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収納を工夫する

草原狼8匹の死体を前にしばし考え込む。

「何かすごい量なんだけど、どうしようか」

「まだちょっと早いかも知れないけれど、空間操作を使ってみよう。収納空間作りに挑戦だ」


ギフトの空間操作を選択する。

亜空間をつくりますか? はい いいえ

「はい。作ります」

形は立方体でいいですか? はい いいえ

「いいえを選択すると好きな形にできるのかな?とりあえずはい」

容量はどうしますか?

「とりあえず1辺1mで」

空間内部に何を満たしますか?

「とりあえず空気」

空間の名称をどうしますか?

「うーん、収納庫で」

設定を完了しますか?

「ジョー先生、大丈夫かな?」

「丁度いいくらいだね」

「じゃあ設定完了と」


脳内のパネルに収納庫という字が浮き出る。

ウップ。吐きそう。気量残4%。結構持ってかれた。


「物の出し入れとか空間の維持にも気量を消費するのかな」

「それはない。最初に作る時と設定変更時に気量が必要なだけ」

「それは助かる」

「出し入れはどうやるの?」

「入れようと念じれば入る。物を特定して出そうと念じれば出る」


ひとまず、近くに転がっている10キロくらいの石を持ちあげて、

収納庫に入れと念じてみる。

手が軽くなって石が消えた。

脳内の収納庫の文字の右肩に▲印が現れ、注意を向けると内容物リストが浮かび上がる。

「そこらの石か、適当なネーミングだ」

文字にカーソルを合わせるイメージで注意を集中すると石の映像と大きさ重さが表示さ

れる。

 この石を右手上に出していいですか 

「はい。おっと重い」

瞬間的に石が右手の平上に出現し、重量感が戻る。


「何かハードディスクのドライブ設定みたいだな」

「ハジメの脳内記憶に基づいて適切な方法が用いられているんだよ。好きなやり方に自由

に変えられるはずだ」


とりあえずこのやり方がわかりやすいので、気量の回復を待って設定をすすめる。

「設定を完了する際に、気量の残量を表示させるようにしよう」

「それはいいね。気量を5%未満に一瞬で安全に減少させられるね」

などと思わぬ収穫もあったり。


よし一応の完成形だ。

収納庫を徐々に広げて一辺4メートルの真空空間とし、その中に手荷物、装備、肉の、

各一片1メートルの小空間を3つ作り、肉の小空間は窒素で満たし温度はマイナス30℃

とした。冷凍保存用だ。

手荷物の空間の中には更に小さな魔石獣石と薬の亜空間を作って入れた。いずれもっ

と増やして行こう。亜空間の設定の変更は気量さえ確保できていれば簡単だ。


しばし出し入れの練習を繰り返し、対象を視認して収納場所を意識すること、収納物を

パネルのリストから素早く探し出して適切な出現場所を指定すること、の練習を繰り返し

そこそこ素早く出し入れができるようになった。


「重さが感じられなくなるのがすごいね」

「作り出した亜空間は実空間と干渉しないからね。ハジメの意識を唯一の接点として

繋がっているだけなんだよ」

「亜空間の中の時間の流れは実空間と同じなのかな」

「原則として同期しているけれど、時間操作で変更することも可能なはずだ」

「生き物は入れられないみたいだね」

「それもできそうだなあ。まあ今後の課題だね。今はまだ無理しないのがいい。

空間操作は収納以外にも色々使えるから少しずつ慣れて行こう」


そうだな。亜空間が使えるなんてそれだけでもびっくりだ。一皮剥けた気分です、はい。



さて、現実に戻ってと。

そうそう草原狼の解体処理だ。この作業も段々慣れて手際が良くなってきた。

理力をメス、ナイフ、のこぎり、斧など適宜な形にして、体を切り開いて行く。

まず体の中心辺りから石を取り出して、革をはいで、肉を切り分けて。

爪、牙も確保しておこう。革の丈夫な部分を細く切り裂いて革ひもも作っておく。

血脂の汚れを水操作で洗浄して、熱操作と空気操作の温風で乾燥させて、肉は冷凍

させて冷蔵庫へ。うん完璧だ。


リーダー狼の毛皮を使ってマントと帽子と靴を作ってみた。

マントは長方形の端に首を入れる穴を開けて多少手直ししただけの簡単な作り、

