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ダーク詳説

「ダークのことをもっと教えて下さい!俺にとっては最重要事項なんです」

〔ふむ。奴らは我々星格にとって天敵とでもいうべき存在でな。断片的知識を長年にわたって、ある程度体系化して語り継がれて来ているのじゃ〕

〔順序だてて分かりやすく説明してあげて〕


長い長い話しだった。

簡潔にまとめてみると、次のような感じ。


まず、ダーク世界の性質について。

・3次元時空よりも高次元の世界である。

・ダーク世界は全ての3次元時空を浮かべている海のようなものである。

・ダーク世界は、我々には遡れない流れを生み出す強烈な波動に満ちており、そのため、ダークからこちらに干渉することはできるが、こちらからダークに干渉することはできない。


ダーク人の個体の特徴について。

・太陽の数百倍から数万倍程度の超重量の遊星である。

・主に反重力の作用で、自由自在に移動する。決まった軌道はない。

・知的生命体を育んでいるわけではないが星格がある。

・星は不活性体で構成されており性質は不活性。

・反重力でバランスを取っているため、重力崩壊はせず、任意に制御された核融合で必要最低限のエネルギーを取り出しているが、発光や熱量放射はしていない。

・物質や反物質を不活性化して取り込むことにより成長し、十分な質量を確保できると、まれに分裂して増殖することがある。

・非常に長寿であり自然死はしない。宇宙開闢以来、ダーク人同士の抗争以外の死は確認されていない。


ダーク人の能力について。

・力の源泉は自身を構成する不活性体の質量。これを核融合等によりエネルギー化する。

・重力と反重力を自在に使いこなす。

・波動を自在に使いこなす。

・その他、各個人が特有の能力を持つようである。


ダーク人の社会生活について。

・ダーク人は基本的に単独で活動する。

・各個人が所有する狩場を手入れし、食料を生産し捕食して摂取するのが基本生活パターン。

・狩場とは各人が個人所有する3次元時空であり、手入れとは狩場に反重力を及ぼすことにより狩場の空間を計画的に膨張させることである。

・食料とは物質及び反物質であり、生産とは空間膨張により、物質と反物質を対生成させることである。

・食料を捕食摂取するとは、物質と反物質を不活性化させて、不活性体として取り込むことである。


ダーク人の社会構造について。

・各個人は血縁や地縁により部族を構成する。

・部族ごとに領域を分割して支配している。

・部族支配領域内で部族構成員は、各人の固有領域に狩場を個人所有する。

・部族の上位構造として国や連合がある。

・必要により軍隊を結成する。

・軍の最小単位は5人一組の小隊である。


〔まあこんなところだ〕

「ダーク対策というのは何かあるんですか」

〔無暗にやつらの注意を惹かないことかな〕

「それじゃあ、いつかはダークに食べられてしまうじゃないですか」

〔まあ仕方のないことじゃ。星格の死因第1位は寿命、2位は銀河衝突などの自然災害、4位がダークの捕食となっておる〕


〔ちなみに第3位は、子供として養育してきた知的生命体がもたらす事故や戦争などの人為災害なのよ〕

「人災で自分が滅ぶだけじゃなくて、母星や父恒星まで滅ぼすとはとんでもないことですね」

〔ほんとにね。でも私たちのところでは、守護者達がしっかりと目を光らせてるから大丈夫〕

「そこは大したものですよね。っていやいや、今はダークのことですよ」


〔我々の銀河のこの辺りの領域が、近々ダークの収穫の対象になるらしいのぉ〕

「分かるんですか?」

〔ダークの収穫にはある程度の規則性があるのよ。それに確か、100年後との予知が出てたわね〕

「で、どうするんですか。何か方法がありますか」

〔うーん、たぶん大丈夫だと思う〕

〔ああ、そんな気がするな〕


「どういうことですか?」

〔〔………〕〕

じーっと見つめられている気配。

「え、まさか、俺ですか!?」

〔〔わはははは。ふふふふふ。〕〕


