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石英記―泥被りの旅人―  作者: アルグレイ
イーストアルバス
35/50

13

「シシールト君、コレは何処に運んどく?」

「えっと、それは確か1階の東の部屋に書斎があったはずです。そこに同種の書籍が並べてあったかと」

「シシールト、マルタの記憶通りの場所に食器があったぞ」

「そうですか、では食堂に並べておいてください」

「泥っ子、2階の西部屋掃除終わったぞ」

「ありがとうございます。あとは1階の浴室前の掃除お願いします」


ゼネラルギルド総出で屋敷の掃除をしている

…マルタの住む屋敷である

なので本来指示を出すのはマルタの役目の筈なのだが


「いやー、この屋敷にそんなに部屋があったなんて驚いたねぇ」


本人はこれである

屋敷の内情を知らない

部屋の数や荷物の中身も知らない

使われているのは一番大きな部屋を改装した工房だけである

以前からそれは知っていたが限度というものがある


「シシールト君、2階西部屋が終わったなら全部入れちゃうよ?」


ギルドの受付も今回は出張ってきた

今回の騒動には出来る限り貴族的知識のある人が必要だったからだ


「…ジョベート家から返答はありましたか?」


事が事なのでこの仕事はギルド長も来ている

…おかしい話だ

なぜギルド長が来ていて私が掃除の指揮を執っているのか?

しかも最年少の新人だというのに

皆、私の指示に従う


「迎えの到着は10日後だそうだ。それまでは「聖女の指示に従い娘を警護せよ」とのことだ」


聖女とは私の事である

何をとち狂ったのかジョベート家令嬢

ナイアス公女、公爵令嬢?がリッシュラウトに到着してすぐに手紙を送った

その際に「トロルに穢されそうになった時に聖女に救われた」と書いた

魔獣が女を襲うという話は多い

だがそれは全て創作の類である

実例は現在一つも確認されていない

まぁその話は置いといて

なぜか公爵、ナイアス令嬢の父は大々的に喧伝した


「ふぅん、仮宿としては合格点にしてあげる」


だが彼女の本性はコレである

リッシュラウトに住む貴族からメイドを借りて

屋敷の掃除をしている我々を見ながら優雅に紅茶をたしなんでいる


「そこの使用人」


私を扇で差す公爵令嬢

使用人ではないのだがここで逆らうと面倒なので大人しく従う


「はい、何でしょうか?」

「何か食べたいわ、朝に食べただけなの」


今は昼前である

朝食べたなら十分ではないか


「……干し肉ならありま」

「そんなもの食べないわ、マフィンを用意しなさい」


ギルド長に視線を向ける

そのまま視線を逸らすギルド長

向いている方角は街の市場だ

……走って買ってこいと言っているのか


「用意いたします、少々お待ちください」

「急ぎなさい」


助けるんじゃなかった

一瞬そう思うがそんな考えは振り払う

あそこで助けなかったら一生後悔するのがわかりきっているからだ

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