勇者ヘラクレス
あぁ…どれだけ歩いただろうか…未だ出口は見えない。俺は超難度の迷宮をさまよっていた。ある人物と一緒に…
◇
それは迷宮に入る前のこと。
「じゃあこれから迷宮にいきましょう〜」
「迷宮なの?」
「そうよ〜ここから近い迷宮はね〜別名経験積みの迷宮って言われててね〜素人の冒険者の訓練には最適なの〜」
へぇーそんな都合の良いものがあるのか。
「さっ!ぼけっとしてないでさっさと行くわよ!」
「何でそんなにハイテンション何だよ…」
俺はとルキノは迷宮にむかって出発した。
◇
迷宮には若い冒険者が賑わっていた。
周りには商人が小店をたてていて他にも宿屋や教会などかあった。
「いや〜凄い人がいるね〜」
「当然よ。今日はここにゼウス様の子どもの勇者ヘラクレス様が迷宮に参られるのよ」
「へ?何で?」
「そりゃ優秀な冒険者を見定めに来るのよ〜」
「見定めてどうすんの?」
「ゼウス様に報告するの。腕の立つ冒険者は王国の騎士に任命されるのよ」
へぇそれは凄い出世話だな。ここで一気に名声を獲得してもれなく騎士か、憧れるのも無理はない。
「あ!来たわよ!」
「え?」
ルキノの指差す方向には…ペガサスに乗って馬鹿でかい大剣を持った金髪の美青年が高速で地上に降りていた。
あれがヘラクレスか。体を鎧で守っていて勇者と言うより重騎士といった感じだ。
ん?何か言ってるぞ?
「道を作れぇぇぇえ!!」
え?どういう…
あっ…やb
ペガサスに乗った英雄ヘラクレスは俺に突っ込んで来た。うわ…死んだわこれ…
「うおおおおお!!!」
ヘラクレスはペガサスを必死で引っ張って何とか俺の目の前で踏みとどまった。
横を見ると、顔面蒼白のルキノが立っていた。
「助かった〜すまないなペガサスがお前に突っ込んで行ってしまって。いつもはこんなこと無いのになぁ…」
横には怒り狂ったペガサスがヘラクレスに動けなくされていた。
「ん?あれ?お前どっかで…」
ヘラクレスが俺の顔をまじまじと見つめた。すると数秒たってヘラクレスが
「あっ!あんた東の国のツクヨミさんでしょ?久しぶりぶりだね!今までどこいってたの?」
「えっ?」
「いや〜結界壊そうとした俺をぼっこボコに
して海に投げたの覚えて無いの〜?あのあと大変だったんだよ」
何だそれ新手のナンパか?
「何のことですか?」
「とぼけんなよ、今までどこいってたんだよ? ……え?本当にツクヨミさんじゃないの?」
「多分人違いですよ」
「嘘だ〜だってその剣ツクヨミさんのだよ?
」
やっぱりか…
「もしかしてなんかあったの?」
俺は答えない。何を言えば良いかわからないからだ。
「これからさ!俺迷宮に行くから一緒にいかないですか?」
「え…多分人ちg」
「出発ー!!」
「ちょっやめっ」
俺はルキノを置き去りにして迷宮に連れていかれた。
◇
…ドスッ
「痛ってぇぇえ!」
思わず男性口調になってしまった。
ここはどこだ?かなり深くまで落ちた気がする。周りは色とりどりの鉱石が突き出ていて非常に神秘的である。この光はどこから出ているのだろうか。
「あちゃ〜罠に引っかかっちゃったぜ。ざっと見積もって、うーん…この迷宮は100階で終わりだから…60階くらいに来ちゃったかな」
「しょっぱなから罠なんぞにはまりやがって!お前本当に勇者か!!!」
「も〜そんなに怒らないでよツクヨミさん。60階なんてちょっと敵に神魔が混ざるだけだって〜」
「うるせぇ!!こちとら迷宮は初めて何だよ!!死んだらどうすんだ!神魔ってなんだよぉぉお!!」
「あらら…キャラ変わっちゃってるよ☆もっと凛としてっ☆」
「お前もキャラ変わってんじゃねぇかぁぁあ!」
もう泣かんばかりである。
「相手のレベルは?」
「階層ごとに1レベずつ…」
「勝てるかぁぁぁあ!!!」
60レベとかRPGだったら一撃で三途の川を拝むことになるわ!!
「えぇ〜ツクヨミさんすげぇレベル高かったじゃん」
「俺はツクヨミじゃねぇぇえ!!」
「何の芝居してるんだよ〜」
「うわぁぁ…もうツクヨミでいいよぅ…(泣)」
あぁぁ…一刻も早く元の世界に戻ろう…
「ところで…神魔ってなに?」
「魔物の神」
「例えば?」
「ツクヨミさんのところで言うと…八岐大蛇とか九頭龍とかかな」
「強い…?」
「神にも引けを取りません」
「oh…」
そんな時後ろから爆音が聞こえた。
「来た!」
「えっ!何が!?」
「この膨大な魔力は…悪魔ですね…」
「強いの?」
「階級によりますが…こいつは中級なので問題ありません」
「神魔じゃなくて本当によかった…」
「来ますよ!」
砂煙の中現れたのは…
六本の腕の生えた黒い怪物だった。
「グロテスクにもほどがあるだろぉぉお!!!」
身体はテカテカしていてありとあらゆる部位から鉤爪が生えていた。そう、あらゆる部位から。羽は蝙蝠のようだ。
悪魔は俺たちのところに突っ込んできた。
「うぉぉ!」
ブォン!
ヘラクレスの大剣が空を切った。
「む…素早いな…ツクヨミさん!やっちゃって!」
「はぁぁぁあ!?」
すると悪魔はこちらに視線(?)を向け突っ込んで来た。こいつは体当たりしかできねぇのか!
咄嗟に身体が動いた。
「ツクヨミさんの剣技はいつ見ても凄いですね〜」
「えっ?」
前を向くと…真っ二つになった悪魔と黒い血で汚れた太刀があった。
「うわぁっ!?」
思わず手をはなしてしまった。
太刀から薄っすらと青い光が漏れ神秘的に輝いていた。
「ツクヨミさんの太刀は凄いですよね〜どれだけ切っても刃こぼれしないし、おまけに闇属性持ちでドラゴンも真っ青ですよ〜」
どんなけ凄いんだこの剣は。
何かもう自分が誰なのかわからなくなってきた。ツクヨミなっちまったのだろうか。
「はいはい回収しますよ〜」
ヘラクレスは俺に太刀を返して悪魔に近づいた。
「何をするんだ?」
「剥ぎ取りだよ」
そういってヘラクレスはナイフを腰から取り出し悪魔を切り刻み始めた。
おぇっ…
「悪魔の心臓何か高く売れますからね〜」
「見せてこないでっ!!」
踏んだり蹴ったりだ…
●剣技スキルを手に入れた
●魔斬スキルを手に入れた
スキル機能搭載しました。