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石英記―泥被りの旅人―  作者: アルグレイ
イーストアルバス
27/50

ゴーレム狂いの女

名はマルタ・ベルトルート

驚くべきはコレの立場

宝石ギルドの副組合長だということがラングルによって明かされた


「やあやあシシールト、お出迎え御苦労」


そしてしっかりと釈放されたことを確認するために私が派遣された

宝石ギルドからゼネラルギルドを通して私を指名して


「では確認とれたので私は帰ります」

「いやいやいや、それだけで終わるわけないじゃん?」

「いえ、終わりですから」

「牢屋の中は暗くてねぇ、色々インスピレーションが働いた訳だ」

「そうですか頑張ってください」

「もちろん一番に体験させてあげるわけだキミに」


ごめん被る

この女が獄中にいる間

様々な人から聞かされた


アルバス公国の北と東は世界屈指の宝石の産地である

それゆえにこの国の宝石ギルドの収入は他ギルドを圧倒している

国内ギルド全てを足しても宝石ギルドに届かないほどだ

そんな大きな利益を貴族が見逃すはずもなく

宝石ギルドは貴族だけが登録できる独占市場なのだ


つまりそんなギルドの副組合長であるこの女は貴族である


「貴族には関わらないほうが良いのはよく知っているので」

「偏見は良くないと思うなぁ」


貴族は特権階級である

平民に対してならば大抵のことは許される

今回の件もこの女が自分から牢屋に入って反省することを選択したと聞かされた

本来の貴族ならそんなことする必要が無い、とも

敵前逃亡も略奪も殺人も人攫いも人身売買も

平民相手なら許されてしまうのが貴族だ

ただそれを面白く思わない貴族

もしくはそれらの行為を理由として咎め墜とそうとする貴族がいるため派手に動かないだけである


平民は貴族に見られないように行動するのが処世術である

そういう意味では私は現在困った状態である


「偏見ではなく事実だと思います」

「まぁ、否定はできないね。でもでも今は私の庇護下で動いたほうがキミのためになると判断したからこうやって絡んでいるわけさ」


なるほど

これまでの迷惑行為は全て私のためだったと?

とても面白い冗談だ

そう思い睨みつけると彼女は一切の油断も無い真面目な表情をしていた

その表情のまま私の肩に手を置き

顔と顔が近づく


「キミ、つけられてるよ」

「つけ…尾行ですか?」

「ああ、私の脇の下からこっそり覗いてごらん。ほら、後ろの花屋とパン屋の間」


言われた方に視線を向けると確かにこちらを凝視している男がいる

3人組だ

全員身なりが良い

というか服装からして貴族だ


「どういうことですか?」

「あいつらはここの領主の息子だね。あ、息子なのは1人だけ、残り2人は取り巻き、確か男爵の次男だったかな?」


面識も無ければ全く心当たりがない

何故追ってきてる?


「キミがラングルと初めて会った時の件だろうね。彼、ゴブリンと戦ってただろう?」

「そうですね」

「その時に彼らは一切戦わずに真っ先に逃げたんだ。そもそもあの商隊は4日も遅れて行動してたんだけどね原因は護衛をかってでたあの3人のせいなんだ「魔法が使える俺達がいるから大丈夫だ!」なんて言って予定の護衛人数に達する前に予定の日時の7日前に無理やり出発させてさそれで街に着くたび朝まで飲んで寝坊していつの間にか後続の商隊に…」

「長話はいりません、要点だけ教えてください」

「あ、そう。つまり逃げた自分達がキミの登場で恥かかされたから痛い目にあってもらおうって感じ?」


完全に逆恨みではないか

そして簡単に説明できるならそんな長話いらないじゃないか


「彼等の目つきからしてキミの事女だと思ってるねぇ」

「…うわ」


そう聞くと凄く気持ち悪い視線に感じる

1人は私を見ながら舌なめずりしてるし


「結構あるからねぇ、気に入った平民の女を裏道に引きずり込んで集団で…って」

「助けてください」


全員が魔法を扱えるというなら私が勝てる、逃げられる可能性は無い

何より逆らったら殺されるだろう


「助けるよ、当たり前じゃないかキミと私の仲だ。だからわかってるよね?」

「ハイ、ゴーレム研究ニ協力サセテイタダキマス」


選択肢など初めから無かったのだ

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