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THE LAST TEEN KISS-シュメタリングの夜明け-  作者: 野良猫
第二章 君は蜜よりも甘く
15/22

更新

 それから人目を避けるように、別々で学校に向かった。同じ電車の違う車両に乗ったので、二人とも遅刻しない時間に学校の最寄駅まで着いたのだ。

 だがギリギリだったので、教室に入る時間をずらす余裕はないかった。暗黙の了解で二人とも会話をせず、他の遅刻しそうな生徒達と一緒に学校まで歩く。

 教室の近くまで、同じタイミングで着いた。僕が後ろから無言でそっと入ると、奈々美は前から勢いよく入った。

「寝坊した! 間に合ったぁ!」

 いつの間にかクラスメイト用の奈々美がそこにいた。視線は彼女に集まったので、僕が入ってきたことなど誰も気が付いていないだろう。もちろん、そんな僕がさっきまで奈々美と一緒にいたことにもだ。

 奈々美は一日中ずっと、学校での奈々美だった。今朝、死のうとしたとは思えないくらいだ。

 それでも、少しだけ変わったことがある。ここ数日感じていたことは気のせいではなく、前よりも明らかに口数は減っているのだ。辛そうという様子ではなく、僕にはこの方がいくらかは自然体に見える。

 それから何事もなく、時間が流れた。

 この日の夜、中間テストの勉強が終わってから、奈々美のホームページをノートパソコンで見た。

 日記が更新されている。

 タイトルは『これで最後』だ。不穏な言葉のはずなのに嫌な感じはせず、迷うことなくクリックした。

『もう更新はこれで終わり。最後だからお礼に書いたよ。どうせ読んでるでしょ?笑』

 本当にお見通しだ。今こうしてしっかりと読んでいる。

『まず、ここを見つけてくれてありがとう。私の名前でも検索しちゃったのかなぁ? そんなわけないか!笑』

 そんなわけあって、一人で顔が赤くなってしまった。大きなため息をついて気を取り直し、続きを読む。

『昨日は遺書のつもりで更新したの。本当はインターネットが苦手で、メールですら嫌いなんだけどね。自殺する責任として、これだけは書かなきゃって思ったんだ。でも、冷静になって考えると本当に死ぬ気なら、もっと人に見つからない場所を選んだよ。もしかしたら、心のどこかで止めに来てくれることを期待していたかもしれないね』

 きっと僕は運命に導かれたのだ。奈々美の日記を読んで、そう信じずにはいられなかった。僕には彼女が蝶になるまで見届ける使命があるのだろう。

 日記の最後にはこう綴られていた。

『私、蝶になるよ。未来がない世界から飛び立つためにね。大好きだよ。ありがとう』

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