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空からゴミが落ちてきた

作者: 神山 備

はつゆき企画参加作品です。


※初雪の描写を入れてください。ただし、雪という言葉を使ってはいけません。

「さ、寒っ」

そう思って目を開けると、いつもとは違う風景が目の前に広がる。

……あ、そう言えばあたしたち今、日本にいるんだった。

 菊宗正が次元を斬ることに成功して、あたしはオービルを連れて初の里帰り。オービルと二人であたしのシングルベッドには寝られる訳もなく、じいちゃんの部屋だった和室を使っているから余計だ。

 でも、オービルどこに行ったんだろうと思っていると、当の本人が、

「レイコ、大変だ。空からたくさんゴミが落ちてきた!」

と騒ぎながら和室に入ってきた。見ると、冬の日本では当たり前の物が降ってきていた。たぶん今年初だ。そして、オービルにとっては人生初。にしてもさ、ゴミはないんじゃない?

「ゴミじゃないよ、風花。雨が凍ったものだから」

と言ったあたしに、オービルは、

「ニホンでは雨まで凍るのか」

と、驚いている。確かにヘイメでも冬は寒くなるけど、こんなの降る気温には絶対にならないもんね。しっかし、ふわふわの風花ってかき氷みたいだな。そうだ、コンビニにアイス買いに行こう! アイスはあっちにはないもんね。

 あたしは、風花が氷の粒だと聞いてビビるオービル(当たって痛いのは、もうそれはひょうだって!)に、こっちの冬が寒いことを忘れていて慌てて買った白いダウンジャケットに、マフラー、毛糸の帽子・手袋ところんころんに着込ませて、外に連れ出した。ぷぷっ、サイズで買ったんだけど、スノーマンみたい。ビビってたオービルも、当たっても痛くないと分かってホッとしている。

 で、ゆっくりと二人で歩きだすと、遠くから子供たちの歓声が。それを聞いてオービルは、

「この寒いのに、ガキってのはなんであんなにムダに元気なのかな」

と言って笑う。

だけど……

「さあ? 分かんないけど、あたしも小さい頃はこんな日は意味もなくわくわくしたよ」

あたしがそう言ったとき、そこにオービルはいなかった。

「オービル? オービル!」

探そうとするあたしに、容赦なく降り続く風花。あたりはあっという間に銀色に染まっていく。もう目も開けていられない……


 あたしが再び目を開くと、そこはいつもの見慣れたヘイメの家だった。

(ああ、夢だったのか……)

そう、菊宗正は再び空間なんか斬ってはいないし、そもそもオービル自体がもういない。

 何でそんな夢を見たんだろうと思ったとき、今日がクリスマスであることに気づいた。もちろん、こっちにはクリスマスなんて存在しないけど、あっちのサンタさんが『よいこ』にしていたあたしに、クリスマスプレゼントして、オービルの夢を見せてくれたのかもしれないな。

 ……だけど、夢じゃなきゃ、もっと良かったのにな。

 

ははは、雪という単語は使ってませんが、英語だったり古語だったりでは出しているというかなり姑息な手段を使わせていただきました。


実はネタもバトンの回答から拡げたものだったりします。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 偶然目にとまり、読みました! 雪国育ちの私から見れば雪は余りに身近過ぎて、逆に書く事が難しいだろうと思いますが、これは確かに!雪を知らない人から見れば驚きますよね!短い文章の中に季節感と登…
2014/03/17 16:19 退会済み
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