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世界戦史の中で~研究所長の狂人マスラさん!~  作者: ルミネ
第1章 研究所に来たマスラさん
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第1章1話 余計な事をした

 二日後。


「マスラさん!マスラさ~ん!!」

 マミが再び研究所の所長室へと現れた。


「おや?マミさん。今日はどうされましたか?」

 その尋常じゃない様子に机の上で書類を書いていたマスラはそう尋ねた。


「う。うぅぅ…、ロッカー泥棒の犯人が…」

 言葉を途切れ途切れに言うマミに対して、一瞬マミの知り合いが犯人だったのかと思うマスラ。


「犯人がどうかしましたか?」

 マスラはマミを落ち着かせるために優しい声で言葉をかける。

 が、マミの回答はマスラの予想以上の事件であった。




「犯人が死んじゃったぁぁあああ!」



 そう言ってマミは机に突っ伏して泣き始めてしまった。


 マスラはその事態に驚き呆然としてしまった。






 結局マミが泣き終わったのは30分後のことであった。


「…もう大丈夫かな?詳しく話を聞かせてもらえるだろうか?」


「はい…」

 マミはそう力無く答えて話を始めた。






 まず、マミは昨日早速ロッカールームに携帯電話に付いているムービー機能を使用して動画撮影をした。つまりマスラの提案をそのまま実行したのだ。

 そしてその日、動画にロッカールームを漁る人物の撮影に成功した。

 自分達のクラスの授業の時間に。

 つまりマミの財布も盗られたとの事だった。


 直ぐに持ち物検査は行われたが、誰の鞄からも盗品が出てこない。


 だが、マミだけは自分の携帯の動画を見て犯人を知る事になる。


 犯人はなんと同じクラスの女子。


 名前は、

「シマザキ・ユカ」

 マミとは仲は良くも無く悪くも無く。所属するグループが違うので、それほど交流は持って居なかったらしい。

 マミは信じられなかった。

 元々シマザキ・ユカは大人しい人物としてしられており、噂では別のクラスの女子から虐めを受けているというはなしもあった位だ。

 だが、本人は虐めの事実は否定していたので、マミからは特に行動を起こすなんて事はしていない。


 しかし、とてもそんな窃盗事件なんて起こすような人物だと思えなかったマミは早速その事実をシマザキ・ユカへと伝える為に、学校から少し離れた公園に呼び出し話をしたらしい。

 もうこんな事は止めるように。と、そして何故こんな事をしたのか。と。更には誰かに無理やりやらされたのか。と…。


 しかし、シマザキ・ユカ本人は、


「分かったわよ。貴方からはもう何も盗らないし、盗ったものは返すわよ!」

 と、怒りながら言い、鞄からマミの財布を取り出して投げつけて去っていってしまった。


 普段の物静かな様子から一変、過激な感情を見せたシマザキ・ユカに驚いて追いかけることも出来なかったマミは、仕方が無いので自分の財布を拾い、シマザキ・ユカがマミの財布を取り出した際落とした他の物も拾って次の日学校の落し物置き場に置く事を決め、その日は大人しく帰った。


