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THE LAST TEEN KISS-シュメタリングの夜明け-  作者: 野良猫
第二章 君は蜜よりも甘く
10/22

2006/5/14〜16 数日間

 月曜日の朝、北崎は元気よく教室に入ってきた。その手首には包帯が巻かれている。心配して声をかけてきたオオバヤシ達に「転けただけだよ」と笑顔で傷跡を隠した。グループの女子たちは完全には納得していない様子だが、そのままいつものような会話が始まる。

 だが、違和感を覚えた。

 考えすぎだろうか。北崎の姿が楽しそうに見える仮面をつけて、楽しそうに見える動きをしている、ただそれだけのように思える。これなら僕と話していた時の方が良さそうだ。

 北崎と話がしたい。本当の北崎と話がしたい。

 だけど北崎がまとった日常の仮面は、硝子よりも繊細な気がする。僕が近づいただけで消えてしまいそうだ。きっと望んで顔を隠しているから、余計なことは出来ない。

 それに僕達にはもう接点がないのだ。

 二人を繋いでくれた硝子羽の蝶はいない。今日からは関係がない、ただの他人だ。

 オオバヤシと目が合いそうになったので、慌てて机に広げた教科書を見る。

 北崎のことを前よりも気になっている。もっと北崎で満たされたい。だけど、どうしたら良いかわからない。

 でも、これだけは知っている。硝子羽のアゲハよりも美しい液体が、彼女の体内に流れているのだ。僕だけが知っているから、北崎との不思議な日々は終わっていない。それだけで十分だと自分に言い聞かせて、心を保つ。

 気持ちを殺したこの数日間は、あまりにも長すぎた。

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