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石英記―泥被りの旅人―  作者: アルグレイ
イーストアルバス
36/50

14

マフィンを持ってこい、からに始まり

お嬢様は実に誠に途方もなく毎日のように私に要求してきた

ジュースの用意だの

街の散策に付き合えだの

市場で購入した物品の金払いだの

チンピラ相手に態度がなってないと説教を始めたり

そして今も


「もっと力を込めなさい」


マルタの住まう屋敷

その居候であるお嬢様は

しかし公爵令嬢という特権を存分に使い

自分の部屋を作り上げてしまった

その部屋に置かれた豪奢な調度品は全てこの街の領主から献上された物である

今現在お嬢様が寝ているベッドもである


「この街はもっと道の整備をしっかりするべきね」


今日もお嬢様は街を歩き回った

そして夜には私に足のマッサージを命じてくる


「少し楽になったわ、明日は昼前に起こしに来なさい」


そして用が済むと感謝の言葉もなく部屋から追い出される

子供の相手で1日が終わる

やっておきたいことが何もできないのである

そして…


「やぁ、お嬢様のお相手は終わった?」


日が暮れたらマルタの研究に付き合わされる


「…疲れたんでもう寝たいです」

「いやいやそう言わずに。ほらほら今日も色々考えたものがあるんだからさ」


――――



そしてマルタの工房に連れていかれると目の前にあったのは


「ずいぶん大きな円盤ですね」


それが何かは分かる

パワードスーツに使われている円盤型関節だ

ただその大きさが私の頭ほどにある

そして円盤の中心には拳ほどの鉄箱がくっついている


「あの時…あぁ、トロルの時の話ね。その時にキミは破損した強化関節で頸動脈諸々を切り刻んで魔獣を殺したわけだけど」

「ええ、それが何か?」

「あの時に何故首の骨で回転が止まったか。シシールトは分かるかい?」


分からない

皮も筋も血管もスパスパと勢いよく切れたけど骨に達した途端に円盤は回転を止めてしまった


「これ、キミがその時に使った強化関節ね」


そう言ってマルタが机に置いたのは解体された円盤


「この中には細かく繊維状に加工した魔力導体が張り巡らされていたんだ」


指差す場所にはそんな繊維状な物などない

歪な形状の金属塊が張り付いているだけだ


「結論から言うとシシールト、キミの魔力に耐えられず導体が溶けてしまったんだ」

「金属が溶けるんですか?」

「うん、結構知られてる現象なんだ。魔導士が大規模な魔術を行使する時、そんな状況で粗悪、安物な杖を使うと魔力導体が焼け溶けるんだよ」

「じゃあコレは粗悪な導体を使ったのが…」

「そんなわけないだろ!」


彼女が急に大声を出す

激高しているという言葉が正しいか


「魔力導体を繊維状にするってどんだけ大変かキミは知らないのか!いや知らないかでももうすこし考えてものを言ってほしいものだねこれだってどれだけ研究して最適解の配分調整してムラや無駄のない配置をしたかキミは分かってないんだそもそも関節の強化を考えた機構であってあんな猟奇的な使い方なんて考えてないんだよ喧嘩売ってるのかい!」

「売ってません、売ってませんのでごめんなさい」


こういう時はとりあえず謝っとくに限る


「いいかい原因はキミなんだキミの魔力は属性も持たないし保有量も平凡以下なんだから誰もそこまで気にしてなかったけど出力そう出力だよとにかくパワーがおかしいんだ」


静まり給え

静まり給え


「だから考えたんだよ糸状にした魔力導体がキミの出力に耐えられないのなら最初から溶けた状態で使用できるようにすればいいんだって」


そして大きな円盤に取り付けられた鉄箱をマルタが開く

その中には薄い金色の金属塊が入っていた


「これでキミの超出力の魔力にでも耐えられるはずさ、さぁ全力で魔力を流し込むんだ!」






結論を言おう

このあと円盤が吹き飛んだ

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