いつもあなたの右隣りに
私はあなた様にお使えして二年になります。こんなに長くお仕えできて、私は幸せ者でした。
前任者はご主人様とは相性が合わなかったようですね。
小柄で愛らしい子だったそうですが、ご主人様は「なんかイマイチなんだよな」と半年も経たずに私と交代させた、と聞き及んでおります。
あの……申し訳ありません。私、ご主人様が携帯電話でお話をしているのを聞いてしまいました。
「あれは、もう駄目だな。いよいよ言う事を聞かなくなってきた」
「ほんと、イライラするよ。ぶん殴りたくなってくる」
ご主人様、お役に立てなくて本当にごめんなさい。私、もう駄目みたいです。先月から身体の調子が悪くて……こんなの言い訳ですね。
でも、でも私、ご主人様の傍にいられて幸せでした。毎日のように可愛がってくれて、優しく触れてくれて嬉しかった。
楽しい時も、悲しい時も、大変な決断をする時も、あなた様はいつも私を傍に置いてくれました。
……私はご主人様の元を去ります。どうか、どうか後任者が、あなた様のお役に立てますように。
「うん、あのマウス、もう駄目だわ。左クリックが馬鹿になっちゃって。でも、使いやすかったから同じの探してんだ。まだあるかな?」
昨日、マウスが壊れまして。