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騎士から色々な質問をされた
出身、今までの生活
ナイアス嬢との接触経緯
所属ギルド
ギルドでの仕事内容
交友関係
過去の病気の有無、その症状
食事環境
簡単な計算と読み書き
「質問は以上となる」
この多くの質問で私は相手を老騎士という評価を改める
質問の返答をするときに私の全身を注視してきたのだ
おそらく目の動きや感情の機微、呼吸の乱れを確認して返答の虚実を判断していた
「この宿舎の入り口に従士を待たせている、寝室を用意しているので彼の案内に従い向かう様に」
「はい」
騎士はそれ以上何も言う事は無く部屋を出て行く
私も荷物を背負い入口に向かい従士に案内を頼む
そして新たな住処として用意されたのは使用人の住居
貴族の使用人ではない
騎士の使用人が住むための住居である
「明日から日の出の前に起床せよ、使用人としての仕事を果たせ」
これは喜ぶべき事か?
貴族という厄介な存在から離れられたと?
それとも「貴族のお零れを貰える優雅な生活じゃないのかよ騙された」と憤慨するべきなのか?
………なんにせよ
まずは与えられた部屋の確認と荷物の整理をしなければならない
他の使用人は既に就寝している時間だと聞かされたし
―――
幸いな事に騎士の使用人という生活は苦ではなかった
馬の世話、武器と鎧の清掃、衣服寝具の洗濯、関係各所の掃除
たまに街の鍛冶場にお遣い
ギルドの仕事と比べると定型化されていて毎日同じ作業なのである
人によっては退屈だったりするのだろうが別に私は困っていない
………
………訂正しよう、とても困る事態が定型化している
具体的にはこの仕事は5日働いたら1日休日となる
「シシールト、ついてきなさい!」
休日は毎日ナイアス嬢から指名されて街の散策に付き合わされるのだ
そして散策の最中何か気にいる物があれば
「買っておきなさい」
そう言って様々な物を持たされる
果物だったり花だったり
なんかよく分からない細工品だったり
そんなお嬢様を荷物を抱えて追いかけているといつも周りから小声が聞こえる
「あれが新しい子かい?」
「かわいそうに…」
「何日もつかねぇ…」
要するに私が初めてではなく
これはジョベート家の日常なのだろう
そしてこれはまだまだ序の口で
これからもっと大変な
ともすれば命の危険や重労働をさせられるのだろう
時間を見てマルタと接触する必要がある