帽子は缶詰型の円筒形のこれまた簡単な作り。靴も、これは靴と言えるのかな、

とにかく簡単に作りました。

全体のコーディネートとかは特に考えてないけど、毛皮でそろってきた。

いいのか悪いのか。なんだか原始人っぽい。

「これなら寒さが戻っても雨が降っても大丈夫だし、防御力も少しアップするし」

「まあ、ハジメ良ければ全てよし」

「くぅん」

ハナは褒めてくれている。毛皮コンビの誕生だ。



まだ陽は高い。

けれど色々大仕事をした後なので、今日はこれ以上の移動はやめることにして、

川から少しはなれた高台で野営をすることに決定。

まだ充分時間があるので、適度に休みを入れながら、本日2度目の訓練実施。

まず短槍の型、シャドーの模擬戦、ハナとの模擬戦、生命力の回復を待つ間に、

各種魔法をひととおり撃って、残りは亜空間設定で適切に消費して今度は気量

の回復を待つ。これを多少アレンジして変更を加えながら繰り返す、繰り返す。


ゆっくりと3時間ほど掛けて、俺もハナも周回を終える。


ギフト ハジメ

理力操作/熱操作/地操作/空気操作/光操作/水操作/聖操作

空間操作

気授受

危機感知 同大 同極/危機対応 同大 同極

物理耐性 同大 同極/魔法耐性 同大 同極

隠形/状態異常耐性 同大 同極

索敵/鑑定/判別

自然充填 同大 同極/自然回復 同大 同極

成長促進 同大 同極

蘇り 工作 武器技能 薬剤師

自己確認/他者確認/表示変更

神知/自由設定

残2



自己確認

ハジメ 人族 5歳 レベル1 60%

称号 草原の覇者

職業 なし

装備 短槍改 甲羅のベスト うさぎのパンツ 狼マント 狼ハット 狼靴

基礎値 筋力40/敏捷性40/生命力40/気力80/気速80/気量80/活力2.1

攻撃力 40+短槍4+80(理力)=124

防御力 40+甲羅ベスト8+うさぎパンツ2+狼マント8+狼ハット4+狼靴2

+80(理力)=144

備考 収納名人


他者確認

ハナ 獣族 犬(進化種) 1か月 レベル1 50%

称号 草原の覇者のしもべ

職業 なし

装備 なし

基礎値 筋力20/敏捷性40/生命力20/獣力16/獣気速16/獣気量16/活力10

攻撃力 25プラスα

防御力 25プラスα

備考 人語を理解する 共闘巧者 性格良いが噛み癖注意?



陽が傾いてきた。

たき火に照らされつつ、狼肉と木の実草の実の夕飯を終えた。

そして今夜は野営だ。

少し高台になっている場所に、念のために、竪穴1メートルからの横穴部屋、扉付きの

避難場所を確保した上で、地上に出て草の上に狼毛皮を毛布のように敷いてその上に

寝転がる。『草原の覇者』にもなったことだし、外で野営しても大丈夫だろう、たぶん。


空が暗くなり、星がまたたき始める。

ハナは狼の毛皮の上で心地良さげに寝入っている。毛皮結構気に入ったみたいだな、ふふ。

気が付くと満天の星空だ。振るような星々、なんだか黒い板の上に金属の粉を思いっ切り

振りまいたみたいだ。でももっと立体的。すごい。吸い込まれそう。あ、流れ星。

東京じゃあ星なんか数えるほどしか見えなかった。夜になっても空に雲が見えて白っぽか

ったもんなあ。

星明かりで周囲がぼんやり明るい。

月は見えない。新月なのかな?それとも月がそもそもないのかな?

そういえば、星の並びの形も違うような気がする。オリオン座も北斗七星もないなあ。

まああんまり星座には詳しくないから季節と時間で見えなかったりするのかな?

それともここややっぱり地球とは全然異なる星なのかな。


目を凝らすと地面全体から淡い淡い湯気のようなそれでいてかすかに煌めく粒子のよう

なものがゆらゆらと立ち上がって空に昇っていくのが分かる。

そこからもここからも。自分の体からも、ハナの体からも。色合いや感じが皆異なっ

ている。

これは気?なんだろう。なんだかきれいだ。。。


そんなことを考えているうちにいつの間にか眠った。

転生3日目の夜はそうして平穏に過ぎて行った。

はずだった。





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