 翌日の朝ニュースでシマザキ・ユカが学校の封鎖されているはずの屋上から飛び降り自殺をしたというニュースが報道された。


 マミは慌てて学校に行こうとしたが、学校は臨時休校という連絡網が回ってきた。

 当然学校には入れない。と、言うか門の前に大量にマスコミが居るため、近付く事さえ出来ない状態らしい。


 マミは父親に連続盗難事件の相談をしていなかったので、知っているマスラの所まで来た。


 研究所に来たのはそういう流れかららしかった。





「どうしよう…私のせいで…。私が犯人だって言ったせいでシマザキさんが死んじゃった…」


「……」

 マスラは無言でテレビを点ける。

 そして問題となっているそのニュースが流れていた。


「<現場となっているのは『ハトヤマ学園高等部』です。被害者の『シマザキ・ユカ』さん17歳は、昨日の晩学校の屋上へと上がり、飛び降りたと考えられております>」


「え!?」

 このニュースの内容に素早く反応したマミ。


「そ、それじゃぁ、私と分かれた後に直ぐ…」

 そう言って再び涙ぐむマミ。


「…。いや、君が悪いわけではない。仮にそれが原因で自殺をしたのだとしても、君はただ罪をこれ以上重ねないようにと説得しただけだ。教師に言えばシマザキ・ユカという人物は退学させられていただろう。警察に言えば彼女の人生はもっと酷い事になった。それが出来ないからこそ君はこのようなことをしたのではないか?」


「……(コクッ)」

 マミは黙って頷いた。


「君は今回馬鹿なことをしたのかもしれないが間違った事はしていない」

 マサラは盗撮の件はあえて触れない。それは自身も進めたからだ。


「だけど、今後は正義感からくるあのような暴走は控えるべきだ。分かるね?」


「……(コクッ。コクッ)」


「さて、それじゃぁ、明日の朝は早く学校に行ってその落し物とかいうものを誰にも見つからないように置いて来なさい。財布とかだったら変な疑いを君にかけられてしまうからね」

 マサラがそう言うと。


「いえ、実は落としたものがコレだけだったんですが何だか良く分からなくて…。あ、いえ。ごめんなさい。今日はこれで帰ります。相談ありがとうございました…」

 マミが持っていた鞄からひょいっと黒いスティックを取り出した後、再びしまって席を立とうとした。


 だが、


「ん?ちょっと待って。なんでそんなものがあるんだい?」

 と、思わずマサラは口にしてしまった。


「え?コレ。ですか?」

 マミはマサラの疑問が理解できない。

 それはデータを記録するスティック。地球世界では"USBメモリー"と言った方が馴染み深い物だ。ここではあえてUSBメモリーと表記しよう。


「それは"USBメモリー"だね。電子上のデータを記憶する物だ。何だか分からないということは、コレを使った授業は無い。と考えていいのだろうか?」


「え?何ですか?それ?」

 なじみの無いものの事について説明されマミは何が何だか分からない様子だった。


「まぁ、いいや。ちょっと調べて見ようかな…。借りていいかい?」


「はぁ…」

 マミは?を頭に浮かべ、マスラに言われた通りにUSBメモリーを渡す。


「もし、学校の秘密情報とかだった場合、人に見られたら絶対に危ないだろうしね…。あ、マミちゃんは見ない方がいいかもよ?」

 マスラにそう言われ、納得がいかない顔でマミはマスラから離れる。


 マスラは預かったUSBメモリーをパソコンに差込、中身を確認する。

 その行為はあまり褒められたことではない。彼の言う危険がないか確認するなどという善意から来るものではなく、純粋にデータの中身が気になったからだ。

 善人面の彼の奥底は結構汚れている。


「ん!?」

 突如マスラは目を見開いた。


「え?なにか変なものだったの??」

「んん~…」

 マスラは難しい顔をしていた。


「どうなの!?」

 マミも気になり近付いてきた。

 マスラは慌てて開いていたデータを閉じ、データを自身のパソコンのデスクトップ上へとコピーし、USBメモリーを抜いた。


「いや…あんまり世間に出回っては嬉しく無い物かな。中身はそういったものだ」

「え!?でも、これって私のクラスの誰かが持っていた物なのよ!?」

「そうなのかい?…う~ん…」

 マスラは目を瞑って腕を組みながら唸り始めた。

 マミはそんなマスラを不安そうに見つめる。


「…よし、それじゃぁ、このデータの事は私が調べましょう。君はUSBの持ち主を君の教室の中から探し出して私に教えて欲しい。出来れば写真なんかもあると嬉しいな。出来るかな?」

