そこはまあ対処しようがないので考えても仕方ない。


そして結界内には、立派な宿舎と食堂と講堂。講義関係は講堂で行うことにしているとのこと。

迷宮の入り口は小さいが石造りでなかなかに趣があり、一歩入ると石壁や魔法照明など、由緒ある迷宮っぽい雰囲気だ。


迷宮内は40階までは全て石壁造りで、金属扉で仕切られた部屋の中で戦闘が行われるようになっている。

地下1階から10階まではスライムやゴブリン等の初級モンスターと式神、11階から20階まではオーガやエントなどの中級モンスターとクリエ謹製のゴーレム、21階からは勇者クラブメンバーと結界族の担当階となっている。


各階守護は、入れ替わりが激しいが、おおまかに言うと、21階から40階までは、勇者クラブ各支部のリーダー単身と、リーダー抜きの他メンバー5人、そしてリーダー以外でも実力のあるエース級の勇者個人がしのぎを削っている。上位にいるのは、タミルさん、遊撃隊、ヨハネスバーグ支部リーダーのイザベラ、そしてユリア辺りだという。ユリアったら支部リーダーにも勝つ程にまで成長しているとは、さすが人外のものだけある。


なお、上海支部リーダーのリーさんだけは別格で、ほぼ41階固定とのこと。

そしてそこから下は、、各階守護の好みで迷宮内の様相は工夫されており、42階が狐人代表2人、43階魚人代表2人、44階雪人代表2人、45階狼人代表2人、46階デーモン族代表2人、47階エンジェル族代表2人となっている。各種族は強者2人を一組として種族内で交代制にしているが、強さの序列はあまり変わらない。ただ、46階デーモン族と47階エンジェル族は、いい勝負で日替わりで順位変動しているらしい。さすがライバル関係は健在だ。


48階から下は今のところ不動で、48階は鬼族代表1人、49階は火竜さん、そして50階は不在勝ちの迷宮の主クリエ。

そうそう、結界族には俺はクリエということになっているからと念押ししていたが、ややこしいので単にぬしと呼ばれているようだ。なんてことだ。


ちなみに、グレイ族は、非戦闘民族で独自の科学技術による装備以外にはこれといった強みはないが、日々精進を積み、現在は10階を突破して、中級モンスター階を攻略中だ。


そして双頭龍の生まれ変わりの双頭龍鳥は、今のところ地下1階で、スライムやゴブリンと死闘を繰り広げている。

「ぴぴっ。ぴぴぴぴーっ!」

おや?なんだか得意げだ。

「龍鳥はんは、伸張著しく、いまやスライムやゴブリンの単体は相手になりまへんさかいな」

なるほど。そうしたら、元の体を取り戻す100年後には凄く強くなるかもね!

タミルさんは、さすがに迷宮管理者。色々と細かいところまできっちり把握しているみたいだ。


不在気味の迷宮の主が現れたということで、なんだか迷宮全体が活気付いている。

「今日は結構時間があるので、存分に相手をしますよ。俺を負かしたら50階を明け渡しますからね」

うおぉぉーん!凄い反響。みんなに興奮が伝播しているぞ。

「じゃあ、浅い階の方から順番に挑戦を受けます」

ということで、最初は双頭龍鳥さん。


「ぴぴっ!」

鋭い嘴と爪を駆使した空中からの攻撃だ。

ふむ、これは、地球上の猛禽類で龍鳥に勝てるものはいないと断言できる。

でもそれだけ。

「ぴぎゃ!」

はい、首を捻ってお終いです。


次はグレイ族の皆さん。宇宙服のような戦闘服を着こみ、変わった銃を撃って来る。

これは磁力線?ヘム鉄などの体内の金属を一点に集めて意識を失わせる攻撃かな。

あ、熱線も撃てるのか。

でもまだまだ。戦闘隊形も出来ていない。でも皆さんはこれからですね。

俺は超闘気だけで相手をする。

全ての攻撃を受け切った後に、素早く移動しつつ、手刀を全員の後頭部に次々に叩き込んで全滅させる。


さてこの後は、勇者クラブメンバー達だ。リーダー単体でもリーダー抜きのメンバー5人でも支部全体の6人でも自由に組んで挑んでもらう。

皆さん大体6人で向かってきた。

ここでも同様に、俺は超闘気だけで戦う。まず相手の攻撃を受け切って、その後で反撃して一気にかたを付けるスタイルで行く。


うんうん。みんななかなかだ。最初の頃と比べると雲泥の差。魔法も普通に使えている。

迷宮内の気は、最初は外の10倍くらいの濃度にしていたはずだけれど、今気が付くと2倍くらいにまで薄まっている。

それなのに、ものともせずに魔法をばんばん発動して、魔法絡みの攻撃を展開する勇者達。

魔法力の進歩がそれだけ凄いということだ。

そして、徐々に気濃度を薄めるタミルさんの作戦はナイスだ。さすがだ。

そのうち、外と変わらない気濃度になるはずと思われた。


勇者達の攻撃を受け切って、感触をつかんだ後に、一気にスピードアップ(時間加速ではなく、超闘気による瞬動の方ね)して、手刀だけで倒す。これで行けるところまで行こう。

戦闘終了後には、良いところを誉めて、問題点を指摘して、課題を一つ二つ与えてみる。

いやあ何様って感じなんだけどさ。圧倒した後だからみんな素直に聞いてくれる。


そうこうするうちにタミルさん。

剣の速度も技能も以前よりは上がっている。特に土魔法の威力は段違いだ。そして本当は迷宮魔法を使えるはずなんだろうけど、タミル迷宮内だからそれは封印するというハンデがあるのは気の毒だなあ。

封印しなくてもいいよと言ったんだけどね。

「そこは迷宮管理者の矜持として譲れへんのですわ」だそうだ。


そう言えば前は闘気無しで戦ったんだった。今は俺が超闘気を使ってるからなぁ。

タミルさんを相手にして、俺が危機感を覚えることは無かったが、その分冷静に色々と感じ取れたので、有益なアドバイスが出来たと思う。


さて、お次はユリア。支部リーダーを倒す力を見せてもらおうか。

ユリアの闇闘気には磨きがかかっていた。

闇闘気自体を槍状にして突いたり振り回したり投擲したりもする。

そして、影から影へとスピーディに移動しつつ、闇魔法、風魔法、水魔法のかなり強力なものを変幻自在に繰り出して来る。

気量も多くて戦闘継続力にも秀でている。

そして、極め付け、驚かされたのは新ギフトの能力。


ユリアの攻撃は多様だし速度も組み合わせも立派なモノだ。戦闘センスがいいんだな。

と考えていたその時、俺の影の中から何かが不意に飛び出して来て、俺の背後から襲ってきた。

っ!!

咄嗟にウルティマ剣を抜いて両断してしまったが、それは大型黒豹、ユリアだった。

あれ?前方にいるユリアはなんなんだ?


「あーあ、やられちゃったにゃ。新ギフトの闇分身で不意を突いたけどダメったー」

「いや、結構良かったぞ。思わず慌てたもんな。ってユリア、喋ってる!?」

それは念話ではなく、ユリアが人語を話していた。

この子には驚かされっぱなし。

そのうち、人型も取れるようになるんじゃなかろうか。


そして遊撃隊との対戦。ユリアは連戦だ。

遊撃隊もちょっと見ない間に随分と強くなったなー。

みんな10以上レベルが上がって、それぞれ新しいギフトを獲得している。

まずはお手並み拝見と行こうか。



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