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「おい泥っ子」
数日後、酒場の店主に呼ばれた
注文の酒を客のテーブルに置き店主の元に戻る
「どうかしましたか?」
店主はカウンターで待っていた
常連の商人や傭兵、娼婦達が一緒だ
「ゼネラルって仕事、おめぇ知ってっか?」
「ジェネラルですか?」
「違う、ゼネラル。なんでも屋の事だ」
なんでも屋なら知っている
酒場の仕事以外ではそれなりに遭遇している
「特定の職場には組合、ギルドが存在してな」
「ほら、泥っ子ちゃんってこの街で色々やってるじゃない?」
「皆で色々話し合ってお前をゼネラルギルドに入らせたらどうか?って事になってな」
店主の話だと今のように仕事を続けていても給金が安く支払われるだろう、と
だがキチンとギルドに所属すれば今の仕事で収入が確実に増えるらしい、だが
「ギルドに入ることは考えていましたよ、でも」
今日からギルドに入ります!→よし採用!
そんな話にはならない
素行の悪い奴
身元の分からない奴なんて入れるわけがない
孤児の自分には入る資格がない
「俺達が保証人になってやるよ」
「それは嬉しい話ですけど…」
店主たちに利益が無い
それどころか私の賃金が増えるということは酒場の収入も減るという事だ
悪い事しかない
「お前1人で赤字になる程ウチは貧しくねぇよ」
「計算も読み書きもできるんだろ?だったら将来を考えて先行投資ってわけさ」
「お姉さんがおばさんになって売れなくなったら養ってもらおうと思ってぇ」
どうやらそれぞれの思惑があるらしい
「でも養うのは嫌です」
「ひ、酷い!」
―――
そして翌日の昼に店主とゼネラルギルドに赴き登録を完了させた
簡単な読み書きと足し引きの試験をしたが問題は無かった
「はい、登録完了です」
受付の女性に鉄のタグを渡される
自分の名前、年齢、性別、所属ギルドが掘られている
「ギルドには更新期間があるからタグの裏に書いてる日付までにまたここに来てね」
更新は1年後
タグが交付された街のギルドで行わなければならないらしい
2回目からは5年に1回の更新
これはどの街、どの国のギルドでも可能とのこと
「じゃあ店主さん、貴方が保証人なんだからきちんと面倒見てくださいね」
「分かってるよ、ほれ行くぞ泥っ子」
「はい」
要は済んだので再び酒場に戻る
「仕事が無い時にはギルドに来てね、掲示板から仕事選んでいいから」
この日から更に働き口が増えたのである