「あ、あの、そこ、笑うとこじゃないですから」

〔大丈夫、ハジメが何とかしてくれる〕

〔ああ、そんな気がするな〕

「そんな無責任な………」

*****


はぁ。結局ダークの怖いところばっかり知ることになって、肝心の対策は自力で手探りするしかないみたいだなぁ。

まあ俺の力が1億sun程度に成長するまでは手出し無用みたいだから、のんびり構えておこう。


「もう御用事済んだのー?」

「あのね、あのね、今日僕、こんなこと出来るようになったよ!」

うん、この子達のためにも頑張るぞ。のんびりとだけど。


ライザさんのところで朝食と言うか、時間的には昼食を摂ることにした。

ちなみに、ホログラフのライザさんも食べる振りができるようになった。

俺達と食事の席をともにするために練習したそうだ。

巧みに食べ物のホログラフを作り出して、食べる仕草とともに消すのだ。


ライザさん、そっちの方向じゃなくて、ご自身を実体化させる方向で努力して!

って言えないんだよなー。ホログラムのライザさんを否定するみたいで、変に気を使ってしまう。

時々実体化について仄めかしてみてはいるんだけどさ。


ところで食卓の話題は聖星教だ。

「そういうわけで、魔神と獣神から、聖星教をなんとかしろと。それをスムーズに進めるために人神から許可を得た方がいいって言われてるんですけどね」

「聖星教と言えば、太陽や月や星を崇める宗教団体で、そのトップが星の使徒であるとされる人神なよ。だから聖星教と人神って、ほぼ一体同体じゃないのかしら。」


「あたし聖星教知ってるよ。星型のアイコンの宗教だよね。尖塔の天辺の星型マークやペンダントが素敵なのよね」

「ぼくも知ってる!砂浜とかにいる赤い奴だよね。味はイマイチかな」

プルリン、お前の言ってるのは、違うと思うぞ。


「で、その聖星教は、悪い奴らなんですか?暴力団みたいな」

「さあ、それは良く知らないわ」

「宗教の人達なのに悪い人なの?」

「そんなに悪い奴とは思わなかったよ」


ふむ、まずは実体を調査してみなくてはならんな。

プルリンの件は、スルーだ。

*****


人大陸の中心的存在の国、聖イシュマール国。その首都は神都と呼ばれている。ここには人神がおり、聖星教の本拠地でもある。

神都に転移して潜入調査だ。念のため変装する。

俺は5歳の男児(実際そうなんだけど)で顔立ちだけ変えた。ハナは3歳の女児に。プルリンはお母さん役でなんとライザにそっくり。それぞれの偽名を、ジメ、ハニ、プライザと決めた。


信者の人々がぞろぞろと教会に入って行く。

「さあさあ、午後の礼拝が始まりますよ。急いでくださいね」シスターが仕切っている。

俺達も他の信者同様に、首に星型のペンダントを掛けていたので、なんの問題も無く教会に入れた。

入り口で全員が、喜捨という名で入場料を払っていた。真似をして銅貨を数枚払っておいた。


礼拝では、歌を歌ったり、神父さんから説話を聞かされたりした。

歌は口パクでクリア。

説話は日常のちょっとしたエピソードを基に人としての在り方を説く真っ当なものだった。

最後に神の恩寵への感謝を示すための喜捨が大切と力説していたところが気になった程度で、全体には特におかしなところはなく、ひたすら退屈だった。

あーやっぱりハナとプルリンは寝てる。女児はともかくお母さんが寝るのはまずいでしょ。

「プライザ!」と小声を出して小突く。念話では大きな声で『プルリン寝ちゃだめだよ!』と注意する。


プルリンとハナの居眠りにハラハラしながらも、教会側の人々の心の内を精神感応で覗き見する。

宗教のこと以外には、お金のことや食べ物のこと、昇進のことなんかを考えている。

まあこんなもんだよね。


ん!悲しそうな表情をした美人のシスター。妙なことを気に病んでいるぞ。

『あーやだやだ、暗部との連絡役に配置転換になっちゃった』

なんだ暗部って?

このシスターに監視用念体ウィルスを付けて様子を探ってみよう。




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