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絶対強者の卵

ハナは、角狼になった。


基礎数値はそれぞれそれなりに上昇している。

そして、頭には角が、あれ無い?いや、よーく見ると高さ5センチ程の円錐形の盛

り上がりが一か所ある。底面の直径も5センチくらいで真横から見ると3角形、頂

点はちょっと丸みを帯びていて鋭くはなく、まあ要するにとんがり気味のこぶだね。

体も大きくなった。体長は1メートルくらい、鼻ずらと尻尾を水平にしたマックス

で1、5メートル。より筋肉質でがっしりし、ちょっと大き目の中型犬て感じ。

色は茶色で前より濃くなっている。

「ふふんっ」胸をそらせ、目は半眼、鼻はひくついて鼻孔がひろがり、耳と尻尾が

ピンと立って、尻尾はゆらゆら揺れている。

ハナの最大限のどや顔だ。よっぽど嬉しいんだな。

「すごい、偉い、でかした、ハナ!」

「ふふんっっ」鼻息がより荒くなり、尻尾を縦横無尽に高速振り。ははは。

軽く模擬戦をやってみると、動きは素早くて切れがよく、攻撃は重く、何よりも角

の先に獣気の見えない角を最大1メートル伸ばすことができて、これの威力が凄い。

大木の幹を豆腐のように突き刺し切り裂き、打撃でも直径50センチくらいの幹な

ら粉砕するように折り飛ばしてしまう。

手足の爪も獣気で20センチくらいの長さの射程をもち、こちらも角ほどではない

もののかなりの威力。いやはや凄い。

「これは強い!ハナ先生、凄いです!」

「くぅん」あれ、照れてる。ふふふ、誇っていいよ。



ゴブリンのつづらには、ぼろい武器や防具と少しの硬貨が入っており、あとはガラク

タだけ。武器の中でひとつだけ比較的ましな状態の短剣がある。

「お、これは鋼の短剣だ。これは使えそうだ」

短剣を腰に帯びることにする。あとはぼろい短剣とかナイフとか投擲に使えそうなも

のをいただく。防具はダメだな。

硬貨は、金貨2枚、銀貨が5枚、銅貨10枚、粒銅が200粒。

「硬貨の値打ちってどれくらいなの?」

「日本の米の値段換算で、金貨10万円、銀貨1万円、銅貨1000円、粒銅100

円程度。物価は不安定で、地域や季節によって変動するから、相場感を掴むにはかな

りの慣れが必要だね。とりあえずは取引相手の態度で相場を見抜くしかない」

「そっか、このお金全部で28万円か。少なくとも一か月は暮らせそうだ」


東の空の色が明るくなってきた。夜明けが近いのだろう。

ゴブリンメイジの魔石だけ取り出して、あとは全て放置することにした。

「スライムその他の魔物や獣が全て食べてくれるよ。武器や防具は別のゴブリンが拾

うだろう。これだけあると何体かは死霊化するかも知れないけれど」

「まあそれでいいか。このあたりの生物バランスもよくわからないしなぁ」


ということで、南に向かって歩き始める。

歩きながら亜空間を作っては気量を減らし、色々と空間の性質を調べる実験をした。

気量の超回復を繰り返すうちに気量100を超えたのだろう、亜空間作成の際に、

新たな選択肢が出て、素の亜空間を作れるようになった。

これは容量は無限大でありながら、空間自体には大きさが無く、中身は本当のから

っぽ。真空なだけでなく、物質も磁力も重力も時間も熱も何もない。ここに物を入

れるとその物の周りにだけ時間や重力が発生する。重力もごく小さく時間も停止し

ているに等しいほどゆっくりにしか流れない。放射によって熱は奪われていくが、

時間そのものが停止に近いので物の熱は保存されると言ってもよい。物の腐敗もな

い。生き物を入れることはできない。

「ふうん、面白いね。素の亜空間は、容量無限大で時間がほぼ流れないから肉の保

存には最適だ。冷凍や解凍の必要もない。温かい食べ物もそのままの状態で保存で

きる。中にいくら物を入れても亜空間自体の大きさは無いに等しいので、他のどん

な亜空間の中にも入れられて複数の亜空間の整理にも便利だな」

「最初から空間の性質を定義付けすると、その空間には大きさも重力も時間も備わ

る。全ての環境を元の空間に揃えれば、生き物を出し入れすることもできる。

ただし、入れたのと違う場所で出すときは、検疫的措置を取る必要がある」

「ふうん、生き物の出し入れは結構難しいね。当面は無生物限定にしておこう」

「自分が入れる環境の空間を作って、訓練場や実験場にすることもできるはずだけ

ど充分な容量のある定義付け空間を作るには膨大な気量が必要だからまだ先の話だ」

「それも楽しみだね」


「もうひとつ新たなギフトを試そう。付与のギフトを選択して。これで物に特別な

力を与えることができる。例えば、小袋に気操作の吸気の力を付与して、その袋に

気操作でハジメの気を込めてごらん」

「付与して、込める。残量4.99%にしてと。あ、一瞬で気が吸い込まれた」

