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石英記―泥被りの旅人―  作者: アルグレイ
幼年期の終わり
8/45

受付の女性に指示されたテーブルに座り時間になるまで待つことになった

座った場所はカウンターから最も近いテーブル


「よう、お前が新入りか、よろしくな!」


人が来るたびにカウンターで手続きをする


「そっちの子、新人だから面倒見てね」


手続きをする人全員に女性はそう伝える


「はい、ご指導よろしくお願いします」


その度に声をかけられるのでそう返す


「…………」


そしてみんな無言でこちらを見てくる


「…どっかの没落貴族の子供か?」


少しの沈黙の後にそう言われる

全員にだ


「いいえ、農村が壊滅した孤児です」

「どんな農村だよ、お利口すぎだろ」


もっと子供らしい反応を期待していたのだろうか?

申し訳ないが私にはそんな余裕ないのである

そうして話をしていると正午の鐘が鳴る


「ようし、そろそろ頃合いだ!」


一番最初の挨拶を交わした男性が声を挙げる

この街のゼネラルギルド一番の古株で筆頭らしい

年齢は40代だろうか?

無精髭が少しだらしない印象だが身なりはしっかりとしている


「今回は新人もいるから少し気を張っていくぞ、良いとこ見せろよ!」

「「「おおおおぉぉぉぉ!!」」」


そして皆とギルドから出る

既に準備が出来ていたらしく幾つもの荷車


「…あの……」

「お?ああ、{コレ}を見るのは初めてか?」


{コレ}とは岩に四肢の生えたナニか

荷車を掴んでいる人型の岩の集合体である


「ゴーレムっつってな、牛や馬、ヤギやロバの代わりに使う」


大きさは縦にも横にも大人の2倍程度

時折うなり声のような音が聞こえる


「うちのギルドには優秀な魔導士がいてな、まぁ詳しい説明は歩きながらしてやる」


ゼネラルギルド筆頭の男性

名はバードゥル

この道30年のベテランとは彼の言

そして彼の腹心と言える男は彼と共に行動する


「こいつはリンハウ、貴族のお遊びの結果…いわゆる庶子だな」

「リンハウだ、よろしく」

「まぁ貴族の血が流れてるから魔法が使えるわけだ。それもゴーレム5体同時操作ときたもんだ」


それは凄いのか?


「リンハウさん、聞いていいですか?」

「ん?」

「貴族も魔法もゴーレムも同時操作もよく分かりません」

「…そこからかぁ」


魔法、そう呼ばれる力があるらしい

火を起こしたり

水を操ったり

土を盛り上げたり

風を吹かせたり

それを行える人達は国から重用されるそうだ

その重用の長い歴史で王侯貴族と呼ばれる家系が生まれた


「まぁ私は属性などは扱えず基礎の念動力程度なんだがね」


少々訂正

属性、と呼ばれる魔法は最も希少のようだ

平民が気まぐれのように発現する魔法は手を触れずに物を動かす力{念動力}で精一杯なのだという

属性は火、水、土、風、雷


雷を扱える人は貴族の中でも特に希少だとのこと


「5体操作は凄いんですか?」

「そうだな、シシールトは手の指5本を別々に動かせるか?」


無理では?

そもそも親指以外の4本の腱は繋がっていると聞いたことがある

いや、訓練すれば可能とも聞いたか


「ここまでできるようになるまで苦労したんだよ私は」

「……」


聞いたことがある?

何時?

この5年でそんな話は聞いたことが無い

前世の記憶?


「お~い」


私はピアノでも弾いていたのか?

いや、そもそもピアノなんて単語今この瞬間まで聞いたことが無い

なのにどういう物なのか、どういう楽器なのか鮮明にイメージできる


「おい!」

「あっ…」

「大丈夫か?なんか呆けてたぞ」

「すいません、なんか色々と考えて深い所に入り込んでました」


バードゥルさんに意識を引き戻される


「そろそろ群生地だ、しっかりしろよ」

「…はい」


そんなことを考えるより仕事をしなければ

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