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「――お前ら馬鹿なの?」
案の定、奏に一蹴された。
あはー、やんな? 言われると思ったわ〜。
明崎の後ろでスタイリング君がブルってる。笠原も心配げに見守っている。
ちなみに笠原の髪はリクエスト通り、いつもの緩くちゃをさらにウェットに緩くちゃにした感じの甘めテイストに仕上がった。よく似合っているし、笠原の綺麗な顔がより際立って見える。
よってそこは「さすがスタイリング君!」とセンスと腕前を褒めていいと思う。のだが……
「意味分かってる? 好きにやって、って関西人はどうでもいいから言ったの。笠原君より目立ってどーすんの。空気読んでよ」
「すいません……」
「はぁ……やり直して。五分で帰ってきて」
一方の明崎はというと。
「……ブログには載っけるからさー。せやからそんな落ち込まんといて、な?」
「……はい」
傍から見ると、スタイリング君に絡むどこぞのちゃんちゃらチャラチャラホストのような出で立ちであった。
髪はウィッグも付けつつ盛りに盛って、何というか逆立ったり渦巻いたりの良く言えば奇抜なスタイルである。……ぶっちゃけると、かなり暑苦しい髪型である。
俺はええと思うねんけどなぁ〜……
しかし、これでは確かに笠原より注目を集めてしまうだろう。
何せ「ちゃんちゃら(おかしい)」が付くほどのチャラチャラである。明崎もウケ狙いのつもりでいたくらいに、ギャグ要素と存在感が強過ぎた。
「自信作だったんスけどねぇ……」
スタイリング君は嘆きながらも、手際良く明崎の髪を直し、あっという間に無造作風ながらも爽やかなスタイルに整えてくれた。
やっぱさすがやわ、スタイリング君。
「俺今度から君にやってもらおっかなぁ」
「マジすか!? 全っ然イイっすよ! 俺いっつもこっちにいるn(略)」
という訳で、撮影出発。
「インタビューのことも考えといてね」
「今するのか?」
「まぁ会話程度にだけどね。行きしなに」
だから、ハイこれ。と奏から笠原に手渡される楕円形の白い機械。
「……これは?」
「ボイスレコーダー」
うっ、という顔をする笠原。
当たり前である。隣の明崎もげんなりした表情を見せる。
「……もっちょい何とかならんの、それ」
「せっかくだから関西人も単体で撮る?」
そして明崎の小言は見事にスルーされた。
「いらん」
「この前出たのに?」
あれはアンタが「『プア』に載るのと、ピーッに電気流されるのと。どっちがいい?」って脅すから仕方無しに出たんや!
「関西人が出た時は結構反響あったんだけどね。リクエストも多いんだよ?」
どうだか。
……え、でもちょっと気になる(チラッ)。
「明崎が出たものは、まだ見れるのか?」
「電子書籍で出してるから幾らでもー。ちなみに去年の八月号ね」
「んーっ? なーに俺をダシに営業してるんかなぁ?」
「……そうか、分かった」
「いや待って待って待って買ったらアカン、アカン!」
「もうー関西人、そこは笠原君の自由じゃないの?」
「いやいやいや! もう自由とかの問題ちゃう! あれは、」
ごちゃごちゃ言いつつ、撮影の一行はドーム前から遊歩道に移動を開始した。




