表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国志の端っこで生きています  作者: 水原伊織


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/25

【悲報】俺(皇帝)、妻への扱いがDVレベルだった

女官たちが去り、紅陽が深く頭を下げたあと。

部屋の外で、硬い金属音が響いた。


カン、カン。


紅陽が眉をひそめる。


「……この音は」


裕介は首をかしげた。


次の瞬間、扉が開いた。


「陛下」


部屋に入ってきたのは、全身を鎧で固めてはいるが、

身体つきから女だった。顔には白い仮面。


(え、今度は誰!? ていうか女!?しかも鎧!?)


紅陽が慌てて膝をつく。


「張皇后……!」


裕介は固まった。


(え…!?張飛の娘じゃん…劉禅の妻か…

なんで鎧武者みたいな恰好してんだ…それに仮面?)


張皇后――張彩(字:織)は、

仮面越しに裕介をじっと見つめた。


「ご無事と聞きましたが、生きておられたのですね」


その声は低く、抑えられているのに、裕介は思わず言葉を失う。

その後ろから、黒い装束の女が静かに現れた。

腰には細身の剣。

動きが軽い。


紅陽が小さく息を呑む。

「……かすみ」

かすみは紅陽に一瞬だけ視線を向けた。


「あの…聞いてもいいか?」

裕介は、鎧を着用した女、張皇后に言った。


「はい」

「なぜ、そんな恰好なのだ?」


しきは、ゆっくりと仮面に触れた。


「陛下。 この仮面も、この鎧も、すべて陛下に、つけろと命じられたものです」


裕介は固まった。


(は?DVやん…やべえやつだな、おい、劉禅って、今俺じゃん、どうしよう…)


織は続けた。


「お前の顔は見たくないと。強い女なんだから鎧を着てろ。そう仰いました」


部屋の空気が凍りつく。


紅陽が苦しそうに目を伏せる。

かすみは怒りを隠しきれず拳を握る。


裕介は心の中で叫んだ。


(前の劉禅、最低すぎるだろ!!

 なんでそんなこと言ったんだよ!!

 俺が謝るしかないじゃん!!)


そして、言った。


「…俺は頭を打った。そして何もかも忘れた」

「陛下」

「皆の名前さえも」


頭を、床にこすりつける。


「どうか、俺の無礼を許してほしい」


しばしの沈黙の後、張皇后が言った。


「陛下…」

「そして…どうか、その顔を見せてほしい。鎧も、外してくれないか?」

「…では、陛下。改めて、着替えてまいります」

かすみが言うと、張皇后を連れて劉禅の居室を出ていった。


紅陽がこちらを向く。


「陛下…本当にお忘れなんですね」

「なあ…紅陽…」

「はっ」


「…俺って、クズだな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