 と、マスラはマミに聞く。


「えぇ…。いいですけど…」


「この中身は誰も見ていない。君は教室で拾った。いいね?」


「はぁ…」


 中身が気になるマミであったが、どう扱えばいいのか分からないマミはそう返事をするしかなかった。








 翌日。

 マミの教室は一つの話題で持ちきりだった。

 当然話題は『シマザキ・ユカ』の件である。

 内容は自殺の件ともう一つ…。シマザキ・ユカが学校中で今起きている連続盗難事件の犯人ではないか?という内容だ。

 どこから話が漏れたのか、教室中の誰もが知っているようで、マミの友人達からもその事を伝えられた。


 そんな事よりも、マミは教室内にかなりの生徒が入ったタイミングで、昨日マスラから頼まれていた事を実行した。


「あのぉ~!コレ落ちてたんだけど、誰のか知らない?」

 と、教室内で大きな声を出した。


 教室内の生徒が全員マミへと注目する。


「う…っ」

 少しだけギョッとして後ろへ仰け反るマミ。

 すると、


「一体どこにあったの!?」

 と、物凄い形相で一人の女子がマミに迫ってきた。

 ナカグラ・エミリ。このクラスの中どころか学年の中で成績がトップクラスで、更に美形の女子である。同じ学年であれば知らないものは居ない。

 今まで告白して玉砕した男子の数は多い。

 クールビューティー。それが彼女の代名詞でもある。

 しかし、そのナカグラ・エミリが鬼の形相でマミに迫ったので、クラスの誰もが驚いた。

 皆もうシマザキ・ユカの噂のことは何処かに行っている。


「あ、うん。そこに落ちていたんだけどね?ど、どうしたの?なんか怖いよ…」

 マミが恐る恐るそう言うと、エミリはハッとした表情をして、


「いえ、なんでもないわ。ありがとう拾ってくれて」

 エミリはそう言うと、足早に自分の机へ去って行こうとしたが、急に足を止めてマミへと振り向く。そして、


「モチダさん。コレ、中身見た?」

 と、聞いてきた。


「えっと。中身?そのキャップ開いちゃったけど、開けちゃダメだった?」

 マミはとっさにUSBメモリーについているキャップの事を言った。

 その言葉を聞いたエミリはフッと、笑い、


「いいえ。なんでもないわ大丈夫よ」

 と、言って今度こそ自分の机まで帰っていった。






「ってな事があったの」

 と、マミはマスラへ報告をしていた。


 現在はマスラの職場、マルカワ軍需品研究所である。


「なるほど、それは面白い情報です。ありがとう。ところで写真の方は…」

 マスラがそう言うと、


「ほら、これよ。入学の時の写真だけど何人かで集まった集合写真。一番大きくはっきり写っていているのってこれしかなかった」

 そう言ってマミが見せてくれたのは入学時、まだグループが出来ていない時にたまたま一緒に写真をとろうとして誘って写ったマミとエミリの写真であった。


「よし、これで顔も分かった。後は…」


「会いに行くの?」

 マスラが思案していると、マミからそう尋ねられた。


「うん?まぁ、他愛ない世間話に行くだけですよ」

「……」

 マスラはそう言ったが、マミは納得できない。


「あ、そうだ。この写真コピーとらせてもらいますね~」

 と、言って、マスラはマミからまだ許可を取らないまま近くのプリンターでスキャンして印刷を始めた。


「まぁ、写真の件はいいですけど、付いていって…いいですか?」

 マミがそう言うと、


「ダメです」

 と、マスラははっきりと断った。


「で、でも!何か今回のシマザキさんの自殺と何か関係があるんでしょ!?」

 マミはなおもそう言って付いていこうとしたが、


「お父様に知られたくないでしょう?」


「うぅ……」

 そう言ったマスラの一言でマミは黙ってしまった。

 どうやらこの短期間でマスラとマミの上下関係はマスラの方が上となってしまったらしい。


「では、今日は解散です!いろいろとありがとうございました」

 マスラはマミをそう言って部屋から追い出すと、いそいそとなにかの準備を始めた。

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