表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/22

不快感

 速歩きで帰ったので、一本早い電車にギリギリ乗れた。そのせいで、「今日はいつもより早いね」と母親に言われるくらいの時間に帰宅してしまったのだ。

 自分の部屋へ行き、鍵をかける。

 ベッド、机、椅子、本棚、備え付けのタンス、それだけが出迎えてくれた。整理整頓されたというよりも、まるで僕自身を現しているかのように、何もない部屋だ。余計な物だけではなく、本来必要な物すらないのだろう。

 ポケットから、グシャグシャになった持っていてはいけない物を出す。広げてみると、書いてある文字は普通に読めた。

 北崎、あいつは一体何だ? 何でこんなメモを渡した? 何で僕は捨てなかった? 何で硝子羽のアゲハが飛んでるんだ? 何で北崎は蝶になるんだ? 蝶になる証拠って何だ? あの日は、怖かった。だけど、何で北崎を見送ってしまった?

 おかしいことはたくさん起きたのに、今日の涙が一番頭から離れない。あれは絶対に心から泣いていない。そう確信した。だが、考えていくうちにどんどん自信がなくなっていく。

 初めて硝子羽のアゲハを見た日に似ている。しばらくは頭がおかしくなった、僕が間違っていたのではと悩んでいた。

 北崎のせいで、思考がグチャグチャに散らかってしまう。こんな、不快で最低な気分は初めてだ。

 もう何も考えたくない。

 メモをポケットに戻し、制服のままベッドに寝転んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