「そして今度はその気の袋から込められた気をハジメが吸気で吸い戻してみて」

「今度は袋から俺が吸気と。あ、凄い、一瞬で戻った。超回復は、あれ1.01倍だ。

何度やっても前の回の1.01倍。気力と気速度は変化なし」

「これは準超回復とでも言っておこうか。生命力も同じように生命力操作のギフト

を選択して、袋に吸生を付与して、その袋に生命力を授与してみて」

「おお、気と同じように準超回復できる。生命力量が前の1.01倍。筋力と敏捷性は

変化なし」

「そして、気の袋に気を、生命力の袋に生命力をある程度込めて、袋を素の亜空間

に入れておくと、気と生命力の貯金ができる。劣化も散逸もしないからいつでも取

り出せる」

「おおすげー!薬要らずだ」

「準超回復は、あまり頻繁に行い過ぎると体に悪影響が出そうだから一日100回

までに制限しよう。ちなみに35回やると1.4倍、71回で2倍になる」

「じゃあわかりやすいところで準超回復は一日71回の1周だけ、訓練付きの超回復

は一日に35回を1~2周としておこうか。」

「そうしよう。準超回復は隙間時間を使って実施できるところがいいね」

「ハナにも適用できるかな?ということで、ハナ、やってみるぞ」「わん!」

「ハナの気を俺が吸気して直後にハナに戻すと、、、だめだ。吸気したのをいった

ん亜空間に入れてから俺に戻して、更にそれをハナに。あ、できた。この間俺がい

ったん空になってその後満タンになっても超回復も準超回復も発生しない」

「色々試して探っていこう。とりあえず、超回復、準超回復の一日の発生回数をカ

ウント表示するようにして、制限順守しよう。ハジメもハナも一日71回までね」

「了解」「わぉん」


移動しながら準超回復をきっちり71回ずつ実施して、これで2倍。

よさげな高台で訓練を一回り実施して超回復35回達成、更に2倍で4倍。

生命力と気量以外の基礎数値は、超回復の2倍だけ。


そしてギフトは生命力授受と付与を選択して、とうとう残ゼロになったので、当面

不要な薬剤師と工作を外す。

今の状態はこんな感じ。

ん?素の亜空間を経由したせいかな、2個扱いだった気授受が1個にカウントされ

た。まとめて1個になったのか?生命力授受も1個の扱いだ。

自由設定の力が増したのかも。

元、同大、同極もまとめて1個にならないかな?


ギフト ハジメ

理力操作/熱操作/地操作/空気操作/光操作/水操作/聖操作

空間操作

気授受 生命力授受

危機感知 同大 同極/危機対応 同大 同極

物理耐性 同大 同極/魔法耐性 同大 同極

隠形/状態異常耐性 同大 同極

索敵/鑑定/判別

自然充填 同大 同極/自然回復 同大 同極

成長促進 同大 同極

蘇り 武器技能 付与

自己確認/他者確認/表示変更

神知/自由設定

残2


自己確認

ハジメ 人族 5歳 レベル2 30%

称号 絶対強者の卵

職業 なし

装備 短槍改 甲羅のベスト うさぎのパンツ 狼マント 狼ハット 狼靴

基礎値 筋力120/敏捷性120/生命力240/気力280/気速280/気量560/活力5

攻撃力 120+4(短槍)+280(理力)=404

防御力 120+8(甲羅ベスト)+うさぎパンツ2+狼マント8+狼ハット4+狼靴2

+280(理力)=424

備考 空間職人


他者確認

ハナ 獣族 角狼(進化種) 1か月 レベル2 10%

称号 絶対強者の卵にしてハジメの僕獣

職業 なし

装備 なし

基礎値 筋力140/敏捷性200/生命力400/獣力100/獣気速120/獣気量200/活力40

攻撃力 200プラスα

防御力 200プラスα

備考 人語を理解する 主従のチームワーク抜群


おお、俺もハナも称号が絶対強者の卵になってる!

そりゃそうだ、俺なんか最初は全部1しかなかったのに、4日目の朝でここまで

伸ばしたもんな。この調子で行けば、早晩物凄い数字になりそうだ。

「もう街では無敵なんじゃないの?一般の強者で素の各数値が40くらいだったよね」

「この世界、強者は一般と隔絶して果てしなく強いから慢心しないように」

「でも、相当強い相手に攻撃されない限り、めったなことじゃあ死ななくなったかな」

「まあそうだね。そうなると、ほぼ無限大の生命力を持つものも存在するんだろうな。

どうやっても死なない。だから封印するしかないみたいな」

「よく聞く封印された強者ってそういうことか。。。」

「強者どうしになると、生命力や気力は無限大で、それ以外のところでの勝負になる

のかも知れない。頑張らないとね」

「うはー、もはや別次元の話としか思えない。けど毎日地道に頑張るよ。ハナもな」

「わぉん。ふふんっっ」

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