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馬車が揺れる

車輪が回り地面を鳴らす

貴族のために作られた車体は分厚いガラス窓と

同じく分厚い華美な扉によって密室に作られている

馬の蹄の音も車輪の回る音も

その2つによって響く地面の音も

私とナイアス嬢、2人だけの空間にはとても小さく聞こえる

だからこそ私が持ち込んだケース

その中にある私の装備品の揺れる音がよく響く


「それ何が入ってるの?うるさいんだけど」

「申し訳ありません」


そう答えてケースを膝の上に乗せる

それだけでいくらかは静かになった

馬車が公爵の屋敷から出発して現在は森の間の道を進んでいる

そこは私がトロルと遭遇した場所

彼女は神経質になっている

数年前の事を思い出しているのだろう

僅かに肩が震えているのが分かる

それでも表情に出さない辺り心は強いのだと思う


「以前のようなことがあっても大丈夫かしら?」

「問題ありません、即座に駆除して見せますよ」


以前とは違う

今度はしっかりと武器として造られた物を用意してきた

人間相手には過剰だが

相手が魔獣であればマルタが用意してくれた武器は適当だろう

…これで本当に殺せるか?

トロルとの戦闘をを思い起こした瞬間

私の記憶に現れたのはトロルではなかった

私の頭に浮かんだのは翼竜

エクセラを吹き飛ばしたワイバーン

届かない

これでもまだアレには届かない

鉄板を貫く程度でもまだ足りない

城壁や城塞を吹き飛ばすくらいは欲しい


「ふう…」


ナイアス嬢が息を吐いたのに気が付き現実に引き戻された

どうやら森を抜けたようだ

一生に一度しか訪れることしかない

そう思っていた王都に

たった数年で2度訪れた

今度はここでしばらく過ごすことになるのだ

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